ディスプレイが 360 度回転する ASUS の Chromebook Flip の第二世代モデルとなる「C302C(C302 シリーズの一つ)」を入手したのでレビューをお送りします。Chromebook Flip 2 C302 シリーズにはスペック別にいくつかのバリエーションが存在し、型番も若干異なりますが、全モデル 12.5 インチ 1,920 x 1,080 ピクセルのタッチスクリーン、Intel プロセッサ、4GB 以上の RAM を搭載するなど、前作と比べてディスプレイは大幅に拡大し、性能も向上しています。
Chromebook は Google の Chrome OS を搭載しているので、主に Chrome ブラウザと Chrome アプリで様々な PC の作業を行います。中身が非常にシンプルで動作も軽快。特に、電源ボタンを押すと 2, 3 秒で起動する起動時間の短さが売りです。
C302C はタッチパネルを搭載し、ディスプレイを回転させるとタブレットのようになるので、Android アプリの利用に適しています。しかし、開封の時点で Google Play ストアはなく Android アプリを実行できませんでした。OS バージョンは Chrome OS 53(安定版)です。C302 シリーズでは筐体も一新しています。全体にアルミニウム合金を使用した作りなので、メタル感が半端ありません。外観はまるで Macbook ですが、手触りは Lavie Z のように軽さを感じるものでした。
C302 シリーズのインタフェース周りは USB Type-C コネクタ(USB 3.1)x2(左右に一つずつ)、Micro SD カードスロット(右側)、3.5mm オーディオジャック(左側)、電源ボタン(左側)、ボリュームボタン(左側)という内容です。スピーカーは左右の側面にそれぞれ付いています(私の C302C は右側のスピーカーが壊れているようで、音を出すたびにジェットエンジンのアイドル時のような高い音が出ていました)。
USB Type-C の採用が新しい要素だと言えます。C302C では USB Type-C からバッテリーを充電する仕組みなので、従来の電源コネクタはありません。パッケージには USB Type-C 仕様のチャージャーで付属しており、これを使って充電します。USB Type-C なので、Macbook に付属しているチャージャーも流用可能。試しに Nexus 6P のチャージャーで充電したところ、15W 出力なので「低速充電」となってしまいましたが、フル充電は可能でした。C302C に付属するチャージャーの出力は 19V / 2.1A(45W)です。
ディスプレイは 12.5 インチ(16:9) 1,920 x 1,080 ピクセルの LED バックライト液晶で、グレアパネルを採用しています。
テキスト、画像、動画の表示は非常に綺麗で、低価格ノート PC でありがちな “粗悪感” はまったく無し。マルチタッチに対応しているので、Chrome ブラウザをピンチズームすることもできます。キーボードはバックライト付きのチクレットタイプです。パンタグラフではないのでキーストロークは比較的深く、普段からデスクトップ PC 用のキーボードに慣れている私にとっては非常に打ちやすいと感じるものでした。ちなみに、今回の C302C は米国モデルなので US キー配列になっていますが、Chrome OS は日本語と日本語キー配列に対応しているので、一部のキーの割当は異なりますが、国内向け PC のように使うことができます。
C302 シリーズは 360 度回転するヒンジを備えており、液晶の背面と本体の背面がぴったりと付きます。ヒンジは段階的ではなくリニアに回転するので、背面を付けてタブレットのように利用することのほか、スタンドにすることもできます。ちなみに、180 度以上ヒンジが回転すると、システムのキーボード入力が無効になるのでタブレットモードの状態でキーを押しても誤操作は起きません。
C302 シリーズで期待されるのは Intel プロセッサや 4GB RAM を搭載したことによるパフォーマンスのよさだと思います。C302C の CPU は Core M3 m3-6Y30 “Skylake”(L2 4M Cache、ベース 0.9GHz、最大 2.2GHz)です。Octane 2.0 ベンチマークのスコアは 21,254 点と現行の Chromebook の中でも比較的高いスコアを出していました。前作が 7,400 点なので 2.8 倍も向上しています。
Chromebook では WEB ブラウザの利用がメインになるので、どれだけタブを開いても問題なく使用できるのかを確認したところ、タブを 14 個開いた時点で空き RAM は残り 5% 前後になりました。タブが 10 個以下の場合はスローダウンすることはほぼ感じませんでしたが、14 個開いた状態だと次第にキーボードのタイピングに遅延が見られるようになり、Google マップでは地図のスクロールでカクつく場面が見られました。
PC を使用していてタブを 10 個以上も開くことはあまりないので、普段使用する中でスローダウンに遭遇することはあまり無いと思います(表示コンテンツにもよりますが・・・)。以上のことから WEB が中心の PC 利用の場合は C302C は申し分ない性能を発揮すると言えます。C302 シリーズは HDMI 出力端子を備えていませんが、USB Typ-C と HDMI の変換アダプタ・ケーブルを使用すると外部モニタへの画面出力が可能です。Chrome OS では「拡張デスクトップ」モードと「ミラーリング」モードが使用可能。ただ、手元の環境で画面出力ができたのは本体右側の Type-C コネクタだけでした。また、次の写真ではモニタ側の UI 表示が反転しています。これはスタンドモードの状態で画面出力を行っているからで、C302C 側で映像の向きを変更することはしないようでした(手動では可能です)。
C302C は米国の定価で $499 と Chromebook の中では比較的高価な製品です。しかし、価格に見合う完成度、スペック、性能なので満足感は非常に高いものでした。なによりも ディスプレイが 12.5 インチという絶妙なサイズ感が良いですよね。ただ、上述のスピーカーの不良がとても残念でした。輸入品なので返品処理のことを思うと憂鬱になります。
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