大人もハマるラブコメ『オオカミ少女と黒王子』廣木監督インタビュー「恋愛映画って一つの成長モノ」
ひょんな事からついた嘘により、とんでもないドS男子に振り回される事になった主人公・エリカのドタバタを描いたラブコメ『オオカミ少女と黒王子』。
二階堂ふみさんと山﨑賢人さんをダブル主演に迎え、『娚(おとこ)の一生』『ストロボ・エッジ』など数々の恋愛映画を手掛ける廣木隆一さんが監督を務めています。少女漫画原作の映画は数あれど、“壁ドン”等の胸キュン仕草に頼る事無く、丁寧な人間描写が魅力な本作。廣木監督に作品について、恋愛映画を撮る心がけなど色々とお話を伺ってきました。
―本作とても楽しく、そしてときめきながら観させていただきました。映画がはじまってすぐの長まわしのシーンがとても印象的ですね。
廣木監督:「普通の女の子」が主人公の映画にしたいなと思ったので、渋谷の街から学校へのシーンは続けて。冒頭から10分くらいずっと女子高生達が走るシーンが続きますが、それはやりたくて。
―女子高生達の会話がとても自然だなと思ったのですが、監督がされた工夫等はありますか?
廣木監督:今回特に女子高生に取材とかはしていないんですけど、女子高生だったらこういう場所に行くかな、歩くかなという事を意識して。渋谷の街での撮影も少人数で行ったので、すごい人でどれがエキストラか分からなくなるほどリアルだったんだけど、それが街の空気感にもつながっているのかも。
―エリカが歌を歌うシーンはキュンとする青春シーンですね。
廣木監督:あそこ、恥ずかしいんですよ(笑)。歌にしたのは「どこで恋をした」という事をナレーションとか説明する事はしたくなかったので歌わせてみました。
―選曲が『今夜はブギーバック』という所がニクいです(笑)。西野カナさんとかでは無く。
廣木監督:二階堂と相談して決めたんですがかなりいい選曲だと思います。西野カナ、では無いんですよね。まあ俺が知らないだけなんだけど(笑)。
―主演の二階堂ふみさん、山﨑賢人さんは今回お仕事をしてみていかがでしたか?
廣木監督:二階堂は高校に通っている10代の頃にCMで仕事をしていて、面白い子だなとは思っていました。6年ぶりに再会して、女優になったなあって思いました。彼女がこういう作品に出たいと思って選ぶという事も良いなと思ったし、面白いんじゃないって。賢人はここまで立て続けに作品に出ている役者ってどんな人なんだろうって興味ありましたね。かなりドSなキャラクターだけれど、それがコミカルに見え過ぎ無ければ良いなと思ったので。自然なお芝居が自然に出来るって良い役者さんだなと。
―山﨑さん演じる佐田は、かなりドSキャラで、二階堂さん演じるエリカを振り回していましたが、同じ男として佐田みたいな男子はどう思いますか?
廣木監督:まあ、賢人くらいカッコ良かったらねえ(笑)。でも、いいんじゃないですか、最近いないタイプで。チャラチャラするよりも、黙ってついてこいタイプで。
―なるほど。一方で、吉沢亮さん演じる日下部という全くタイプの違う男子も出て来ました。
廣木監督:日下部君は日下部君で、実は一番自分に自信がある男ですよね。好きな人がいる女の子に「自分じゃダメ?」って聞くのってすごいですよ。吉沢君は「日下部君だったらどうするんだろう」というのを考えながら動いてくれたので。
―少女漫画原作の映画って、2、3ヶ月に1本のペースで公開されていて、人気のジャンルですが、監督は他監督のこのジャンルの作品はご覧になりますか?
廣木監督:よっぽどじゃないと観ないですね。やっぱりひっぱられちゃうし。大体の少女漫画って、普通の女の子が学園一のイケメンと付き合って、ライバルが出て来て……って感じじゃないですか。少女漫画のストーリーボードを最初に作った人ってすごいなって思います。コミックは、僕がピンク映画撮り始めた頃から大好きで。内田春菊とか岡崎京子とか、エロ漫画なのに攻めてて新しい事をやっているというか、よく影響を受けています。
―漫画も映画もエロという場所を借りて、自分のしたい事を表現してきた、という事なのかもしれませんね。廣木監督はこれまでも様々な恋愛映画を撮られていますが、ご自身は恋愛体質でしょうか?
廣木監督:恋愛体質だとは思います。でもそれ以上に、女性に会うと「どんな彼氏がいるのかな?」とか想像したり聞いたりして、人として興味ありますね。ほとんど取材ですね。色々な恋愛話を聞いてインプットして。これまで色々な恋愛映画を撮っていますけど、自分自身はそこまで恋愛のキャパが広いわけでは無いので、色々な女の人から聞いた意見を入れたりすると、ぴたっとハマったりして。後、観た映画にも結構影響されるんですよ。
―最近ではどんな恋愛映画がお好きでしたか?
廣木監督:最近だと『キャロル』と『リリーのすべて』。でもずっと好きなのは『ラスト・タンゴ・イン・パリ』。ちょっと悲劇的な感じが好きですね。そういう自分の好みもあって、最近は大人の恋愛映画も撮りたいなと思っています。恋愛映画って一つの成長モノだと思うんですよね。人を好きになって、うまくいかなくて、世の中にこんな辛い事があったんだと落ちる事で、初めて他人という物を客観的に見る事が出来る。『オオカミ少女と黒王子』もそんな話であるので、主人公達と同世代で無くても、きっと共感出来るシーンもあるんじゃないかと思っています。
―今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
『オオカミ少女と黒王子』ストーリー
街で見かけたイケメンを盗撮し、女友達に彼氏だとウソをついたエリカ(二階堂ふみ)だが、その彼は同じ学校の佐田恭也(山﨑賢人)!事情を打ち明けると、「彼氏のフリをしてあげるよ」と優しすぎる言葉を投げかけてくれた恭也。理想の王様!?と思った喜びもつかの間、「3回まわってお手からワン!だな」と突然ドS王子に豹変!!彼氏のフリをする条件としてエリカに突きつけられたのは、【絶対服従】という前代未聞の条件!果たしてウソから始まった2人の恋の行方はどうなるのか?
http://wwws.warnerbros.co.jp/ookamishojo/
(C)八田鮎子/集英社 (C)2016 映画「オオカミ少女と黒王子」製作委員
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