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試される舌と鼻! 1樽2000万円のワインを雰囲気だけ味わってきた

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サッポロビールが、オーストラリアが誇るワインペンフォールズより世界で13樽(たる)しか販売されない希少ワイン『マギル・セラー3 2015』を、1名もしくは1企業に対して1樽限定2000万円で販売するというとんでもないことを始めている。

そこで記者はサッポロビールに、いったい誰が買うのか、どんなワインなのか、そのような疑問を持って直接取材した。

対応してくれたのは同社ワイン事業部の忽那(くつな)泰範さん。もちろんソムリエの資格を持つ。

--ペンフォールズというブランドについて教えてください。

「もともとワインが作られていなかったオーストラリアや南米のチリなどの地域をニューワールドと呼びます。ペンフォールズはオーストラリアのワインでアデレードにあります。日本での価格帯は2000円から10万円くらいで、そのほとんど約20種類を当社が扱います」

--ところで、なぜ2000万円の樽を売ろうと思われたのですか?

「実は企画そのものは私たちではなくペンフォールズのものなのです。と言いますのは、ワイナリーと消費者というのは間にいくつもの流通経路を経由しますのでどうしても遠いという思いがあったのでしょう。そこで、最上のワインを直接樽ごと買っていただいて消費者に直接見てもらおうとした企画のうちの1樽を当社が買って販売することにしました。13樽あるうちの1樽で、ほかの樽はもうすでに他の国に買い手がついているようです」

--直接見てもらうというのはどういうことですか?

「購入者には日本―アデレード間のファーストクラスの航空運賃、オーストラリア国内の移動経費、宿泊費を2名分の提供することになっていまして、食事や非公開の醸造所見学やワイナリーへの入場特典も提供されます。つまりワイナリーが直接、購入者と交流できるという意味なんです」

--ところで6月21日から購入受付をしているようですが、希望者は現れたのですか?

「はい、すでにお問い合わせはいただいております。この樽を購入されても再販は禁止されている等の条件がありますので、そのあたりをきちんと詰めてからのご購入となりますので、まだ決定はしていませんがそう遠くない時期に決まるものと考えております」

--2000万円のワインというのはどういう味なのですか?

「まだ誰も飲んだことがないので、わからないのですよ(笑)。ですが、今日はブドウの種類や樽の使い方から考えて、ただ1本10万円のワインではそう簡単に飲んでいただくわけにもいきませんので、1本1万円くらいのBIN389というワインを用意しましたので一緒に飲んでみましょう」

ということで、2000万円のワインはおそらく飲む機会はないだろうから、1万円のワインで雰囲気だけ味わうことにした。

忽那さんはそう言って、BIN389のボトルを開封し始めた。しかしこれでも1万円なのだから記者にとっては超高級品だ。

--2000万円のワインを750ミリリットルの瓶に換算するとどうなりますか?

「だいたい336本分になります。ですから1本当たり6万くらいですかね。でも、あくまでもワイナリー直販価格なので、仮に市場に出回れば…再販禁止ですから出回りませんが…どうなるのでしょうね?(笑)」

「コルク抜きの先端は、まっすぐに差そうとしても曲がってしまいます。ですから始めはこのようにらせんに合わせて差し込んで立てればきれいに入りますよ」

と、コルク抜きのコツを教えてくれた。

忽那さんがまずグラスに注いで何やらチェックしている。
さすがソムリエだ。

香りをチェックする忽那さん。

テイスティング。
問題はないようだ。

そして記者のグラスに注がれる。

「そのままの状態でどんな香りがしますか?」

えっ?突然そんなことを聞かれても…。ソムリエのようにナッツの香りだとか何かの花の名前を言えばいいのか?

--えーっとですね。なんだかエタノールの香りがします。

これは答えとしては失敗か?よりによってエタノールだなんて。病院じゃないんだから。

「よくお分かりですね。そうなんです。アルコールの香りが強いんですよ。大正解です。と言いますのは、良いワインは何十年寝かせても持つようにアルコール度数を高めにしているのですよ。これは14.5パーセントですが、開封した瞬間はそのアルコールの香りがワッと出てきます。もちろん好き好きですが、その開封したての新鮮なパワーのあるワインが好きな方もいらっしゃいます。では、グラスを振ってみてください」

お!正解だったらしい。

--んー、何でしょうかね?花のようなブドウの皮の部分の香りというか…でも確かに変わりましたね。

「今度は空気に触れさせてアルコールを少しだけ飛ばした分、ワインの中の香り成分が出てくるので花のような香りなんかはしますよね。ちなみにコショウのにおいはしませんか?」

--コショウですか?しません!っていうか、わかりませんよ(笑)。

「でも、皮のにおいというのは近いかもしれませんね。表現は自由ですから何でもいいのですよ、では飲んでみてください」

--あれ?あれだけエタノールの香りがしたのに、ワイン独特の渋みはあるのにすっと消えて残りません。

「そうなんですよ。このBIN389は飲みやすいですよね。おそらく万人に飲みやすいワインだと思います。これが2000万円のマギル・セラー3 2015に似ているのかどうかはわかりませんが、同じブランドで同じところで取れたブドウもあるかもしれませんので、もしかしたら…ですね(笑)」

だいぶテイスティングをして残ったワインは記者がいただくことになった。
その際にいろいろとワインの楽しみ方を教えてもらった。

「ワインは開封したらすぐに飲み切らないといけないと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。残ったワインのコルクは最初に栓をしてあった逆のほうを差します。無理に栓をしてあった方を指すと割れてしまいます。よく寝かせてコルクを湿らせておかなくてはいけないといわれますが、あれは開封前のワインに限った話です」

「そして、残りを持って帰られて必ず立てて静かな冷暗所において明日にでも飲んでみてください。きっと違った味わいがするはずです。これは何も1万だからということではなく、2000円のワインでも同じです。そうやって時間をおいて飲むのもワインの楽しみです。酸化は悪いことばかりではないのです。新たな味わいが出るワインも楽しんでいただければと思います。どんな価格帯のものであっても、皆さんがおいしいと思ったワインがいいワインだと思いますよ。そんな時間を楽しんでください」

「ただ、素人というと失礼かもしれませんが、初心者の方にこそ良いワインを飲んでいただきたいと思います。なぜかというと記者さんも言われたように飲みやすいワインが多いのも事実なんです。つんだブドウから厳選して良いものから高いワインになっていきますので当然と言えば当然かもしれませんが、飲みやすいワインのほうが楽しんでいただけますよね。格式や形式も大切ですが、皆さんの舌で飲みやすいと感じるワインはきっと楽しんでいただけると思います」

テイスティングで残ったワインを大切に持ち帰り、ついでに同じペンフォールズのBIN8という、どこにでも売っている4000円くらいのワインを手に入れて飲んでみた。
BIN389を飲んだらBIN8は当然残るので、これはまた栓をして翌日楽しむことにしよう。
お近くのお酒売り場でお手頃価格帯のペンフォールズを手にして2000万円の雰囲気だけでも楽しんでみてはいかがだろうか。
もし、幸運にも『マギル・セラー3 2015』を飲む機会に恵まれた方は、ご一報いただければ幸いである。

※写真はすべて記者撮影

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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