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ラノベ作家同士はいつもどんな話をしているの? 投稿サイト出身作家に聞く

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小説投稿サイトで注目を集めた小説が書籍化し、ヒット作品になる。

このほどハリウッドで実写ドラマ化が発表された『ソードアート・オンライン』の原作者である川原礫さんは、もともとは小説投稿サイト「Arcadia」で投稿していた経歴を持つ。

ライトノベル作家たちを取り巻く環境も大きく変わりつつある。「小説家になろう」への投稿をきっかけに『火刑戦旗を掲げよ!』でMFブックスからデビューしたライトノベル作家・かすがまるさん。

そのインタビューにおいて彼が繰り返し話しているのは、投稿サイト内で生まれる作者と読者の不思議な絆であり、その絆がモチベーションにつながっていくという話だった。

第2回:人気小説は「ライブ感」から生まれる

第1回:「ライトノベル作家」に夢はありますか?

第3回は作家と出版社の関係、ライトノベル作家同士ではどのような話をしているのかということについて話を聞いた。

(取材・文/金井元貴)

■どこが重視されるのか? ウェブと紙の違い

――かすがまるさんが小説を投稿している「小説家になろう」は、基本的にテキストのみでの投稿ですよね。ライトノベルの場合、一般的にはイラストが重要とされていますが、かすがまるさんは作家の立場からイラストの扱いについてどうお考えですか?

かすがまる:確かにライトノベルが売れるかどうかは表紙のイラストの力が大きいという話がありますし、(イラストは)読者が本を手に取る上での窓口ですから、それは正解だと思います。やはり本の場合は、手にとって買ってもらわないといけないので。

「小説家になろう」は書き手も読み手もお金をかけずに利用できます。だから読者さんは1、2話ちゃんと読んだ上で、そのまま読み続けるかどうかをジャッジするわけです。だから、イラストのような取っ掛かりはあまり必要ありません。

――内容の面白さで判断されるのはシビアですね。

かすがまる:そうですね。1、2話くらいで読者の心をつかまないといけないので、そこに注力します。投稿だけ考えれば、イラストの力は考えない方がいいのかな、と。

――となると、投稿サイトのライトノベルと一般流通している本のライトノベルは別のものと考えたほうがいいのでしょうか?

かすがまる:その辺の定義について私自身は答えを持っていませんが、「小説家になろう」に限っていえば、物語に入る上で(最初の1、2話が)重要視されるという話ですし、書籍のライトノベルは表紙のイラストからその物語に入っていくということです。

だから新規の読者さんにどこで興味を持ってもらうかの違いなのだと思います。作品をどう売りたいかという、ビジネス的な戦略の違いってことなのかな。でもそこは作家の考えることではありませんよね。

――KADOKAWAが仕掛ける「カクヨム」もスタートして、小説投稿サイトが今、大きく盛り上がっていますが、投稿サイト発の小説の書籍化が増える中で、出版社側も投稿サイトをいかに活用するかという方向にシフトしています。

かすがまる:それは間違いなくある動きですね。

――それは一方で、出版社側が「育成する」よりも「人気作を発掘する」方向に進んでいるようにも感じられますが…。

かすがまる:基本的に作家としての考えは、読者と一緒に楽しんで物語を作っていきたいということが念頭にあります。

「小説家になろう」ではそれがお金をかけずに両者ができるわけですよね。インターネットでも有料サイトなどはありますし、原稿料が発生するならばそちらの方が作家の寿命を延ばすことにもつながるのでしょうけど、読者は限られますし、そういう動きは生まれにくいのではないかな。

■アツく語るのは学生デビューした作家

――お答えしにくい質問かもしれませんが、かすがまるさんが『火刑戦旗を掲げよ!』でデビューされたときはどのくらいの部数だったのですか?

かすがまる:非常に答えにくいところですね(苦笑)。ただ、これはよく聞く話で、投稿サイト発の小説はすでに読者さんがついているので、どのくらい売れるかという見込みが立ちやすいようです。ようは売れる裏付けがあるわけですね。

だから、一般的な書籍よりも初版部数は高くなる傾向にあると言われています。

――出版にあたり契約書を結ぶわけですよね。一方的に「これでそのまま印鑑を押してください」という雰囲気はあるんですか?

かすがまる:まったくそうではないです。この文言はどういう意味なのか、どういう内容なのかということを細かく聞くことはできます。ただ、印税率を変えるみたいなことは不可能でしょうね。こちらは新人作家ですから(笑)。

――他のライトノベル作家さんとの交流はあるのですか?

かすがまる:そこまで頻繁にはないですね。定期的な出版社のパーティーでお会いしたり、連絡を取り合って飲み会をしたり遊んだり。ただ、皆さんお忙しいですし、そもそも生活圏が全国津々浦々ですから。

あとは専門学校で講師をしているので、そこで他の作家さんにお会いすることは多々あります。まあ、どうしたって講義についての打ち合わせがメインになりますが。

――作家さんたちと集まったときには、例えば印税の話とかをしたり…。

かすがまる:(笑)さすがに自分の話はしませんし、そこは一般の人たちと同じですよ。

でも、やはり一番興味深いのは作品のストーリーの話ですね。「今、こんな話を考えているんだよね」とか。自分のアイデアをちょっと話してみて反応を見てみたり。そうなると大喜利みたくなっていくんです。面白いアイデアには面白いアイデアをかぶせるみたいな。

例えば、バス停でバスを待っている時に「今もし、みんなで異世界転生したら」という話が出てきました。それぞれの本業や作風によって活躍の役割分担をしたり。こういう話ができるのはちょっと独特かもしれませんね。

――普段からそういった面白いことを考えて続けているからこそですね。

かすがまる:そうですね。でも基本的に皆さん大人なので心配りができます。また、学生でデビューした作家さんもいらっしゃるのですが、語る言葉がものすごくアツいんです。ドキドキしますよ。

――かすがまるさんも自分のネタを仕込んでいるんですか?

かすがまる:面白い方は本当に面白いネタ仕込んでますね。とある超売れっ子作家さんにネタふりしてドンピシャの仕込みネタを返された時には感動しました。ご紹介できないのが勿体ないくらいです。さすがですよ、本当に。

僕は「小説の書き方を教えることになったので、みなさんの文章を参考にしてもいいですか?」と聞いてまわったりしました。みなさんは「おー、ぜひやってくれ!

でも、テスト問題にしたらそれは見せてくれ」と。自分の作品に傍線が引かれて入試問題みたいになったら面白いですもんね。筆者の気持ちを考えろ的な。ネタとして仕込むかな(笑)。

(第4回へ続く)

■かすがまるさんプロフィール

東京都出身。2014年1月よりネット上で連載開始した『火刑戦旗を掲げよ!』にて、小説家になろう大賞2014、MFブックス部門の優秀賞を受賞する。本職は学習塾の講師で担当は数学と国語。

■新潟アニメーション

新潟市に拠点を置くアニメーション制作会社。「ニイガタからアニメーションの新たな可能性を世界へ発信する」というビジョンを掲げ、2014年2月創立。現在、地元テレビ局の番組内アニメ制作、アニメCM制作、ゲームOPアニメ制作、遊戯機器アニメ制作、TVシリーズのデジタルペイントなどを手がける。近年ではとくに新潟におけるアニメのデジタル制作の体制構築に注力している。

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