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60巻の経典を読破しても煩悩だらけ!秋たけなわのお寺でラブレターまつり~ツッコみたくなる源氏物語の残念な男女~

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最愛の女性、藤壺の宮(以下、宮)を激しく求めたものの、応じてもらえずスネた源氏。仕事である皇太子の後見もボイコットし、お寺での引きこもりライフに切り替えます。お寺で読経に経典読破、これで煩悩も消えかと思いきや、源氏が書く手紙といえばラブレターばかりでした。

「帰る実家がない」天涯孤独な紫の上の不幸

源氏はお坊さんたちが日々のお勤めをしているのを見て、うらやましく思います。「いいなあ、毎日やることがあって。こうして仏様に祈りを捧げていれば、来世のことも頼もしいだろう。それに比べて、俺はこんなところで自分を持て余しているだけだ」。

忙しいから考えないで済む、ヒマだから余計なことを考える…。源氏は正真正銘”いいご身分”だからこそ、お寺で油を売っていてもいいわけで。貧乏ヒマなしで悩みも多い筆者としては、あんたのほうがうらやましいよ!

季節は秋。紅葉がはじまり、秋の草花も風情のある頃。来し方行く末を思いつつ、やっぱり想われるのは、宮のこと。そして自分を頼りにしている紫の上のこと。結婚後、数日も家を空けることがなかったので、源氏はせっせと紫の上に手紙を書きました。

「出家でも、と思って試しにお寺に来たんだけど、やっぱり心細いし寂しいね。もう少しお説教を聞くつもりなのでまだ帰らないが、あなたを置いてきたので心配で」。

仕事を干され気味で引きこもりの旦那が、一両日どこに行ったかわからなくなった挙句、戻ってきたと思ったら今度はお寺。おまけに「出家でも」とか言われても…。奥さんはどうしたらいいの?実際、しっかり浮気歩きもしているし、紫の上が気の毒です。

紫の上の不幸は、宮の身代わり、源氏の浮気グセももちろんですが、なにより実家がないことです。

通い婚の時代、葵の上のように結婚しても実家暮らしなら、トラブルがあっても親兄弟が守ってくれる。紫の上はイレギュラーで、さらわれてきてそのまま結婚。

源氏が実父の兵部卿宮に結婚報告したので、親との付き合いは復活したのですが、実家にはイジワルババアの継母がいて、その子どもたちもいる。継母は紫の上のことを妬み、あら捜しをしています。

というわけで、夫の源氏に不満があっても、紫の上は他に行くところがない。源氏が浮気しようがなにしようが、一緒にいるしかないのです。「心変わりしやすいあなたを頼みにしている、私は心細い身の上です」。率直な気持ちを返事にします。紫の上って天涯孤独なんですね。

源氏は彼女の筆跡を見て「ますます上手になっていくな」と得意顔。自分の字とよく似ていて、それでいて女性らしい優しさがある点が魅力的です。「我ながらよく育てたもんだ」源氏は悦に入っています。

源氏は紫の上の教育に成功した、と今しばらく思うのですが、果たして10歳から女の子を理想通りに仕立てられるのか?その答えは終盤に明らかになります。ともかく、紫の上に類まれな性質と能力が備わっていたことが、源氏にとっては最大の幸運だったと言えるでしょう。

憧れの従姉、神に仕える方への禁断の恋文

源氏の年上の従姉、朝顔。長年の片思いの相手です。彼女は桐壺院崩御に伴い、賀茂斎院に任じられ、神に仕える生活を送っていました。お寺から近い場所なので、彼女にも手紙を出します。

「物思いの果てに家を出て、こんなところで旅暮らしをしています。物思いの原因がどなたかは、お察しいただけますね。いつかの秋が思い出されて恋しいです。昔を今に戻したいと思っても仕方ないですが」。まあ、良くもスラスラ言えるもんです。

源氏と朝顔の間には手紙のやり取りしかないのですが、源氏はまるで何かコトが起きたかのように、馴れ馴れしい様子で書きます。返事は「なんのことだかよくわかりません、俗世間とは離れた所におりますので。昔、一体何があったと仰るのですか」。

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