数万人に1人のレベルの悪い例外が社会構造を決定する

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fromdusktildawn

今回はfromdusktildawnさんのブログ『fromdusktildawnの雑記帳』からご寄稿いただきました。

数万人に1人のレベルの悪い例外が社会構造を決定する

たとえば、「女性とセックスするだけで3万円もらえます」などというスパムメールにひっかかる人がいなくなれば、そういうスパムを送る経済合理性はなくなり、そういうスパムメールを送るスパム業者はいなくなる。

おそらく、そんなスパムにひっかかる人は数万人に1人いるかどうかというレベルだろうが、そういう、ごくごく例外的な人が、膨大なスパムメールやスパムトラックバックの経済合理性を生み出し、インターネット社会全体の構造、ひいては、我々の未来社会の在り方にまで変えようとしている。

日本の自動販売機は、規模、品揃え、品質、サービス、設置台数など、世界的にまれに見るレベルを維持しているが、海外で同じようなことをやろうとしても、“ごく一部の例外的な人”がいるために、うまくいかない。日本でも“ごく一部の例外”が一定数を超えると、日本の自動販売機文化も衰退していくだろう。

ネットで粘着嫌がらせする人間も、実際には、ごくまれにしかいない。
しかし、それにもかかわらず、多くのウェブサービスの開発において、粘着嫌がらせユーザーによって問題が引き起こされることを恐れて、たくさんの広がりのある機能を諦めざるをえず、多くの可能性が殺されている。

もちろん、これらはスパムにひっかかる人や、自動販売機を壊してお金を盗む人や、粘着嫌がらせをする人に限った話ではない。
リアル社会でも、ネットでも、ごくごく例外的な人々が、社会構造のかなりの部分を決定してしまっている。

よりよい社会のヴィジョンを描くとき、この“例外”が社会に対して持つ構造決定力を無視して理想論をいくら語っても、それはただの夢想に留まる。
だから、よりよい社会を求める人間こそ、この、ごくごく例外的な人たちがどのような人間で、何を考え、どう行動するのか、彼らが持つ社会構造の決定力は具体的にどのようなものなのか、念入りに見極める必要があるのではないかと思う。

執筆: この記事はfromdusktildawnさんのブログ『fromdusktildawnの雑記帳』からご寄稿いただきました。

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