【教育費問題】子供に必要な貯金・貯めるコツをサクッと解説!|プロ監修
「子供の教育費のためにいくら貯金すればいいの?」と子育てデビュー前に不安をかかえている人も多いはず。そこで、FPの岡田直子先生に子供に必要な貯金額を教えてもらいました。幼稚園から大学までにいくらずつかかるのか詳しく紹介。
岡田直子
「家計の窓口」相談員。銀行、証券会社、保険会社勤務を経てファイナンシャル・プランナーに。相談業務やグループセミナーを通じ、就学支援金や高額療養費などさまざまな制度を活用して、お金に関する不安を解消する方法をわかりやすく伝えるのが得意。
家計の窓口
子供の教育費は一人1,000万円以上!
© PIXTA文部科学省等の調査(※)によると、子供が幼稚園から大学まで進学した場合にかかる教育費は、一人おおよそ1,000万円といわれています。
ただし、これは全て国公立の学校に通った場合。幼稚園から高校まで私立、私立理系大学に進学した場合は、トータルで約2,600万円にもなります。
総費用の半分~2/3を貯金できれば安心ですが、まずは家計だけで教育費のどこまでをカバーできるのかを把握しましょう。
例えば、高校までの教育費は家計でまかなえそうなら、大学費用分を貯金すればOKです。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と、それぞれ教育費がいくらかかるのかを見ていきましょう。
※出典:
「平成26年度 子供の学習費調査」
「平成28年度 私立高等学校授業料等の調査結果」
「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
「平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査結果」
日本学生支援機構「平成26年度学生生活調査結果 1-1表 1-3表」
教育費の内訳
国公立と私立で子供にかかる教育費を表にまとめました。以下は平均的な費用を算出したものです。子供のための貯金の参考にしてください。
幼稚園【公立69万円/私立159万円】
幼稚園だけでなく、ピアノや水泳、サッカー、学習塾などの習い事に通わせる家庭がとても多いです。そのため、幼稚園の教育費には園料だけでなく、習い事一つにつき月謝5,000〜7,000円が加わってきます。さらに、発表会の衣装代など月謝だけでは済まないことも頭にいれておくべし。だからこそ、「まわりのお友達が始めたら」という安易な理由で、習い事を増やすのはNGです。子供に習い事をさせる余力があるか、しっかり家計を確認したうえで始めること。また、一度始めてしまうと、途中で辞めさせるのは難しいものだと理解しておきましょう。
小学校【公立198万円/私立948万円】
小学校になると、習い事のほかに、学童保育や塾通いを始めさせる家庭が多いようです。地域によっては高学年になると、学童保育に預けられないところもあるので対策が必要です。
公立の学童保育は17時までなど早めの時間で終わってしまうので、共働きの家庭では親が帰ってくるまでの時間を埋めるために習い事が増えていく傾向も。
学習塾は、補習目的でなく、中学受験を目指す場合、費用は高くなります。中学受験を考えているならば、子供が生まれてから10年のうちにしっかり貯金をしておくと、後がラクです。
中学校【公立147万円/私立424万円】
中学校では、部活動が盛んになり、ユニフォームや道具類、合宿費用など部活動に関する支出も増えてきます。
また、小学校に引き続き、学校教育費以外に塾代がかかってきます。高校受験に向けて、公立中学の生徒のうち約7割は塾通いだそう。中学生の学校外教育費の平均は3年間で96万円です。
高校【公立126万円/私立317万円】
高校に入ると、子供の行動範囲が広がり、遠征時の交通費など部活動費も中学の時よりかかるようになります。さらに、大学受験のための塾代も、現役合格できるよう、お金をかける親が増えてきます。有名進学塾の場合、年間90万円を超える費用が発生することもあります。
大学【国立480万円~/私立624万円~】
大学では、国立と私立で4年間にかかる学費に大きな差が出てきます。文系の場合で約140万円、理系の場合で約280万円も違います。また、子供が一人暮らしをするとなると、仕送りなどの費用が別途発生することをお忘れなく。自宅通学か下宿かで200万円以上の差が生じます。
大学が一番お金がかかるので、資金不足の場合は、最終手段として奨学金を利用するのもアリですが、極力備えていくように早めに準備をしましょう。
学費以外に想定すべき子供にかかるお金
学費以外にも、食費や被服費、レジャー費といった基本養育費も当然必要です。中学生にもなると、育ち盛りの男の子を抱える家庭ではエンゲル係数が上がる傾向に。また、中学・高校のあたりでスマートフォンを持ち始める子供も多いため、通信費もかさんできます。
子供のための貯金を確保するためのツボ4つ
子供のための貯金をしっかり貯めるためのツボを教えてもらいました。
【貯金のツボ1】学資保険は内容を確認して活用を!
© PIXTA学資保険は、親に万一のことがあった場合、その後の保険料の払い込みが免除となり、満期金が保障されます。ただし、元本割れのリスクもあるので、内容をよく確認して選びましょう。
【貯金のツボ2】子供の貯金は定期でなく普通預金でOK
銀行の普通預金と定期預金。ひと昔前なら、金利のいい定期預金の方がお金が貯まりやすいものでしたが、低金利の今は金利の差はほとんどなし。迷った場合は、普通預金の方がお金の出し入れがしやすい分、使い勝手がいいでしょう。
【貯金のツボ3】教育費は児童手当を積み立てて!
© PIXTA子供一人一人に給付される児童手当に手をつけず、しっかりと積み立てるのが有効です。子供が中学校を卒業するまでに約200万円を貯金でき、大学の学費に充てることができます。
【貯金のツボ4】「つもり貯金」をすべし!
一般的に、幼稚園や保育園は私立、小学校・中学校の義務教育は公立という家庭がほとんど。その場合、子供が小学校にあがると学費の負担が軽くなったと感じるはずです。
そこで家計がラクになったと気を緩めるのではなく、幼稚園や保育園に支払っていた金額を払った“つもり”になって、小中学校の学費との差額分を貯めていくのが「つもり貯金」です。
公立の小中学校なら、月々の支払いは給食費や修学旅行の積み立てなどの1万円程度。例えば、月3万円かかる私立幼稚園に通っていたなら、毎月3万円を払った“つもり”になることで、差額の2万円を貯金にまわすことができます。
この金額は、それまで家計でやり繰りしていた範囲なので、無理なく子供のために貯金することができるはずです。
子供の教育費は莫大な金額だけに、ついつい不安になってしまいますが、きちんと準備をすれば大丈夫。貯金の計画をしっかり立てて、子供が生まれた時からコツコツ貯める工夫をしていきましょう。
「Pacoma」はホームセンター系のフリーペーパーに出自を持つ、「暮らしの冒険」がテーマのライフスタイル系Webマガジン。ノウハウ記事からタレントの取材記事まで「暮らしを楽しむためのアイデア」をテーマに日々発信しています。
ウェブサイト: http://pacoma.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。