「ロボットは東大に入れるか」

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人工知能の研究を進める新井教授

 人型ロボットが他の学生と同じように大学を受験し、合格することはできるのか――。答えはすでに出ている。「不可能」だ。なぜなら「試験会場では電子機器の電源を切らなければならない」(国立情報学研究所・新井紀子教授)からだ。だが、人工知能の研究の観点から見れば、ロボットが東京大学の入試問題を解くことに大きな意義があると新井教授はいう。そんな新たな試みとなるプロジェクトが2011年12月14日、始動した。

 それ自体は役に立たなくとも、達成を目指すことで大きな技術進歩が見込まれる試みを「グランドチャレンジ」というが、ロボットが東大合格を目指すプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」は、人工知能の研究者たちにとって、まさにグランドチャレンジである。

 人工知能の分野ではこれまで、チェス、将棋、サッカー、そしてクイズにおいて同様のグランドチャレンジをしており、IBMの人工知能「ワトソン」が今年、アメリカのクイズ番組で歴代チャンピオン2人を破るなど、大きな成果をあげている。この日「人工頭脳プロジェクト」のシンポジウムで基調講演を行った公立はこだて未来大学の松原仁教授によると、東大は「日本の知性の象徴」であり、この入試問題にロボットが答えることは「クイズに答えることより難しい」。一方では、「京大の入試問題ほどイジワルではない」ことから、チャレンジに適した題材であるという。

 また、新井教授はこのプロジェクトについて、「知的な18歳と比較することのできる」人工知能を作ることとほぼ同義であるとし、このことは結果的に「”優秀さ”をプログラムすることは可能か?」という問題の答えを出すことにつながると語った。同プロジェクトは2016年までにセンター試験で高得点をマークすることを、2021年には東大入試を突破することを目標として研究を進める。

◇関連サイト
・ロボットは東大に入れるか – 国立情報学研究所
http://21robot.org/

(土井大輔)

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