ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

印象派の画家たちはスタイリストだった!? ポーラ美術館『Modern Beauty』展を観てきた [オタ女]

DATE: BY:
  • ガジェット通信を≫

神奈川県箱根にあるポーラ美術館。2016年3月19日から9月4日まで開催されている『Modern Beauty フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代』展では、収蔵されているクロード・モネ、エドゥアール・マネ、ピエール・オーギュスト・ルノワールといった19世紀フランスの印象派の画家たちの女性像で描かれているファッションに着目し、同時代のドレスや装飾具、化粧道具やファッション雑誌の前身となる“ファッション・プレート”を多数展示。1850年代から1920年頃までのファッションの変遷を紐解く展示となっています。

※すべての画像が表示されない場合は下記URLからご覧ください
http://otajo.jp/59411 [リンク]

ドレス・化粧道具に見るファッションの変遷

まず出迎えてくれるのが、1860年頃のイブニング・ドレス。クリノリン・スタイルでボディス(胴衣)とスカートに分かれており、シャンティ・レースのショールはフランス皇帝ナポレオン3世の皇后ウージェニー・ド・モンティジョにより流行したアイテムといわれています。

1900年代、有名だったメゾン、ウォルトのデザインのティー・ガウン。サテン地のブリーツにシフォンを重ねてあり、花柄プリントのガウンのような室内着です。当時の上流階級の女性の優雅な生活を偲ぶことができます。

19世紀のフランスの上流階級の女性は、色白で自然な薄化粧が推奨されたといいます。色の白さが身分の高さや若さの象徴とされたのは、現代のナチュラルメイクに重なるところがあるかもしれません。
また、豊かな化粧セットもステイタスシンボルとされていました。立ち鏡やジュエリーボックス、ハート型の小物入れなど銀製の化粧道具の中には、ウェーブヘアを作るためのアルコールランプとコテがあることが注目されます。

19世紀中頃の化粧ケース。箱はクルミ材製で、化粧容器などにはすべて珊瑚がはめ込まれています。ブルーのケースが印象的なマニュキュアセットは19世紀末のイギリスのもの。

ガラス工芸作家、エドガー・ガレによる香水瓶。運営が化粧品の会社の財団ということもあり、ポーラ美術館ではガレをはじめ有名作家のガラス瓶が多数収蔵されています。どれもさまざまな文様でステキですが、「ジャポネスク」といわれた日本風の模様を施した作品もあって、当時の作家たちの東洋への関心を見てとることができます。

20世紀初頭のベル・エポックから1920年代にかけて、女性のファッションは劇的に変化。ウェストの細さが重視され、コルセットを身に着けていた19世紀の美から、女性解放運動やフェミニズム運動の影響、さらに交通手段の発達やスポーツの普及にともなって、より活動的なファッションへと変わっていきます。
1923年のアメリカのアール・デコ調のイブニングドレスになると、毛皮のショールなど現代でも通用しそうなスタイルと言っても過言はないでしょう。

マネやルノアールはスタイリスト兼任だった!?

企画展のキービジュアルにもなっているマネの「ベンチにて」。若手女優で高級娼婦のジャンヌ・ドマルシーがモデルとなっており、散歩用の外出着と麦わら帽子という、当時の流行のスタイルが描かれています。特に帽子は当時有名だったマダム
ヴィロの店で選び、他の作品でもドレスを画家自身が選んだと伝えられています。

ルノアールの「レースの帽子の少女」。仕立屋の子に生まれた彼の作品では、同じドレスや帽子、アクセサリーなどが繰り返し登場しており、彼自身が所有していた可能性を指摘されています。また、流行の変化の激しい帽子は、ルノアール自身が造っていたとマネの姪の日記で伝えられています。つまり、当時の画家たち単に絵を描くだけでなくスタイリストとしての役割も果たしていたことになります。

ファッション誌の前身“ファッション・プレート”

19世紀のパリでは、印刷技術が発展したことにより、今のファッション誌の前身ともいえる定期刊行物が刊行され、それがヨーロッパ各地に広まる役割を果たしていました。その中でも流行のドレスや髪型、装身具が描かれた版画“ファッション・プレート”は、当時の女性の姿を現在に伝えています。

1880年代に刊行されていた“ファッション・プレート”。中には週刊で出されていた『ル・サロン・ド・ラ・モード』のようなものも。

画家としてだけでなく、装飾家としても知られるラウル・デュフィ。1923年の競馬場の、ポール・ポワレの服を着た女性たちを描いた作品は、その鮮やかさに目を惹かれます。

総計212点、文化学園服飾博物館協力の10点のドレスの展示など、絵画やアクセサリー以外にも見どころがたくさんある『Modern Beauty』展。19世紀パリ印象派の画家が好きな人はもちろん、ファッションの歴史を知りたいという人には必見の企画展。収蔵作品も充実しているだけに、箱根まで足を伸ばしてみる価値アリです。

Modern Beauty フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代

会期:2016年3月19日~9月4日 ※休室6月16日
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
協力:文化学園服飾博物館 ポーラ文化研究所
会場:ポーラ美術館
   神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
会館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
入館料:大人1800円、大学・高校生1300円、中学・小学生700円

Modern Beauty展(ポーラ美術館)
http://www.polamuseum.or.jp/sp/mb_2016/ [リンク]

ふじいりょうの記事一覧をみる ▶

記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP