愛犬家住宅コーディネーターに聞く、犬のためのリフォーム術

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愛犬家住宅コーディネーターに聞く、犬のためのリフォーム術

昔と違って犬は室内飼いが基本の昨今。里親募集でも譲渡の条件は“室内飼い”となっていることが多い。

そんな時代、“愛犬家住宅コーディネーター”という肩書きで、住宅デザインを提案する人たちがいる。どんな住宅が犬にとって良いのか? 筆者も愛犬コーギーのために興味津々。リフォームした実例と共に、そのキモを教えていただいた。

“愛犬家住宅”って、どんな家?

犬種にもよるが、犬は集団生活を好む生き物。家族の一員として、家族と遊び家族を守るのが彼らの思い。しかし、人にとって住みやすい家が、犬にとって住みやすいとは限らない。

“愛犬家住宅コーディネーター”という資格を設定し、教育・普及活動を推進しているワンオンワン社によると、“愛犬家住宅”とは、愛犬と愛犬家の目線で「安全・安心・快適」に暮らせる、さまざまな工夫とアイデアにあふれた家ということ。コーディネーターは、愛犬の「育て方」と愛犬の「住まい方」を両軸で“愛犬家住宅”を提案するスペシャリスト。現在の資格者は全国に3671名(2016年7月時点)。

今回は愛犬家住宅へのリフォームを自邸でも実践し続けている、人気コーディネーターの池田千夏子さんにお話を伺った。【画像1】愛犬家住宅コーディネーターの池田千夏子さん。在住の北海道を拠点に、会社員と二足のワラジで活躍中!(写真撮影/藤井繁子)

【画像1】愛犬家住宅コーディネーターの池田千夏子さん。在住の北海道を拠点に、会社員と二足のワラジで活躍中!(写真撮影/藤井繁子)

「愛犬はゴールデンレトリバー。14年前に建てた自宅も犬のために工夫したつもりでしたが、コーディネーターの勉強をして犬への理解が深まり、6年前“愛犬家住宅”にリフォームしました」という、池田さん。【画像2】Before:リフォーム前の玄関まわり。お散歩から帰った愛犬(北海道は雪・泥道が多いからレインコート必須!)が、モノにあふれたなかで……(写真提供/池田千夏子さん) 【画像2】Before:リフォーム前の玄関まわり。お散歩から帰った愛犬(北海道は雪・泥道が多いからレインコート必須!)が、モノにあふれたなかで……(写真提供/池田千夏子さん)【画像3】After:シャワー付き&タイル敷きで広めの玄関に、スッキリ・リフォーム!(写真提供/ワンオンワン)

【画像3】After:シャワー付き&タイル敷きで広めの玄関に、スッキリ・リフォーム!(写真提供/ワンオンワン)

今回のリフォームには、屋内外37項目にものぼる工夫ポイントがあるそう。ここでは、特に大切なポイントを中心に紹介してもらった。

「お散歩は毎日数回行う、愛犬にとって楽しみで愛犬家にとっては手間のかかるものですよね。それを、スムーズにストレスなく行えることが、お互いの日常をHappyにすること。まずは、玄関まわりでお散歩と犬のケアが完結するよう設計します」と、池田さん。

筆者が驚いたのは、シャワーが玄関外ではなく、内側に付いている点!?

「中・大型犬は外での足洗い後、足が汚れないように担いで家の中に入るのも難しいですよね。なので、家の中で洗って、そのまま部屋に上がれるようにします。玄関内は“室内”として、人も玄関外で靴を脱ぐスタイルです」

タイル敷き玄関は清掃性が高いだけでなく、夏場はヒンヤリ気持ちよいのでワンちゃんが好む場所。

わが家の愛犬も、暑い日は玄関タイルに寝そべっている……それを容認するなら、玄関タイルは室内として人間がきれいに使えば良いという納得の発想! 【画像4】玄関横には、犬にも使うドライヤーやビルトインのゴミ箱、鏡(これは飼い主用)などを備えた収納を設置(左)、愛犬が出て行かないようにロールゲートをすれば玄関扉を開け放つことも可能(右)(写真提供/池田千夏子さん) 【画像4】玄関横には、犬にも使うドライヤーやビルトインのゴミ箱、鏡(これは飼い主用)などを備えた収納を設置(左)、愛犬が出て行かないようにロールゲートをすれば玄関扉を開け放つことも可能(右)(写真提供/池田千夏子さん)【画像5】玄関への廊下は、両サイドが収納。犬グッズだけでなく人間(飼い主)のお出かけグッズもしまっている。この動線上にあると帰宅時も直ぐ片付き散らからない(写真提供/ワンオンワン)

【画像5】玄関への廊下は、両サイドが収納。犬グッズだけでなく人間(飼い主)のお出かけグッズもしまっている。この動線上にあると帰宅時も直ぐ片付き散らからない(写真提供/ワンオンワン)

「モノが散らかると人はストレスがたまる、そのイライラが犬に伝わって犬のストレスになり、もっと散らかされてしまうことに! モノは使いやすい場所に全て収納し、外に置かないようにします」

大切なのは、犬の居場所づくり

人のイライラや感情を読み取る犬の感性はスゴい。筆者も犬にはつくり笑いをしてでも、安心させようと努めている(笑)。

犬が安心して過ごすためには、飼い主の愛情以外にも大切なことがあると池田さん。

「犬にとって落ち着くのは、穴蔵のような場所。家の天井高が2.4mとすれば、犬の体高30㎝の8倍。これって、人で言うと体育館くらい高い天井!落ち着きませんよね」

なので、天井の低い犬の居場所をつくってあげることは必須とのこと。【画像6】収納ユニットの下をトンネルのようにして、愛犬の居場所&通路に。上は空気清浄機置き場やワンちゃんグッズの収納に(写真提供/ワンオンワン) 【画像6】収納ユニットの下をトンネルのようにして、愛犬の居場所&通路に。上は空気清浄機置き場やワンちゃんグッズの収納に(写真提供/ワンオンワン)【画像7】居場所スペースはケージが入る大きさにつくるのがポイント。扉を閉めたり、ケージに入っても安心して待てるトレーニングの場にもなる(写真提供/池田千夏子さん)

【画像7】居場所スペースはケージが入る大きさにつくるのがポイント。扉を閉めたり、ケージに入っても安心して待てるトレーニングの場にもなる(写真提供/池田千夏子さん)

基本的に犬は家族の近くに居るほうが安心するので、家族が集まるリビングルームに居場所をつくってあげると良いようだ。 【画像8】リビングルームのテレビボード下を居場所にリフォームしたケース(写真提供/池田千夏子さん) 【画像8】リビングルームのテレビボード下を居場所にリフォームしたケース(写真提供/池田千夏子さん)【画像9】消臭調湿タイルが敷かれたスペースで、スヤスヤ眠る愛犬(写真提供/ワンオンワン) 【画像9】消臭調湿タイルが敷かれたスペースで、スヤスヤ眠る愛犬(写真提供/ワンオンワン)【画像10】こちらは、1室全部ワンちゃん部屋!穴蔵スペースに大満足そう(写真提供/池田千夏子さん)

【画像10】こちらは、1室全部ワンちゃん部屋!穴蔵スペースに大満足そう(写真提供/池田千夏子さん)

わが家のコーギー犬も、テーブルの下や20cmほどの高さの隙間にもぐり込むことがある……居場所をつくってあげなきゃ(反省)!

隠し収納&ストレス発散で、部屋は荒らされない!

家の中で犬がモノを噛んだり、壊したりして困った話しをきくこともあるが「まず、モノを犬が届く所に置かないことが一つ。収納はビルトイン型で収め、お水のボールを床に直接置かないほうがお掃除もラクですよ」と、池田さん。【画像11】キッチンの背面扉内には、冷蔵庫や家電を収めた食器棚を格納。キッチンも荒らされないようシャットアウト(写真提供/ワンオンワン)

【画像11】キッチンの背面扉内には、冷蔵庫や家電を収めた食器棚を格納。キッチンも荒らされないようシャットアウト(写真提供/ワンオンワン)

【画像12】ゴミ箱も置き型だとひっくり返されるが、カウンターにビルトインでシュート型にすればスマート!分別で2口穴(写真提供/ワンオンワン)

【画像12】ゴミ箱も置き型だとひっくり返されるが、カウンターにビルトインでシュート型にすればスマート!分別で2口穴(写真提供/ワンオンワン)

 【画像13】ご飯&お水を置く専用台も、収納ユニットにビルトイン。大型犬には高さがあると楽だし、床掃除の邪魔にもならず、犬も人間もストレス・フリー(写真提供/ワンオンワン)

【画像13】ご飯&お水を置く専用台も、収納ユニットにビルトイン。大型犬には高さがあると楽だし、床掃除の邪魔にもならず、犬も人間もストレス・フリー(写真提供/ワンオンワン)

「あと加えて、犬がストレスをためないように、お散歩以外でも適度な運動が家でできる動線をつくると良いですね」

池田さんのお宅では、収納ユニットまわりは回遊できる設計になっている。【画像14】2階から見下ろした所。犬の動線には、床に滑り止めコーティング剤を塗ってあるが、大型犬はさらにコルク材フロアマットで足腰を保護(写真提供/ワンオンワン)

【画像14】2階から見下ろした所。犬の動線には、床に滑り止めコーティング剤を塗ってあるが、大型犬はさらにコルク材フロアマットで足腰を保護(写真提供/ワンオンワン)

実は、2階も吹き抜けまわりの廊下を回遊できる設計アイデア!【画像15】犬はストレス解消、ママは肥満解消!(写真提供/ワンオンワン) 【画像15】犬はストレス解消、ママは肥満解消!(写真提供/ワンオンワン)【画像16】家の外周も少しスペースを取れば、ドッグランになるという提案。一部を砂利敷きに(写真提供/ワンオンワン)

【画像16】家の外周も少しスペースを取れば、ドッグランになるという提案。一部を砂利敷きに(写真提供/ワンオンワン)

このような少しずつの工夫で、犬も飼い主もストレスが少ない住まい=愛犬家住宅になるのだ。

「おウチが片付いていると、時間と心にゆとりが生まれます。その時間でワンちゃんと遊んであげられるし、家族皆がハッピーになりますよね!」

そんな愛犬家住宅コーディネーター池田さんのお話に共感して、早速わが家も玄関を掃除し室内化した。

今日も気持ち良さそうにタイルで涼をとる愛犬を見て、気持ちが安らぐプチ愛犬家住宅!●取材協力

・株式会社ワンオンワン/愛犬家住宅
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