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「天が泣いた!」「神かくしに遭いそう!」感動の嵐が巻き起こる源氏の美しすぎる舞 ~ツッコみたくなる源氏物語の残念な男女~

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9月になりました。残暑厳しい中、朝夕には秋の気配が混じりつつあります。恋愛だけでなく、源氏は『芸術の秋』でも大活躍。今回も源氏18歳の秋から翌年正月にかけての、同時進行のエピソードです。

「宮のために」心をこめた源氏の舞への賞賛と嫌味

末摘花との初夜のあと、頭の中将が持ってきた仕事の相談は、上皇へのお祝いのための行幸(帝の外出)についてでした。源氏は頭の中将と組んで『青海波』を舞うことになり、音楽の担当者を選んだり、準備や練習に忙しかったのです。

お祝いは上皇御所で行われるので、宮中の女性たちは見られません。桐壺帝はそれを惜しみ、ぜひ藤壺の宮に見せてやりたいと、御前でリハーサルを行わせることに。宮中の皆が大注目です。

秋の夕日のなか、源氏は心をこめて舞いました。誰よりも宮のために…。通常の青海波とは一線を画す内容に加え、想いが込められた仕草の一つ一つが多くの人の胸を打ちます。桐壺帝は感涙。本番まだですよ!

多くの人が賞賛する中、源氏の母・桐壺の更衣をいじめ殺した弘徽殿女御は「見事ね。あまりに美しいので、鬼神などに魅入られて、神かくしにでも遭いそう」と嫌味。

彼女は帝が宮と源氏をひいきにするのが不愉快でたまらない。キツイ一言に、側で聞いていた女房たちも(うわ、こわ~い。縁起でもない)と引きまくりです。

宮は(あの過ちのことさえなければ、もっと手放しでこの舞を褒められたのに)と思いつつ、さすがに感動を隠しきれず、翌日源氏からの手紙に珍しくレス。妊娠後は一度も源氏とコミュニケーションを取らなかったので、源氏は手紙を拝むほど喜びました。

本番の行幸も大成功。「あまりの美しさにゾッとした」「途中で時雨が降ったのも、天が感動して泣いているのかと思われた」「この世のものとは思えない」。…なんだか映画の予告編のよう。文章で芸術を表現するのは難しいですね。ちょっと見てみたい気も。

更に、相方の頭の中将については、“源氏が桜なら、彼は山の木”。十分すぎるほどイケメンなのですが、源氏の引き立て役に回されています。

ともあれ、この成功で源氏と頭の中将は昇進。関わった役人らも恩恵に与り、源氏に感謝することしきりです。帝は「源氏が本当に神かくしに遭っては大変だ」というので、特別な祈祷などをさせています。また弘徽殿女御はイラッ!あなたが怖いこと言うからじゃないかな…。

「私の結婚相手はお兄さま?」アンビバレンツな紫の君のお正月

強奪するような形で二条院に引き取られた紫の君は、源氏になついて何不自由のない暮らし。遊びはもちろんお習字から琴、和歌など、習い事もバッチリです。

紫の君は頭が良いので、教えたことをどんどん吸収し、めざましく成長していきます。「将来は宮のような女性にしたい」と思う源氏は、父親気分を味わってご満悦。紫の君は、宮の身代わりで、源氏の自己満足の道具です。

それでも、源氏は生活の面倒も見、亡くなった祖母の尼君の法事も行い、乳母も「思いがけない幸運」と感謝。継母のもとで苦労するより、源氏の庇護下で楽しく、のびのび暮らせる方が良かったのも本当。アンビバレンツ。

そしてお正月。源氏の「あけましておめでとう、1つ大人になった?」の挨拶に、紫の君は「犬君が『追儺(おにやらい)』をするって、お人形のお家を壊したから直してる」。まるで大事件が起きたかのように話します。

旧暦なので正月は立春、大晦日は今の節分です。源氏はそれも微笑ましく「犬君はおっちょこちょいだね。すぐ修理を言いつけるよ。せっかくのお正月だから泣かないでね」。引き続きお人形遊びに夢中の紫の君に、乳母の少納言はつい小言が出ます。

「今年は11歳、もうお人形遊びは卒業しませんと。姫様にはご夫君がおありなんですよ」。紫の君はキョトン。「私のお婿さんて、お兄さまのこと?」

乳母や女房たちの夫はみんなオジサンでみっともないのに、私の結婚相手はあんなにカッコいいんだ。彼女にとって、初めて源氏をパートナーとして認識されたお正月。でも、まだその程度で、源氏をお父さんかお兄さんのように慕っているだけでした。

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