ちょっと本気で“基本の焼きギョウザ”を作ってみよう!

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もはや中華料理というよりは“日本の国民食”と言っても過言ではないギョウザの作り方をご紹介致します。
その前に“焼きギョウザ”について軽く語っておきますと、一般的にはギョウザは第二次世界大戦後に満州より帰国した人々が持ち帰ったレシピが最初と言われています。これは中国で一般的な“水ギョウザ”を翌日に食べる時、温め直す替わりに焼いたもので、始めから焼くことを前提に作られたギョウザではなかったらしいです。中国ではギョウザと言えば水ギョウザが主で、焼きギョウザに近い物では“鍋貼(グオティエ)”と呼ばれる物がありますが、形としては棒状だったり皮の両端を閉じてなかったりと、現在の日本のギョウザには似ていません。
そして日本に入ってきたギョウザは、日本人の嗜好(しこう)に合わせて改良を重ねられ、現在の“ニンニク、ニラ、キャベツ(もしくは白菜)豚ひき肉”のレシピがスタンダードなギョウザとして定着しました。ちなみに中国ではギョウザにニンニクを直接入れることは滅多になく、ニンニクは調味料としてタレの方に入れることが多いです。そして日本だとギョウザのタレは“しょうゆ、ラー油、酢、七味”の組み合わせが基本となります。

そんなギョウザの歴史を踏まえたうえで、今回は“基本の焼きギョウザ”のレシピをご紹介します。何をもって基本とするかとなると難しいのですが、ここはざっくり『餃子の王将』をイメージして頂ければ幸いです。『餃子の王将』は味と値段のバランス加減が絶妙で、販売数からしても“日本の焼きギョウザのベーシックスタンダード”と言えるでしょう。

ギョウザの材料 5人前(40個)

豚ひき肉・・・150グラム
キャベツ・・・1/4個をみじん切り
ニラ・・・一束を粗みじん切り
ニンニク・・・適量
卵・・・全卵1個
オイスターソース・・・適量(大さじ1)
ゴマ油・・・適量(大さじ1)
塩・・・適量(小さじ2)
市販のギョウザの皮(普通サイズ)・・・40枚
かたくり粉・・・適量(大さじ3)

若干“適量”と言う表記が目立ちますが、そこは感性を重視して“適量”でお願いします。特にニンニクなど“青森産をみじん切り”と“チューブ入りニンニク”では必要な量も違いますし、ニンニクが好きか嫌いかで増減して構いません。
塩なども適量になっていますので「食べる人のお好みで!」みたいな感じで良いでしょう。ただし“適切でない量”の場合はギョウザが台無しになる可能性があるので参考までに(大さじ1)としてあります。ちなみに筆者は軽量スプーンを使わない人なので、そこら辺の信ぴょう性は謎とします。

作り方

それでは作り方に入ります。まずキャベツを洗ってみじん切りにします。キャベツの軸も細かくみじん切りにして入れると“甘さ”が出るのでオススメです。キャベツの水切りですが、キャベツの場合は特に頑張らなくても平気です。レンジで温める必要もありません。なので筆者としては白菜よりもキャベツを使うレシピが失敗も少ないのでオススメです。

次にニラですが、ニラは細かく切りすぎると“香りが飛ぶ”のでチョイと大きめに切ります。長さで言うと5ミリくらいですね。ちなみにニラをフードプロセッサーにかけるのはNGです(潰れて香りが飛んでしまうので)。
そしてボールに卵を溶き、そこに上記の調味料を入れて混ぜ、刻んだニラとキャベツを入れて全体をシリコンベラでざっくり混ぜます。
「塩はひき肉に直接振る!」とかハンバーグの世界にはありますが、ギョウザの場合は野菜の比率が大きいのでどうでも良いです。最後に“全体的な具のユルさ”を見ながらかたくり粉を入れていい感じにします。
隠し味でオイスターソースが入っていますが、ない場合は普通のトンカツソースでもいいです。なんならソースは入れなくていいです。でもゴマ油だけは是非とも入れて下さい。

ざっくり混ぜたらひき肉を入れて、シリコンベラで上下を返すように混ぜます。混ぜ加減は“ニラが潰れない程度”かつ“ひき肉と野菜が混ざるくらい”で。ちなみに素手でひき肉を混ぜるのは禁止です。体温でひき肉の脂が溶け出すし、どうしても素手だと衛生面での限界があります。そんなに強く混ぜる必要はないのでシリコンベラが最強です。

適度に混ぜたら表面を平らにして冷蔵庫に入れて12時間寝かせます。まず“ギョウザのあんを寝かせる”ということを知らない人が多いと思われますがココが肝です。むしろ、このためにニラを大きめに切ったり素手で混ぜなかったと言っても過言ではありません。寝かすことで“ただのギョウザの具”から“ギョウザのあん”になるのです。

いよいよあんを皮で包む作業です。市販の皮は水分が少ないので、包む時に皮の合わせ目に水を指で塗った方が包みやすいですね。皮に作る折り目の数は4~6個で十分です。とにかく端までビシっと閉じて下さい。開いていると焼いている時にあんが流れて部分的に焦げることがあります。
ここでポイントですが、包んだギョウザを並べる皿に“小麦粉”(強力粉)を大さじ2杯くらい入れておいて、包み終わったギョウザの下側を小麦粉にパタパタと付けます。こうすると時間が経ってあんから水分が出ても“皮が皿に張り付く惨事”が避けられます。

最後の焼きに入ります。フタができれば鉄製のフライパンでもアルミのテフロン加工したフライパンでも構いません。油(できればラード)をひいて中火にかけます。「ちょっと多いかな?」くらい油を入れた方がパリっと焼けるのでケチらず(大さじ3)入れましょう。

ここからがミソなんですが、先ほどの小麦粉が付いたギョウザを両手に持ち“双方のギョウザの側面に互いに小麦粉を付けつつ余分な粉を皿の上で落とす”儀式をしてフライパンに並べます。好きに並べて良いのですが、ここは美しく円形に並べましょう。筆者はコレを“コロッセオスタイル”と呼んでいます。

並べ終わったら“お湯”を差します。ギョウザの1/3が浸かるくらいがベストですね。この時に水を差すとフライパンの温度が下がりすぎて沸騰するまで時間がかかり“残念なギョウザ”になるので必ずお湯を使って下さい。
あとはフタをして強火にします。しばらくすると蓋の隙間から出る水蒸気が減って“パチパチ”と音がします。そしたらコンロの火を止めましょう。自信がない人はフタを取って肉眼で確認しても良いです。
フライパンに合わせた大きさの皿をギョウザの上に被せて、皿を押さえつつフライパンを返すと美しい焼き目のギョウザができあがっているはずです(この時まれに余分な油が腕に垂れるので注意して下さい)。

この美しいギョウザのポイントは“後付けの小麦粉”なんです。市販の皮は“打ち粉”が少ないので、それを後から追加してやることで本来のギョウザの“羽根”を作るのです。こうするとギョウザ同士がくっつかないし、円形に焼いているため“ギョウザ同士が密着して冷めにくい!”と言う見た目以上の技が隠されていたりします。
ギョウザの羽根を“小麦粉を水で溶いて作る”という方法もありますが、アレは本来のギョウザに対する冒とくです。本来は手作りの皮から出る“打ち粉”がギョウザの羽根になるもので、羽根を作るためだけに小麦粉を溶くとは本末転倒と言えるでしょう。
日本の文化の中で育てられた“焼きギョウザ”をリスペクトする筆者には許せない行為です。

たかがギョウザで長く書きましたが、ここは是非ともみなさんにも“本物のギョウザ”を作って頂きたいとの熱い思いからの結果ですのでご容赦下さい。
主題が“基本のギョウザ”なのに“本物のギョウザ”にすり替わってる感は否めませんが「そばは盛りそばに始まり盛りそばに終わる」「お好み焼きは豚玉に始まり豚玉に終わる」と同じで“基本のギョウザ”を作り込むことが“本物の日本の焼きギョウザ”になると思うのです。
そんなわけで、材料も安いしチョイチョイ簡単に作れる“基本のギョウザ”を週末にでも作ってみてはいかがでしょうか?

※この記事はガジェ通ウェブライターの「YELLOW」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
酒と料理に無駄な情熱を燃やす「駄文系」ライター
「究極の肉」を手に入れる為に「第一種狩猟免許」を取得した
業界としてはニッチな「マタギ系ライター」を目指すが、あまりにマニアック過ぎる為に需要があるかは謎である

特技は料理とカクテルとバイク事故で骨折する事

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