どっちが正規品!? エルメスの真贋を見極める5つのポイントとは~真贋セミナーに参加した!

株式会社ドリームファクトリー(大阪府大阪市)が運営する貴金属・ブランド品買取販売店「ゴールドプラザ」の主催による『エルメス講習会~豆知識と真贋~』が開催された。正規品とコピー品をどうやって見分けるのか? セミナーの様子をレポートする。

 

おなじみ「ゴールドプラザ」の真贋セミナー、今回はエルメス

金のセミナー」「ダイヤモンドのセミナー」に続く第3弾のテーマは『エルメス』。

今回も興味深い内容で盛りだくさんの90分だった。講師を務めるのはおなじみ、ゴールドプラザのブランド事業部鑑定士の川崎拓氏だ。

おなじみ川崎拓氏。

セミナーは、馬具職人からスタートしたエルメスの歴史をなぞるところから始まった。会場の熱気が最高潮に達したのはもちろん「商品に触れる際には、必ず白い手袋をつけて下さいね!」という川崎氏の駆け声とともに始まった、コピー品の見分け方コーナーだ。

そもそもコピー品とは「非合法に他社の人気商品のデザインや商法を模倣、もしくは似せた物」のこと。コピー品の販売は「商標権や意匠権、特許権の侵害となり、国内法では5~10年の懲役または500万~1000万円の罰金を課せられる」という。ここで、川崎氏から気になる一言が。

 

「このコピー品を他者に譲渡もしくは販売すると、コピー品を作った者と同様に、処罰の対象となってしまいます。皆さんも騙されて買ってしまったコピー品を売ることがないよう、気を付けてください!」

 

もはや「知らなかった」では取り返しがつかなくなる場合もあるのだ。ということで、今回はセミナーで伝授された5つのポイントを、この記事の読者にも共有する。

川崎氏いわく、エルメスを表すキーワードは「伝統」「革新」「職人」「品質」「希少性」「継続」「エルメスと言う名の統一感」であり、これらワードを念頭に置けば、おのずから真贋の答えも見えてくるという。では5つのポイントをなぞっていこう!

 

コピーの見分け方①:ブランドの刻印

まず1つ目のポイントとなるのが「ブランドの刻印」だ。

「正規品は型押ししてから彩色されているので、文字の書体は太さがすべて統一されています。」

これは正規品。

テーブルの上に並べられたいくつかのバッグを確認してみる。たしかに、均一に刻印されているのがよくわかる。

それに比べてコピー品は文字の書体や太さが均一ではなく、滲んでいたりかすれていたりするものが目立つという。

 

コピー品の見分け方②:クロア

続いてのポイントは「クロア」だ。

「正規品はほとんどズレがなく、ステッチの内側ギリギリの位置に、均一に鋲(びょう)が打たれているんです。誰が手掛けたかわかるように、職人ごとに異なる印も刻印されています。」

ステッチのギリギリに鋲が打たれた、これは正規品。

確かに、強すぎず弱すぎず、絶妙な力加減で鋲が綺麗に打ち込まれているのが見て取れる。さすが、伝統の職人技が光っている。鋲のカドも角ばらず、丸められており、肌へのあたりが柔らかだ。

一方、コピー品のなかには、プラスやマイナスのねじを使っているものもあるとか。

「丸いものであっても、鋲の打ち込み箇所がバラバラだったり、鋲を触ると飛び出していて痛かったりするんです。」

そもそもエルメスでは手抜きは絶対にあり得ないのだ。

 

コピー品の見わけ方③:クロシェット

3つ目のポイントは、「クロシェット」

「正規品はサイドの縫い目が9針で、上が1-2針、下が1-3針で返し縫いされているんです。」

実際にチェックしてみよう。

鑑定ではお馴染み、ルーペを使って見てみると、返し縫いされているところとされていないところがよくわかる。それに比べてコピー品は、すべての縫い目が返し縫いされてしまっているという。

 

コピー品の見分け方④:カデナ

4つ目は「カデナ」だ。

「コピー品と並べてみると一目瞭然ですね。」

左が正規品で、右がコピー品。そもそも鍵の仕様が全く違うのだ。

 

コピー品の見分け方⑤:革の質

最後のポイントは「」。なかでも印象的だったのが「革の匂いで判断する」という見分け方だ。なんと正規品のエルメスは「フローラルの匂い」がするという。

実際に嗅いでみる。フローラルと表現できるかは別として、確かに高級そうな革の匂いがする。匂いだけで判断するにはかなりの数を試して身に付ける必要がありそうだが、基準の一つとして頭の片隅に入れておくと、いつか役立つ日がくるかもしれない。

 

さらに、コピー品との違いが歴然だったのは、革の断面の加工処理。正規品はすべて蜜蝋でコーティングされていて、ざらざらしているところが全くない。鋲だけでなく、全体的に丸みが施されていて、細部まで神経が行き届いているのがよくわかる。

 

慣れればわかる、正規品は佇まいからして違う!

以上、5つのポイントほかボタンやクロア留め金具など、細かな点もあるのだが、実際にケリーやバーキンに触れて感触を確かめながら、職人による熟練の技に感嘆するなか「正規品はそもそも佇まいからしてコピー品とは違う」ということが実感できた。

言うまでもなく、正規品は右だ。左のコピー品が型崩れしてしまっているのに比べ、正規品の縫製の素晴らしさがはっきりわかる。

 

ファスナーの持ち手部分もコピー品と比べて正規品は決して下に垂れることなく、ピシッと横を向いたままなのがお分かりいただけるだろうか。

正規品。 コピー品。

記事冒頭画像の答え合わせは、このとおり。

 

おまけ~スカーフの特徴は縫い目を見れば一目瞭然!

セミナーの最後に、「カレ・エルメス」ことスカーフに関する豆知識も披露された。

「エルメスのスカーフは縫い目に特徴があるんです。縁が表側に折り込んであるので、生地の裏側に縫い目が出ていることがお分かりいただけると思います。」

なるほど、言われてみると縫い目が裏側にくるのは珍しい。こういった点もコピー品を見分けるポイントになるというわけだ。

 

まとめ:今回もエルメスの歴史からすべてがわかる濃密なセミナーだった!

お土産として配布されたマンガ「エルメスの道」(竹宮惠子著・中公文庫コミック版)が、また充実の内容だったのでご紹介しておこう。「地球へ…」や「風と木の詩」などで知られる漫画家の竹宮惠子氏が、エルメスの創業160年を記念して、エルメスの社史を漫画でわかりやすく紹介した一冊だ。

これを読めば、エルメスが創業180年を迎えた現在も一流ブランドとして君臨し続けている理由が手に取るように理解できるし、ますますエルメス社の商品に対する興味と愛着がわくはずだ。

 

今回のセミナーも非常に濃密だった。「ゴールドプラザ」はブランド買取業界のリーダーとして、リユースにかかわる顧客の疑問や不安を取り除けるよう、このようなセミナーを開催しているという。今後も顧客とリユースの架け橋を目指して、定期的にセミナー開催予定とのこと。詳細は公式サイトにて。

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