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副業容認の方針は長時間労働を是正する「働き方改革」と逆行する?

副業容認の方針は長時間労働を是正する「働き方改革」と逆行する?

「働き方改革」の現状を振り返る

「働き方改革実行計画」(以下「計画」)が策定され、「日本経済再生に向けて、最大のチャレンジ」(「計画」基本定考え方)が動き始めました。

「計画」の冒頭部分にある「経済の近況」によれば、「4年間のアベノミクス…は、大きな成果を生み出し…。名目GDPは47兆円増加し、9%成長し…長らく言葉すら忘れられていたベースアップが4年連続で実現しつつあり、有効求人倍率は25年ぶりの高い水準となり、史上初めて47全ての都道府県で1倍を超え…実質賃金は増加傾向にある」にもかかわらず、「個人消費や設備投資といった民需は、持ち直しつつあるものの、足踏みがみられる」のです。すなわち、アベノミクスの成果のトリクルダウンは不十分だという訳です。

確かに、「失われた10年」いや「失われた20年」と言われた我が国の経済は、この夏過ぎには「いざなぎ景気」と並ぶ景気拡大という「景気の良い」ニュースが流れるようになりました。にもかかわらず、残念ながら我々庶民にはその実感がないのが「実感」であり、「失われた30年」などと言われているのです。

実際、バブル崩壊以降、実質賃金の横ばい傾向は相変わらずですし、この4年間の最終家計支出も△1.6%(GDP成長率は、2.9%)とやはり低迷が続いてる状況です。

そして、「計画」の分析は、「我が国の経済成長の隘路の根本には、少子高齢化、生産年齢人口減少すなわち人口問題という構造的な問題…がある。日本経済の再生を実現するためには、…付加価値生産性の向上と、労働参加率の向上を図る必要がある」と、続きます。

そう、このまま少子高齢化が続き、生産性の向上がなされなければ日本経済の未来はないのです。「働き方改革」、「労働参加率の向上」によって「日本経済の再生」を果たさなければならないのです。([計画]要旨)

19の政策から見えてくる改革の姿

「計画」では、賃金などの処遇改善、働く時間・場所などの制約の克服、働く人のキャリアの構築の3本柱のもとに、非正規雇用の改善、生産性の向上、長時間労働の是正、雇用環境の整備などに関し、19の対応策を進めることにしているが、副業はこのうちのひとつとしてあげられています。(下表参照)

図:19対応策の寄与と効果

「計画」が目指す日本再生のKPI(Key Performance Indicator)は、GDPの成長率です。
少し専門的な話になりますが、GDPの成長率は、資本及び労働力の寄与分と全要素生産性(TFP;Total Factor Productivity)の伸び率に分解することができます。ざっくり言うと、前2者は量、TFPは質に関する評価ということです。

上の表は、「働き方改革実行計画」の対応策がGDPの成長率への寄与の方向性を、私の独断と偏見でこれもざっくり仕分けしたものです。

例えば、①の同一労働同一賃金については、(コンサルタントである)私の考えでは、私が工場で働くとした場合、工場の労働者と同じ賃金をもらえるとすれば、期間労働者とし工場で働くことを選ぶようになるので、労働投入量が増加するし、今より断然生産性があがります。一方、工場側は、期間工である私に対する教育コストに は回収リスクが伴うために、正規雇用者に対するものより消極的になるために質的向上は望めない、というわけです。

今回のテーマである、⑨副業・兼業については、サラリーマンの(であったとして)私が、工場でも働くことになるので労働量は増えます が、私が働くと質的にマイナス、でも、別の人なら質も向上するので、影響は間を取って「ニュートラル」としました。

こんな見方で、表を見ていただければ、労働投入量の増を目指すものが多いものの、労働量によるGDPの成長だけでなく、質、労働環境改善の視点も、当然ながら大きく、トータルとしての効果を目指していることがわかるのではないでしょうか。

副業容認は他の改革政策と合わせた視点で考えるべき

今回のテーマである、副業・兼業について言えば、禁止している企業が8割近く((株)リクルートキャリア「兼業・副業に対する意識調査」)あり、少なくとも現時点では我が国で広く受け入れられているとは言い難い状況といえるでしょう。

また、禁止の理由として、長時間労働、加重労働、情報漏えいリスク、労務管理の困難性などがあげられるように、現在の労働法制、労務管理や年金制度など克服すべき課題が多いことはアンケートからも見えてきます。

しかしながら、働き方改革は、「日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方そのものに手を付けていく」と宣言しているように、全体として、日本の雇用形態の代名詞といえる、終身雇用やそれを支えてきた「電産型賃金体系」(生活保証給)の転換にまで踏み込もうとしています。

という訳で、働き方改革は個別の対応策ではなく、19の政策パッケージで評価すべきなのではないかと考える次第であり、副業容認も、然りなのです。

(岡部 眞明/経営コンサルタント)

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