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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#39 瞑想ワークショップ

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 ヒーリング関係のワークショップは様々で、ヨガやアロマから、ちょっと怪しげなものまで百花繚乱である。何を選び、どれに参加するかはまさに運や縁の世界になってくる。
 もちろん初めから自分に合ったものに出会えれば問題ないのだが、もしそうでなかった時に、せっかくのヒーリングへのドアが閉ざされてしまうのは、勿体無い。
 また、洗脳とまではいかなくとも、その世界にどっぷり浸かり、それ以外を排除してしまったり、法外に高価な物販に誘われてしまうのも、残念に思う。
 この連載を通して様々なヒーリングがあること、そしてヒーリング的な視点を日常に持って生活すること、を語ってきたのだが、その時々に触れた内容に興味を持って、いざ踏み出そうと思っても、どれを選んでいいのか躊躇してしまった方も多いと聞く。
 言葉による紹介だけでなく、実際ヒーリングへのきっかけを具体的に提案できないかなと僕も次第に考え始め、行き着いたのが瞑想ワークショップだった。
 読んでの如く、瞑想を経験していただく会である。去年の12月から始め、月に4度ほどのペースで開催しているのだが、どの会も定員に達している。参加者は8割方女性で、瞑想には以前から興味を持っていたがきっかけがなかった、ということを一様におっしゃる。それを聞くたびに、まさに自分の意図したことが形になっているのだなと嬉しく思う。
 参加者募集はフェイスブックの自分のタイムラインのみという限定されたものだが、1回につき6人という少人数のクラスには、ちょうどバランスが良いようだ。
 開始は10時であることが多く、午前中の新しい光の中での瞑想が好ましいという考えからで、本当は8時に始めたいのだが、それは早朝クラスを設けることで後々実現してみたい。
 開催は、平日休日を混じえ、偏りのないようにしてある。意外と平日の参加者が多い。主婦の方や、時間の自由がきくお仕事をされている方、幼稚園へ子供を送り出したあとのお母さん、などの面々が、お互い見知らぬ者どおしで集い輪になっている。日常を外していただくために、自己紹介などは意図的に省いている。いつもの自分をいったん無くし、匿名となれるようなニュートラルな環境をまずは提供する。

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 瞑想会は晴天率が高く、吹き抜けのフロアの一面となっている大きな窓ガラスからは、力のある午前の光がたっぷりと入り、観葉植物たちの生命力と合わさって、瑞々しい空気で部屋を満たしている。冬の寒い道を駅から歩いてきた参加者の方々は、その部屋に入ってくるだけで、日常の雑事から離れて頬を緩ませてくれる。わあ、あったかいーと口ぐちにしながら。
 僕の主催する瞑想ワークショップは基本的に初心者を対象にしている。瞑想の概要、座り方、呼吸の仕方、注意事項などをステップを踏みながら説明しつつ、5分、10分、25分と、瞑想時間を伸ばしながら馴染ませ経験していくというのが大まかな流れである。
 どのようなワークショップに参加しても、初参加となれば、多少の緊張を伴うのだが、僕の瞑想会には、それをほぐすための冗談や笑い話も特になく、淡々と始まり淡々と終わる。とはいえ、深刻な顔をして真剣に取り組むというのではなく、静かにリラックスして過ごすことを大切にしている。
 日常においては、初めての人々と肩を並べて穏やかに淡々と過ごす時間は実際ほとんどない。互いの名前も知らずに、2時間ほどを共にすることは、コミュニケーションとして成立するぎりぎりのものだろう。だが、そこに微かに芽生える繋がりは、緩やかで優しく、通りすぎの笑顔のようだ。立ち止まり繋がることの深さも良いのだが、優しく笑顔を交わして通り過ぎることにも人に深い安らぎを与える力があるように、同じ空間で瞑想をする時間というのはそれと同様の優しさがある。実際一人で瞑想するのと、複数の人々とするのとでは増幅感が違う。共鳴とか波動とかで語るのもいいのだが、それでは説明しきれない安らぎを語るには、きっと新しい言葉が必要なのだろう。
 僕たちが子供の時から経験してきた学び方は、まず教える人がいて、それを学ぶ僕らがいた。算数は数学になり、国語もより深い表現へと段階を追う。そしてそういうプロセスが学ぶということだというイメージを作ってきた。
 だが、それとは違う学び方もある。外へ外へと知識と方法を求めていくのが、学問だとしたら、内へ内へと求め向かう方向が瞑想などのヒーリングの核だと言える。

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 つまりそれは、ある程度まで教える人から受ける知識や方向づけは必要だが、それ以降は自分で内へ内へと深まり降りていくことになる。内へ内へというのは、外に広がる宇宙のように無限な広がりを目指す。青空は宇宙の黒まで続く。自分の声は、喉から細胞の小ささ、儚い黒まで繋がっていく。ここから始まり遠くまで遠くまで。僕たちは誠実を尽くせば、いつもここから離れて遠くに手を伸ばし、果ての果ての自分を目指すのだ。
 瞑想というのは、本当の自分へと降りていくチケットのようなものだ。ワークショップはその旅の始発駅であり、空港である。そのチケットには当然行き先が記されているはずなのだが、魂の旅にはそれがない。ただチケットがあるだけで、誰もどこへ行くのか知らないでいる。僕は小さな力で彼らの旅の背中をそっと押す役なのだ。行き先は相変わらずないままだが、到着する場所こそが彼らの行き先なのであり、そこが必要とされるものだと思う。ただ、魂の旅には行ってはいけない先もある。そこへ向かうことを踏みとどまらせるのもきっと僕の役なのだ。
 とは言ってもそんなに大げさに考える必要は実際ない。姿勢を整え、呼吸を知り、心をコントロールする術を伝えたあとで、参加者たちは、それぞれのペースでそれぞれの瞑想を深めている。
 詰め込む学びとは違って、回数を追うごとに成果を並べることもせず、ただ毎回同じことを繰り返し、瞑想というものを身体に染み込ませていく。そういうことを大切にしている。学ぶことは、飛躍的な成果を競うことではない。少なくとも、そうでない学び方もあっていい。
 瞑想はゆっくりゆっくりと深めていくものだ。心身ともにゆっくり深めていくもので、急ぐ理由はない。効率を外して、むしろぐるりぐるりと同じ所を巡ることの多い時間でもある。最短距離で最短時間で、最遠地を目指す癖を外すことから始まるのが瞑想なのだ。
 その癖が強い人は、すぐに悟りなどの成果を持ち帰りたがるのだが、正直僕は瞑想に悟りを求めていない。神秘的な体験もだ。これは僕がよく参加者に語ることなのだが、このワークショップにおける瞑想では、日常生活のストレスなどから生じる心の痛みなどに対するセルフケアと位置付けている。

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 身体へのケアはいろいろな方法が知られているし、それなりに浸透している。例えばジョギング、ストレッチ、ジム通いなど。だが、心のセルフケアにおいては、フィジカルのそれに比べて軽んじられていると思えるほどに、出遅れている感がある。かつてそれは宗教や信仰が当たっていた役である。現在でもそれらは機能していると思うが、セルフケアというイメージとは違う。与えられる恩恵として扱われていると思う。
 大切なのは自分の心へのセルフチェックでありセルフケアである。自分を心の鏡に写してみる。その自画像をしっかりと観察し、セルフヒーリングによって、優しい笑顔へと導いていく。その方法のひとつが瞑想だと思っている。
 僕たち生物は、異物に接する時にどうしてもストレスを受ける。それは避けられないことだ。世界は自分以外の異物の集合だからだ。ならば、そのストレスが身体に現れた時に身体ばかりケアするのでなく、そのストレスを本当に受けている根元の心をケアせずにいたなら根本的なケアには至らない。
 同じことの繰り返しになるけれど、フィジカル同様、いやそれ以上にメンタルのケアを自発的にしていく必要があると思う。
 瞑想ワークショップでは、終了時にその効果を各々の言葉で語ってくれる。とても嬉しくありがたい。だが、その上で、それを日常で習慣化してほしいと口をすっぱくしてお願いする。歯磨きの習慣のように、たとえ朝夜5分でもいいからとお願いする。
 だが、リピーターの方からはそれが難しいという感想をいつもいただく。そうなのだ。習慣に変化を与え、新調するには、たかが5分ではなく、大いなる5分なのだ。だが、ひとたび日々のリズムの中に瞑想がぴたりと治れば、その効果をしっかりと得られる。慢性病には、生活習慣の改善を求められるように、心と魂のリセットは年末の大掃除のようにはいかない。日々のスス払いが、精神と身体に支障を来すことを未然に防いでくれる。
 というようなことを語りながら、しばらくは瞑想ワークショプを続けていきたい。興味のある方は僕のフェイスブックのタイムラインでスケジュールをチェックしていただきたい。メッセンジャーから予約を受け付けています。
 伝えたいのは瞑想の素晴らしさだけではない。自分と静かに向き合い、心を真に自分のものとして、病まないように迷わないように、自ら導く術と力を得ること。そしてその先の優しさ、穏やかさ、充足感、多幸感。

※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#39」は2017年3月28日(火)アップ予定。

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