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企業マネジメントやマーケティングにも 「まんが」の持つスゴい力

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企業マネジメントやマーケティングにも 「まんが」の持つスゴい力

日本が世界に誇るカルチャー「まんが」。

老若男女問わず「まんが」は身近なものだろうが、それはエンターテインメントだけではなく、ビジネスでも活用されている。

まんが教育家の肩書きを持ち、イラストをベースにした組織開発プログラムを企業に提供する事業を展開している松田純さんは『一瞬で心をつかむ 伝わるイラスト思考』(明日香出版社刊)で、イラストを活用したビジネス思考法を伝授してくれる。

インタビュー後編では、ビジネスの現場でも発揮する「まんが」のすごい力から、ビジネスにおけるストーリーの重要性についてお話を聞いていく。

(新刊JP編集部)

■企業マネジメントやマーケティングにも まんがの持つスゴい力

――イメージの見える化や共有に役立つ「イラスト思考」ですが、これはマネジメント層が会社の成長やビジョンを見せるときにも大いに役立つのではないかと思います。

松田:それは大いにあるでしょう。ただ、イラストだけで全てを伝えることは難しいので、ストーリー形式にして、経営者が理念と長期的な戦略を伝える際の手助けにすることが可能です。

――つまり、「まんが」化するわけですね。

松田:まんがという表現方法は、ほとんどの世代が慣れ親しんできました。その意味では現代に適した伝え方なのかもしれません。

――ちなみに、まんがをマネジメントに取り入れている会社はあるんですか?

松田:マーケティングの分野がメインになりますが、会社の歴史をまんが化して事業案内に掲載している会社はあります。「マンガマーケティング」というのですが。まんがが持つビジュアルの力と、ストーリーが持つ人に伝えたり、巻き込んだりする力は大きいと思いますね。

この「イラスト思考」には応用編があるのですが、それは「ストーリーの作り方」のメソッドです。

――それはどんなメソッドなのでしょうか…?

松田:人の気持ちを動かすストーリーには法則があります。伝えたいテーマ、キャラクター、そしてストーリーという3つの要素が揃ってはじめて1つの作品になるのですが、さらにその中のキャラクターには4つの役割があります。

その4つの役割をマトリクスに示したときに、左下は主人公がきます。この人が目的や夢を持って行動するところからストーリーは始まります。

右下にくるのは仲間です。悩みを抱える主人公を横から支えるキャラクターですね。

左上にはメンター、つまりは師匠です。このキャラクターは主人公を次のステージに導いてくれる存在です。

右上にくるのはライバルです。主人公は左下から右上を目指して旅をするのですが、それを阻むのがライバルの存在です。そのライバルは主人公を邪魔にしているようにしか見えないけれども、その裏では学びや成長を促してくれる存在です。『ジャンプ』で連載しているまんがは、まさにこのストーリー展開ですよね。

――確かにそうです!とても分かりやすいですね。

松田:そして何より重要なのが、主人公の持っている悩みや境遇を読者に似せてあげる。そうなると感情移入できるんです。

この共感を呼びだす仕組みはビジネスでも応用できます。お客様には主人公になっていただき、価値を提供する側の自分はメンターになる。

――というと…?

松田:ビジネスの設計の方法は、ストーリーの組み立てと同じなんです。

この本は文章だけではなく、まんがでも「イラスト思考」を説明しています。

まんがはストーリー形式になっていて、主人公は新しく企画の担当になったケンジです。ところが、なかなか企画がうまく進まない。部長からは期待の言葉がかけられますが、その一方で「失敗したら地方に飛ばされる」というプレッシャーもかけられます。ケンジには家族もいるし、マンションもローンで購入したばかり。それは嫌だ、と。

ケンジは同僚や仲間から助言を受けて、イラスト思考を学びに行って師匠と出会い、新しい企画の考案に取りかかるのですが、部長やライバルとなる存在からのプレッシャーがだんだんときつくなっていくんです。

…と、あらすじはここまでで留めておいて、スタートの時は未熟だった主人公が師匠と出会い「イラスト思考」を駆使しながら経験を重ね、リーダーとして成長していく。最後にはライバルと対決するのですが、ケンジと同じような境遇、悩みを抱いている人は数多くいるはずです。

ビジネスを設計する上で、お客様を主人公役、自分たちをメンター役、お客様の悩みをライバル役に見立てて、お客様が悩んでいることを解決するという目的で考える。そうすれば分かりやすいですよね?

――なるほど。確かにストーリー立てて考えれば、ビジネスの設計もしやすくなる。

松田:まんがのストーリーの作り方は、いろいろな場面で役立ちます。それはぜひ知っておいてほしいですね。

■30~40代のリーダー層に身に付けてほしい

――「イラスト思考」を導入する上で、必要なものってありますか? ペンタブとかあったほうがいいのでしょうか。

松田:まずはホワイトボード、もしくは付箋とペンがあれば大丈夫ですよ(笑)。ミーティングでのイメージの共有くらいならば、その場で絵を描くこともあるでしょう。付箋にイラストを描いて貼りつけたり、ホワイトボードに全員で描き込んでしまう。すぐに消せますし、議論も活性化するはずです。

社内外に公式に出す場合は、上手な人にペンタブで清書してもらったり、外注してもいいでしょうね。

――また、本書では、マインドフルネスについて言及されている部分があります。こちらは「イラスト思考」を実践する上で必要不可欠なものなのでしょうか。

松田:イメージを使った思考法は、右脳と左脳を高度に連携させていくプロセスです。マインドフルな「状態づくり」がとても重要です。作為や曇りのないニュートラルな意識の状態でいることは、思考の質や非言語コミュニケーションの質に深く関わってくるので、この本でも書かせてもらいました。

――この「イラスト思考」を今一番身に付けるべき年齢層、職業などについて松田さんはどのようにお考えですか?

松田:30代から40代のリーダー層に学んでいただきたいですね。時代の変化が勢いを増すなかで、チームメンバーをコネクトさせるスキルが重要になっています。「なぜするのか?」「どうなりたいのか?」を見える化して共有することが、自己発見のプロセスにつながるはずです。

――おそらく今後、コミュニケーションにおけるイラストの重要性は増していくと思います。その一方で日本ではまだまだ言葉だけで説明する文化が根強いと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか?

松田:まんが文化を醸成してきた日本人の思考モデルはとても優れています。漢字も視覚的なものですよね。ビジュアルシンキングは海外からの流入が主でしたが、まんが世代が組織の大半を占める現在、広がる素地は熟してきています。グラフィックファシリテーターの方々の活躍もありますし、職業としても一般化していくと思います。

――最後に、読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

松田:今は、頭の中のイメージやお互いの気持ちを見える形にして伝え合う力が必要な時代です。だからこそ、「イラスト思考」を当たり前のように使えることは、その人にとっての付加価値になると思います。

人工知能が人間の仕事をとって代わるという話もありますが、言葉とイメージと感情を立体的に組み合わせたコミュニケーションは、人間でしかできないものです。

ビジネスマン、教育者、人と関わる仕事をしている方、クリエイターの皆さんにもぜひ学んでほしい思考ツールですね。

(了)

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