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「何を書けばいい?」の悩みが消えるアンテナ情報収集法!

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妊娠した女性の世界が変わるワケ

女性は妊娠をすると、目の前に広がる世界の様子が一変するといいます。今まで目に入ってこなかったものが、目に入ってくることによって起きる変化です。果たして、どんなものが目に入ってくるのでしょうか?

◆ベビーカーに乗る赤ちゃん(ベビーカーを押すお母さん)

◆抱っこされる赤ちゃん(抱っこするお母さん)

◆赤ちゃんが登場するテレビCMやポスター

◆ショッピングセンターのベビー用品売り場

◆ランドセルを背負った子供たち

◆公園で遊ぶ子供たち

◆産婦人科

◆妊婦さん向けの雑誌

◆「子育て」をテーマにした本

妊婦、出産、育児など、今までであれば、あまり気にかけていなかった「赤ちゃん関連の情報」が洪水のごとく押し寄せてくるのです。

なぜこのような変化が起きるのでしょうか? それは、妊娠したことで「情報収集アンテナ」が張られるからです。情報収集アンテナとは、必要な情報を吸い寄せる意識のこと。サッカー好きの人がサッカーの情報に敏感なのも、グルメな人がグルメ情報に敏感なのも、彼らの頭のなかで、情報収集アンテナが張られているからです。

「情報収集アンテナ」は、意識した瞬間に張られる

アンテナが張られた状態とは、特別に意識しなくとも、必要な情報が吸い寄せられる状態のことです。

たとえば、あなたが「彼女(既婚者は奥さん)の誕生日にサプライズで腕時計をプレゼントしよう」と思ったとします。すると、通勤電車の車内でも、職場でも、カフェでも、女性の腕に巻かれている時計に、自然と目がいくようになります。あるいは、電車の中吊り広告(女性週刊誌)に踊る「今年流行のモード系薄型ウォッチ!」という見出しも目に飛び込んできます。ショピングセンターに行けば時計売り場にふらりと入るでしょうし、気がつけば、スマホの検索画面に「腕時計 レディース 人気」などと打ち込んでいるかもしれません。なかには、「腕時計の好み」をテーマに、さり気なく彼女に聞き取り調査を行う人もいるでしょう。これこそが、情報収集アンテナが張られた状態です。

「腕時計をプレゼントしよう」と思った時点から、その人のなかで情報収集アンテナが張られ、意識と行動が変わります。この変化は、人間の脳の特性と関係しています。人間の脳は「検索エンジン」のようなもので、目標を設定した瞬間から、その目標に向かうために必要な情報を探し始めるのです。多くの人が仕事や勉強で目標を設定するのも、脳のこの特性を利用するためです。よく耳にする「紙に夢や目標を書くと実現しやすくなる」という根拠もここにあります。

自社工場の視察レポートを書くときにはドウスル?

仕事で文章作成するときにも、この「情報収集アンテナ」が重宝します。

「文章を書くのが遅い……」「何を書けばいいのかわからない……」などの悩みを抱える人の多くは、情報収集を甘く見ています。いえ、甘く見ている以上に、その必要性にすら気づいていない人が少なくありません。どれほど文章作成スキルが高い人でも、情報が手元にそろっていなければ、質の高い文章を書くことはできません。質の高い文章を書きたいなら、ぼうっと情報が集まるのを待つのではなく、目的に合った情報収集アンテナを張って、有益な情報を吸い寄せる必要があります。

たとえば、あなたが、自社の製品生産工場の視察に行き、そのレポートを書く役割を任されたとします。このとき、視察を終えてオフィスに戻ってきてから「さて、何を書こう?」と考えているようではいけません。大事なのは、あらかじめ情報収集アンテナを張ったうえで、工場を視察することです。

頭のなかだけでアンテナを張ると、失敗することが少なくありません。なぜなら、頭で考えている事柄は、実態のない「もや」のようなものだからです。頭のなかにある「もや」は消えて(忘れて)しまうことも珍しくありませんし、自分の「意思」なのか、「意見」なのか、「思い込み」なのか、「勘違い」なのか、「偏見」なのか……見分けがつきにくいものもあります。「もや」に包まれた思考というのは、そもそも信用するに足らないのです。

そこでお勧めしたいのが、メモ帳や手帳、ノートなどを使った「棚卸し(書き出し)」です。「もや」を視覚化して客観的に見える形にすることで強力なアンテナが張られます。その情報吸引力は、頭のなかで考えていた「もや」のアンテナとは比較にならないほど大きなものです。「もや=幻想」「視覚化した文字=実態」です。「妊娠した」くらいの強いインパクトがあれば別ですが、仕事で集めなければいけない(量が多く、インパクトが弱めの)情報に対しては、自発的・能動的に情報収集アンテナを張らなければ、なかなか有益な情報を仕入れることができません。

工場の視察であれば、レポートに盛り込む内容の柱となりそうな「工場の問題点」を、事前に決めておけばいいのです(注:何が柱になるかは、その視察の目的によります)。

【表1】

アンテナの張り方はさまざまですが、表1のような「マンダラチャート」を使うと、棚卸し(書き出し)がしやすくなります。工場視察のレポートであれば、いま工場で起こっているかもしれない問題点を予測・想像して、視察前に書き出しておくのです(空欄の8マスを埋めます)。

【表2】

棚卸しした(書き出した)状態が表2です。「問題点」といっても、その種類はバラエティに富んでいます。ひとまずは、問題点になりそうな項目を棚卸ししました。

アンテナを張ることによって、情報のインプットに大きな差が生じる

棚卸しを済ませた瞬間から、棚卸ししたそれぞれの項目で情報収集アンテナが張られます(表2の場合、8つのアンテナが張られます)。当然、この状態で視察を行えば、アンテナ感度がびんびんの状態ですので、工場の敷地に入った瞬間から、ありとあらゆる情報(=工場の問題点)が吸い寄せられてきます。

①人材の問題点

→現場を仕切るリーダーが不足している。

②機械・設備の問題点

→旧式ベルトコンベアの経年劣化が激しい。

③環境の問題点

→梅雨時の湿度が高く、塗料の乗りが悪い。

④事故・災害関連の問題点

→浸水予防策が取られていない(近くを流れる◯◯川の氾濫に備えて)。

⑤コストの問題点

→コスト増(軽油の値上がり、および、原材料費の値上がり)。

⑥稼働率や生産性の問題点

→前年より稼働率が10%低下するほか、生産率は前年比で20%低下している。

⑦関連する外的な問題点

→製造原料となるA社の「ホスゲン」の納品が慢性的に遅れ気味である。

⑧点検・整備面の問題点

→工場のラインをコンピュータで自動制御するようになって以降、従来の整備技術では対応できなくなった。

以上が、視察を終えた時点で手元にそろった情報(=問題点)です。このように、事前に情報収集アンテナを張っておくだけで、それぞれのアンテナに関連する情報が磁石のように吸い寄せられてきます。アンテナを張ることによって、視察をするときの意識や姿勢が大きく変化するからです。

たとえば、工場の全貌を把握している工場長がいるなら、その工場長に対して、棚卸しした項目別に質問をすることもできます。こちらが「点検・整備面での問題点はありますか?」と質問することによって、工場長が思い出したように「そういえば……ラインをコンピュータで自動制御するようになって以降、従来の整備技術では対応できなくなりました」と答えてくれるようなケースもあります。一方で、事前に棚卸しをしていなければ(アンテナを張っていなければ)、あるいは、この質問は出てこなかったかもしれません。つまり、点検・整備面での問題点をキャッチし損ねていた恐れがあるのです。

情報収集アンテナが張られると、自分自身の感覚も研ぎ澄まされます。たとえば、視察中に「五感(視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚)」が敏感になり、「このステンレスパイプの曲がり方がおかしい」「この機械から異音がする」「このエリアだけ妙に焦げ臭い」「ここのボルトが緩んでいる」など、「見た目」の違和感はもちろん、「音」や「におい」「触った感覚」などの情報も引き寄せられます。

逆に、事前に棚卸しをせずに(何の情報アンテナも張らずに)視察をした場合は、重要なものも含めて、いくつかの問題点を取りこぼしてしまう恐れがあります。工場長に話を聞くときにも、「この工場に何か問題点はありますか?」という大きな質問しかできず、重要な情報(=問題点)を引き出せずに終わってしまうでしょう。これでは、いざレポートを書く段になって「えっと……それで何を書けばいいんだっけ?」と頭を抱えるのもムリはありません。少量の薄い情報しか手元にそろっていない状態ですので。当然、レポートの内容も期待できません。

マンダラチャートを使った情報収集アンテナの応用

情報収集アンテナは、物事をより深く掘り下げたいときのツールとしても活用できます。たとえば、工場視察のレポートであれば、おそらく「問題点」と同時に「改善策」の提示も求められるでしょう。たとえば、表2の①で棚卸しした「人材の問題点→現場を仕切るリーダーが不足している」の項目が重要と判断したならば、こんどは、この項目にフォーカスして「改善策」を棚卸ししていきます。

【表3】

このように、特定の項目の「改善策」に絞って棚卸しをすることで、レポートに盛り込む情報が手元にそろいます。もちろん、この棚卸しをする(空欄の8マスを埋める)のはラクではありませんが、「現場を仕切るリーダーが不足。改善策は?」とアンテナを張った時点から、意識と行動が変化します。

◆なぜリーダーが育たないのか、工場長から詳しく話を聞く

◆「リーダー育成」で成功を収めている他の工場の担当者から話を聞く

◆他社ではどのようにリーダーを育成しているか調べる

◆「リーダー育成」をテーマにした書籍を読む

◆これまでに自分が出会った「よきリーダー」の姿を思い浮かべて、そこから改善策のヒントを得る

このような行動を通じて、必要な情報を次々に吸い寄せていきます。くり返しになりますが、情報収集アンテナを張らないことには、意識や行動に大きな変化は生まれません。頭のなかにあるものは、視覚化・言語化しない限り、いつまで経っても「もや」のままです。大事なのは、マンダラチャートを活用するなどして、目に見える形でアンテナを張ることです。「書き出す→客観視する→強力なアンテナが張られる」というプロセスを踏むことに意味があるのです。

「書き方」よりも「情報収集力」を磨き上げよう

プロの作家やライターが文章作成能力に優れているのは、「書く技術」以上に、「情報収集の技術」に注力しているからです。彼らの言葉でいうところの「取材(=材料を取る)」です。いくら料理の腕前があっても、材料が貧相だと「おいしい料理」はできません。それと同じで、いくら書く腕前があっても、手元に集めた素材が貧相だと、いくら頑張っても「おいしい文章」は書けません。

この理屈は、一般のビジネスパーソンにも置き換えられます。文章作成が苦手な人の多くは「書き方がヘタ」だと思い込んでいますが、それ以上に「情報収集がヘタ」な人が多いのです。逆にいえば、事前に情報収集アンテナを張って、必要な情報を効率よくインプットできれば、「何を書けばいい?」と悩むこともなくなります。そう、文章作成が驚くほどラクになるのです。

「情報収集アンテナ」は、あらゆる文章作成に使える!

先ほどは工場視察のレポートを例にあげましたが、情報収集アンテナを張る「棚卸し(書き出し)」は、あらゆる文章作成に応用できます。アンテナを張るときには、先ほど同様に「マンダラチャート」を用いて棚卸しをするといいでしょう。

【新製品のカタログの原稿を書く場合】

→事前に、新商品の特徴を8つ棚卸しする

→事前に、新商品のベネフィット(お客様にとっての便益)を8つ棚卸しする

【春の販促キャンペーンの企画書を書く場合】

→事前に、春の販促キャンペーンのやり方を8つ棚卸しする

→事前に、春の販促キャンペーンのメリットを8つ棚卸しする

【展示会の案内ハガキを書く場合】

→事前に、展覧会の魅力を8つ棚卸しする。

→事前に、展覧会に来場するメリットを8つ棚卸しする。

【自社のホームページの「会社紹介」を書く場合】

→目ぼしい自社の実績を8つ棚卸しする

→自社の業務の柱を8つ棚卸しする

それぞれ2つずつのテーマで棚卸しをしました。もちろん、棚卸しをするテーマや数は、作成する文章の種類や目的によって変化します。

もうお気づきだと思いますが、「アンテナを張ること」は「問いを用意すること」にほかなりません。問いを用意すると、その答えを知りたくなるのが人間です。既知の情報であれば、すぐに答えを出すことができますが、未知の情報であれば、「現場で取材をする」「人から話を聞く」「書籍や資料から情報を得る」などの行動を経て答えを導き出します。問いに対する答え——それこそが、文章に盛り込む内容です。

もちろん、アンテナに吸い寄せられたすべての情報を文章にする必要はありません。手元にそろえた情報を見比べながら、優先順位をつけていき、盛り込むべきものと、そうでないものを選別していきます。すでに文字として視覚化してあるので、このような選別も比較的ラクにできます。同じ「棚卸し→選別」を頭の中だけで行うのは至難の業です。

転職するときにも、情報収集アンテナが効果を発揮する?

ちなみに、この情報収集アンテナは、ビジネスパーソンが転職するときの「PR材料」の棚卸しにも使えます。

◆自分の実績

→これまで仕事で成し遂げた成果など、目ぼしい実績を8つ棚卸しする

◆転職先で提供できる自分のスキル

→転職先で自分が提供できるスキルを8つ棚卸しする

◆自分の人間的な長所

→自分の人間的な長所を8つ棚卸しする

このように、自分の「PR材料」の棚卸しをしておけば、履歴書やES(エントリーシート)を書くときに「何を書けばいい?」と迷うことがなくなります。もちろん、事前にこの棚卸しを済ませておけば、面接時にも適切なアピールができるはずです。

情報収集アンテナが効果を発揮する?

どんな種類のものであれ、文章を書く必要に迫られたときは、手帳やノートを広げて、いちど書くべき内容を棚卸ししましょう。「『東京ゲームショウ』の報告書を書く」というケースであれば、書く直前ではなく、「東京ゲームショウ」に行く前に、棚卸しを済ませておくことが大切です(一例:「ブース出店で得られる成果」というテーマで棚卸しする)。

いい文章をササっと書ける人と、ああでもないこうでもないと悩みながら文章を書く人の差は、「書き方」の差ではなく、「手元にそろえた情報」の差だと心得ておきましょう。この差は、そのまま文章作成することで得られる成果の差になります。良質な情報を効率よく手元にそろえるためには、目的に応じて、必要な情報収集アンテナを張るのがイチバンです。

著者:山口拓朗

『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』著者。伝える力【話す・書く】研究所主宰。「伝わる文章の書き方」や「メールコミュニケーション」「キャッチコピー作成」等の文章スキルをテーマに執筆・講演活動を行う。モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。

山口拓朗公式サイト

http://yamaguchi-takuro.com/

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