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「若い頃は記憶力がよかった」は幻想である!~マガジンハウス担当者の今推し本『「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方』

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こんにちは、マガジンハウスです。今回ご紹介する本は……タイトルだけでギクッとされる方もいらっしゃいそうですね。かくいう我がマガジンハウス宣伝プロモーション部でも、立ち上がって「あれ、何しようとしてたんだっけ……」と数分うろうろしたり、編集部に電話をかけては「えーと、あれ、あの人……いますか?」など意味不明なことを言ったり、といった様子が日々、繰り広げられています。不安ですね。というわけで今日は本書の著者で、記憶術と速読の先生でもある宇都出雅巳さんにお越しいただきました~。

――――初めまして! 早速ですが、宇都出さんの経歴やこれまでの著書を拝見すると、受験のお話が多いですよね。

宇都出(以下U) 「ええ。というのも、記憶がシビアに求められるのは試験ぐらいなんですよ。覚えてないと落ちちゃうんで。でも、もちろん日常生活でもある程度は必要だよね、ということで、こういう機会をいただき考えてみたら、記憶力が求められることってけっこうあるなと。私も勉強になりました」

――――主に受験の本を出されてた方が、今回ちょっと毛色の違う本を書かれた。その経緯は?

U 「私も50歳を前にしまして、同窓会などに行って私がこういう本を出していると言うと、同じぐらいの年齢の友人たちが、“最近俺、記憶力悪いんだ”とか、“試験勉強も、若い時は覚えられたのに今はもう大変で”というふうに、記憶についての悩みを相談してくるんですよ。でもその悩みどころが、記憶の本当のメカニズムからするとちょっとずれてているというか、あんまり心配しなくていいことで悩んでたりするので、そこらへんを本にしてみようと思ったんです」

――――個人的には35歳ぐらいからですね(断言)。「覚えてない、忘れちゃった」ということを頻繁に言うようになりました。でも、本書を読むと、必ずしも年齢が原因ではないのかなって気もしてきて。

U 「はい。だいたいみなさん、“若いときは記憶力がよかった”っておっしゃるんだけど、脳科学や認知科学の実験や研究の結果、実は年齢はあんまり影響がないと言われてるんです。もちろん認知症とか病気になると別なんですけど、年齢ではない色々な要因があるんですね。年をとるほど、考えることが多くなったり付き合う人も増えてくるし、特に今は情報化社会で昔よりも情報量が増えてますよね。そういう意味では記憶力が落ちてきたというよりも、我々の環境がかなり変わってるということ。だからこの本では、みなさんそんな悩む必要ないですよ、ということもお伝えしたかったんです」

――――経験を積むと考えることが増えるから、悩みという形になるんですかね。若い人は忘れても悩まないっていうか(笑)。

U 「それもありますが、誰でもちょっと忘れる体験ってありますよね。名前が出ない、勉強したのに次の日もう忘れてるって。歳をとるとついつい、“若い頃はできたのに”って比較しちゃうんですよ。それは、若い頃という比較の対象があるから。でも、じゃあ若い頃は本当に記憶力よかったのかっていうと、実はそうでもないっていうのが実際のところなんですけど。記憶って面白くて…」

――――若い頃は記憶力がよかった、そういう記憶にしている(笑)。

U 「仰る通り(笑)。記憶って常に再構成されてるんです。人間の記憶って本当にいい加減なんですよ。友人と昔の思い出をしてて、“あの時こうだったよね”って言っても、“え、そうだったっけ?”ってことがあるのはそのせいです」

――――自分の都合いいように覚えてますよね。

U 「だから、若い頃は覚えられたのにって記憶を持つ年配の方のほうが悩まれる。でも若い方でもいますよ、小さいときは覚えられたのにって」

――――(笑)

U 「小さい子どもって、いろんなキャラクターとか本当によく覚えますよね。私も小さい子どもがいるからわかりますが、あれって、異様に繰り返してるんですよね」

――――確かに子供を見てると、すごく記憶力がいいなと思うんですが、我々大人に比べてほかの情報が少ないせいか、一日中ドラえもんのことばっかり考えてるからですかね。

U 「その通り。なので私の勉強法は、その<繰り返し>をいかに楽にするかということなんです。普通、みなさんは繰り返しをいかに避けるかっていう勉強法を求めて、ドツボにはまってくんですけど。繰り返しは必然のことと受け止めて、その繰り返しをいかに楽にするかっていうのが試験勉強ではものすごく鍵になるんです」

――――その発想を持って、そのやり方をマスターすれば、何歳になっても試験って受かるものですか?

U 「はい、受かります」

6年前、行政書士の試験に2か月で一発合格した宇都出さん。合格率6.6%の難関を、ブログで試験勉強を実況しながら突破し、ご自身の勉強法を実証!

――――そうか……。実は私、どんな受験勉強も、暗記も苦手な子どもでした。それでそのまま大人になって、まさに今この本のような状態になってるので、自分は人間の中でも特に記憶力が悪い個体なんだと思ってたんです。周囲の人を見てると、異様に記憶力のいい人もいるんですよね、手帳も持ってないぐらいの。それも基本的には<繰り返し>の違いだったりするんですか?

U 「行動習慣の違いってのは大きいですね、やっぱり。名前を憶えてる人なんかもそう、しきりに繰り返してるんですよ。黙ってるこの瞬間にも思い出してるとか。試験勉強もそうですけど、思い出す癖ってものすごく大事なんです」

――――思い出す癖……。

U 「人の話聞いたり授業受けたりすると、けっこうわかったつもりになるんです、覚えたって。でも実は“つもり”なんですね。だから、覚えたつもりで実際は覚えてないことは思い出すようにする。そうすると<繰り返し>が起こる。同時に、自分が何をわかってて何をわかってないか、何を憶えてて何を憶えてないかもわかるので、次の勉強につながっていくんです」

――――なるほど。

U 「記憶力がいいと周りから思われる人っていうのは、いかに人間は忘れるかということをよく自覚していて、だから繰り返すんですよ。忘れても落ち込まない。一方で、なかなか試験にも受からない人は、自分は記憶力が悪いんだって思い込むと、勉強しなくなってしまう時間ができる。そこの積み重ねの差って結構大きいです」

――――そうなると、個体差だとか、生まれつき記憶力が弱いから丸暗記の勉強は向いてないんだとか、まあ受験時のいいわけなんですけど(笑)、それはほぼないってことですかね。

U 「と、言われてます。理解が一番の記憶力なんです。勉強に興味を持てたら、好きこそものの上手なれでできるようになる。記憶力の良し悪しではそんなに大きな差はつきません」

――――ところで私、学生時代は相撲が大好きで、全力士の本名を憶えたりしてたんですが、何年も見ない時期があったら、今となっては全然思い出せないんですよ。せっかく覚えた知識が、どんどん忘れられている。この本に、覚えたことの8割は忘れるってあって、そこはすごく頷いてしまいました(笑)

U 「一日で忘れますよね。全部覚えてたら大変なんで、そういう風にできているんです。とはいえ、そこまで覚えてたのなら、ある程度の記憶は残ってるはずで、ただ思い出せなくなってるだけ。その力士のデータベースは記憶の中でネットワーク状になってるので、何かがきっかけでちょっと思い出すと、記憶が活性化し始めてほかの記憶も出てくるはずです」

――――特定のジャンルでたくさん憶えた事物があるっていうのは、ブランクがあっても必ずしも無駄にはなってないということですか?

U 「そうですね。それから、ほかのことにも使えます。たとえばアニメが好きな方が勉強をしなければならなくなったなら、自分の勉強してるものと好きなアニメキャラとを組み合わせたりもできる」

――――えっ?

U 「勉強嫌いな人って、そのテキストを見るのも嫌だ、なるべく少ない時間しか勉強しないで受かりたいって言われるんですけど、それってすごく難しいんです。近道はないから、まず勉強を好きになってほしい。気が付いたら好きなアニメキャラのことを思い出してるっていうのも、<繰り返し>なわけじゃないですか。それと同じように勉強も、気が付くとあの民法の条文のことを思い出してる、みたいにね」

――――え~~(笑)。

U 「それが試験勉強の近道。そのために何をするかというと、イメージ記憶法なんですね。自分の好きな分野のことと勉強してることをちょっとでもリンクさせるんです。アニメのキャラクターのいるシチュエーションを、勉強したいことの設定にちょっと結びつける。そうすると、それまで嫌だった科目がちょっとだけ好きなイメージに変わってくる。そうすると距離が近づいてくる。すると今まで思い出したくもなかったことなのに、<繰り返し>が起きてくるんですよ。繰り返すと覚えますよね。覚えるとそれが馴染みになる。馴染みになるとまたちょっとずつ興味が出てきて…って、次につながってくんですよ」

――――そうやって、まったく苦手だった教科をむしろ専門にされた方っているんですか?

U 「資格試験ではそういう方、多いですよ。税理士とか弁護士、会計士とか。キャリアチェンジで独立したいからってやられる場合は、全然知らないところへ行かれるわけですから」

――――そんな新天地へのチャレンジも、やり方ひとつで成功させられるんですね。

U 「はい。イメージ記憶法でイメージを変換させる。それでちょっと好きになる、それをちょっと紐づける……。記憶っていうのは記憶をまた連れてくるので、アニメだったり力士だったり、好きなものと結びつけて親しみを持てば、記憶を雪だるま式に大きくしてうまいこと循環できるので受験でも成功します」

「少しでも好きになって、記憶が記憶を呼ぶ、いい循環に入れるかどうか。それが試験はもちろんあらゆる勉強の明暗を分けます」(宇都出さん)

――――この本には、いろんな「思い出せない」ケースが挙げられて、それぞれの理由とどうすれば忘れないかが書かれていますが、宇都出さんのところに悩んで来られる方でいちばん多いケースは何ですか?

U 「いちばんは、このタイトルにもなっている<名前が出ない>ですね。やっぱり多いですよ」

――――宇都出さんは、いまお話ししていただいたこの時間だけで、もう私の名前は忘れませんよね。

U 「はい、それは繰り返してるんで」

――――そう、会話中に何度も名前を呼んでいただいていました(笑)。

U 「そうなんです。でも名前を忘れるのは悪いことではなくて、本にも書きましたが、名前ってほんと忘れやすいんですよ。私が宇都出っていうのも、何の理由もないですから。別の苗字でもいいわけで」

――――何も表してないですもんね。うつむいてるから宇都出さん、でもないし。

U 「ええ(笑)。ただ、社会的には名前を覚えるってすごく重要ですよね。だからみなさん名前の記憶にはすごく悩まれてるんです。イメージ法で覚えることもできますが、いちばん簡単にできる方法は繰り返し口に出すこと」

――――一方で、下の名前は由来で覚えるっていうのも納得でした。これはイメージ法に近いのかな。でも、同世代では割とできるんですけど、小さい子たち……友達の子供とかが、みんないわゆるキラキラネームだったりすると……なんでそこがさんずいじゃなくてにすいなの? みたいな。そうなってくるともう……。

U 「ああ……多いですよね、最近。今は漢字がすごいですよね。そこは確かに難易度上がってます(笑)」

――――あとですね、習い事の教室に新しく入ってきた仲間の、7人中4人が同じ名前だったんですよ(笑)。

U 「それはもう紐づけるしかないですよね。個々の情報を聞き出して結びつける。記憶って結びつきが増えると思い出しやすくなるんで」

――――風貌とか住んでる場所とか。

U 「そうそう、そういう情報を増やしたほうが思い出しやすくなる。いちばんいいのは、その人と話すことですね。経験っていうのは経験記憶といって一番思い出しやすいんです。その時に何を話したか、どんな喋り方だったか、経験をするとけっこう残りやすい」

――――さすがに宇都出さんも、7人中4人が同じ名前だったら、覚えるの大変じゃないですか~?

U 「(笑)でもね、試験勉強と違って、持ち込み可なんで。こっそり写メ撮ってもいい(笑)」

――――そうか(笑)。なんだか宇都出さんとお話ししてると、自分の記憶を試したくなりますね。私も何か資格試験受けようかなあ。

U 「是非、やってみてください!」

――――その時はまたこの本を熟読します(笑)。今日はカリスマ講義のようなお話をありがとうございました!


宇都出さんは、塾にも通わず東大にストレート合格。読書家で、年に1000冊読むとか。わーお!(写真・中島慶子)

今週の推し本

『「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方』 宇都出雅巳 著
ページ数:216頁
ISBN:9784838728497
定価:1,404円 (税込)
発売:2016.04.21
ジャンル:実用
[http://magazineworld.jp/books/paper/2849/]

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