「真犯人の逃げ得」 冤罪被害者の菅家さん「時効延長」訴え
4歳女児が殺害された1990年の「足利事件」で無罪判決を受けた菅家利和さんと、同事件を含む5つの幼女殺人・失踪事件の被害者家族を支援する有田芳生参院議員ら5名は2011年10月27日、記者会見を開き、足利事件に関連する真犯人追求のための時効延長と警察捜査の再開を求めた。
1990年に栃木県足利市で松田真実ちゃん(当時4歳)を殺害したとして殺人や遺体遺棄の罪に問われた菅家さんは、逮捕・起訴の根拠とされていた遺留物のDNA型鑑定の再鑑定が行われたことで2010年に無罪判決が下されている。しかし、事件当時の法律で殺人罪の時効が15年とされていたことから足利事件は2005年に時効を迎えている。また他の4事件に関しても、群馬県太田市で横山ゆかりちゃん(当時4歳)が行方不明となった事件以外は時効が成立している。これに対し、菅家さんと被害者家族を支援する三原じゅん子参院議員ら5名は、真犯人追求のため5事件の時効延長と警察の捜査再開を求めている。
菅家さんは無罪判決後の心境を「灰色の気持ち」と表現。17年間、自身の自由を奪われた一方で時効を迎えた足利事件について
「時効はあってはならないと私は思う。真犯人の逃げ得。これは絶対あってはならない。真実ちゃんの両親は、小さな子供が殺されたわけですよ。犯人を許すわけにはいかないと思っている。これは真犯人が捕まるまで一生、私としては灰色の気持ち」
とし、
「私は真犯人がいると思っている。足利事件は時効になったかもしれないけれど、(まだ時効になっていない)太田(市)の犯人は足利事件と同一犯だと思っているから、それを捜査してほしい」
と、訴えた。
5事件の被害者家族を支援する有田議員は、「(ことし)3月8日の参議院予算委員会で、国家公安委員長の中野寛成氏が5つの事件について『同一犯の可能性は否定できない』と積極的な答弁をした」と語り、足利事件における時効延長のため署名を1万名分集めた時点で、野田首相や中野国家公安委員長に提出する方針を示した。
一方で、記者から現状、足利事件の捜査が終了していることについて聞かれると、菅家さんは「時効になったとしても捜査はしてもらいたいと思っております。被害者の方も時効はあってはならないと思っている」と、改めて捜査の再開を求めた。
◇関連サイト
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http://live.nicovideo.jp/watch/lv68695558?po=news&ref=news#5:15
(松本圭司)
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