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復興バブルの一方で被災者間差別にダム決壊・・・大手メディアが報じぬ震災の”光と闇”

藤沼ダムの被害を受けた女性

 「被災者が被災者を差別する――」。にわかには信じがたい事実が明らかになった。2011年12月27日夜のニコニコニュース特番「フリージャーナリストが”みた”震災復興の光と影~震災成金、復興デリヘルからセシウム米、津波差別まで~」では、東日本大震災の発生直後から被災地で取材活動を続けているフリージャーナリスト3名が出演し、テレビや新聞など大手メディアが報じることの無かった、被災地の実態について、写真や映像を交えながら報告した。

■「復興バブル」の正体

 フリージャーナリストの渋井哲也氏によると、復興事業などで被災地に集まった作業員の多くは男性であるため、男性客を対象とする被災地域にある有名歓楽街は、今や働き手が足りなくなるほどの活況を呈しているという。特に、東北随一の繁華街として知られる宮城県仙台市国分町へは、この流れをビジネスチャンスと捉えた「業者」が、県外から続々と参入してきているという事実を明らかにした。

 また、取材で福島県いわき市を訪れた際のエピソードとして、フリージャーナリストの村上和巳氏は、

「タクシーに乗ると、『お客さん、東京から来ました?』と声が掛かり、(地元の人間では無いと分かると)『飲み屋行かないほうがいいです』と言われる。なぜかというと、原発関連も含めて作業員が数多く来ていて、良くケンカが起こる。雰囲気が悪いから(飲み屋に)行かないほうが良い」

 とタクシーの運転手に強く忠告されたことを語った。福島県内で復興にあたる作業員が急増した事実の裏付けとして、この他にも、緊急時避難準備区域(現在は解除)から警戒区域に向かう国道6号線の大渋滞や、その近辺で営業を続けた少数の商店の盛況ぶりを挙げ、復興を名目として被災地に人が集中したことにより、結果としてバブル的な特需があったことを示した。

■「勝ち組」と「負け組」に分けられる被災者

フリージャーナリストの村上和巳氏

 震災発生から9ヶ月あまりが経ち、表向きには緩やかに進んでいるように見える復興の現状について、村上氏は「かけ声と計画のみで、現実に(復興が)進んでいるわけではない」と述べ、いまだ多くの人々が生活に不安を抱いていることを示した。また、震災後の生活再建の見通しが立った人たちを「勝ち組」、そうでない人たちを「負け組」とする被災者間での差別意識が、時間の経過とともに深刻になりつつあると同氏は指摘した。

 その事実に対し、ニコニコニュースの亀松太郎編集長は、ユーザーから寄せられたコメントを拾う形で、「そういうの(貧富の差、経済格差)は震災前からあるのでは?」と問うと、村上氏は、

「地方はある程度、ヒエラルキー(階級意識)がすごくハッキリしている。震災というものを受けて、そこ(現状での階級意識)をすごく自虐的にとらえたり、あるいは先鋭的にとらえたり(する)という動きは、すごく見えてきた」

 と答え、地方社会が持つ独特の価値観によって、「被災者同士のなかで下を見つける」という意識が生まれ、それが被災者間での差別につながっているのではないかとの見解を示した。

■置き去りにされた大惨事「藤沼ダム決壊事故」

 東日本大震災に関する報道の多くが、原発問題や津波被害にシフトしてしまうなか、テレビや新聞など、既存のメディアが積極的に取り上げることの無い、置き去りにされた大惨事があった。

 福島県内陸部の須賀川市にある「藤沼ダム」(正式名称:藤沼貯水池)は、かねてから老朽化などによる決壊の危険性が指摘されており、ダムの近くの下流域に住む住民は、自治体とダムを管理する土地改良区に対して、何らかの安全対策を講じるように訴えていた。

 そのさなか、東日本大震災によって発生した大規模な揺れによりダムは決壊、約150万トンもの貯水が鉄砲水となって麓の集落を襲った。7名が死亡、1名が現在も行方不明という大惨事に至ったにもかかわらず、その事実が有力メディアで継続的に報道されることは無かった。

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