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築63年・日本初の分譲マンションが建て替わるまで

築63年・日本初の分譲マンションが建て替わるまで

2027年の完成をめざして大規模な再開発事業が進む渋谷駅周辺。もしもこんなところに家が持てたら、さぞ毎日が楽しくて便利だろうと妄想にひたってしまう。だが、そんな夢がもしかすると現実のものになるかもしれない。というのも今、渋谷駅近くの古いマンションが新しく分譲マンションとして生まれ変わろうとしているのだ。

東京都が分譲した「億ション」が建て替えへ

そのマンションは「宮益坂(みやますざか)ビルディング」。商業ビルのような名前だが、1953年に東京都が分譲した、日本初といわれる分譲マンションだ。地上11階建て地下1階建てで、1階が店舗、2~4階が事務所、5階以上が住宅として分譲された。以来63年の歴史を刻んできたが、老朽化には抗えず、この春に解体工事がスタートすることになった。

63年前といえばマンションの憲法といわれる区分所有法(1962年制定)が制定される9年も前の話。それ以前にも同潤会アパートなど賃貸の共同住宅は開発されていたが、一般向けに分譲されたのはこの宮益坂ビルディングが初めてらしい。吉田首相がバカヤロー解散をし、日本初のスーパーマーケット紀ノ國屋が青山にオープンしたのもこの年だというから、歴史を感じさせる。

売主の東京都が2億円の工費を投じて建てたとされる、当時としては最先端の共同住宅は、すべての住戸が34.01m2の広さで、価格は102万2000円。今なら億ションとされる価格らしい。新聞記事では「天国の百万円アパート」「特別船室さながらの豪華版!」などとして話題になった。全70戸のうち47戸は会社重役が申し込んだとか。【画像1】完成当時の宮益坂ビルディング周辺(写真提供:渋谷宮益商店街振興組合)

【画像1】完成当時の宮益坂ビルディング周辺(写真提供:渋谷宮益商店街振興組合)

各階に郵便ポストとゴミ出し口が付いていた

そんな歴史あるマンションが今、どうなっているのか、見に行ってみた。渋谷駅から徒歩2分ほどの宮益坂に面した場所に、その古めかしいビルがあった。1階は店舗がいくつか並ぶが、すでに閉まっている。ガラス張りのエントランスを入るとちょっとした吹抜けのホールが現れる。2階の事務所フロアへ上がる階段の脇の壁にはこれまたガラス張りのショーケースが並び、絵などが飾られている。【画像2】エントランスには独特なデザインの照明が(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】エントランスには独特なデザインの照明が(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

驚いたのは、エレベーターが2基あることだ。もちろん住宅としては初めてだったらしく、当初は青い制服姿のエレベーターガールがいたという。エレベーターの横には鉄製の白い箱のようなものがあるが、これはメールシュートだそうだ。各階の差し出し口から手紙などを入れると、1階まで落下し、たまった郵便物を郵便局員が回収してくれる仕組みになっていた。このマンションにはゴミ出し用のダストシュートも付いており、さすが億ションだけのことはある設備内容だ。【画像3】解体直前まで稼働していたエレベーター。扉の左横に郵便差し出し口がある(写真撮影:左/大森広司、右/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】解体直前まで稼働していたエレベーター。扉の左横に郵便差し出し口がある(写真撮影:左/大森広司、右/SUUMOジャーナル編集部)

茶だんすに風呂釜焚き口も付いたキッチン

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