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想いの詰まった実家をどうする? 築50年超の古民家リフォーム

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古い日本家屋を買って大規模リフォームし、古い素材を活かしたスタイルのある暮らしがしたい……。そんな「古民家リフォーム」が人気を集めている。しかしその一方で、住み継いできた「想い」ゆえに、実家である古い住まいを持て余している人も少なくないのではないか。かくいう私も、築40年以上とおぼしき母方の実家が空き家のまま。親戚に売る話もあったものの、母の想いが強く、結局手つかずのままになっている。そこで今回は、実家である築50年超の古民家をリフォームしたというご家族を訪ね、リフォームに至った経緯を含め、お話を伺った。

受け継いだ住まいは、庭を望む広縁が趣深い日本家屋

Iさんのお宅は、Iさんの祖父が四国から木材を取り寄せるなど、素材にもこだわって建てた、築50年超の日本家屋。船底天井(※1)や、庭を望む広縁(ひろえん)(※2)のしつらえも趣深い二間続きの和室には、法事などのたびに親戚が集まる。Iさん自身も幼いころを過ごし、Iさんと両親はその後同じ敷地内に別の住まいを建てて暮らしていたが、祖父の死後も父が応接間を仕事場として利用するなど、家族の歴史が詰まった思い出深い家だ。

(※1)船底天井……中央が高く船底を上にしたような形状の天井で、部屋を広く見せる効果がある

(※2)広縁(ひろえん)……奥行きの深い縁側のことで和室に広がりを感じさせる

しかし、父が亡くなると状況が一変。「父の死が急だったこともあり、母を一人にするのが心配で……。もともと近くには住んでいたのですが、母の隣に引越そうという話になったんです」とIさん。ポイントは祖父の家をどうするか。建て替えてIさん夫婦や子どもたちの暮らしやすい住まいにするか、リフォームにとどめて古い住まいの面影を残すか。Iさんは母と何度も話をしたが、結論は容易には出なかったという。

【画像1】リフォーム前のI邸(写真提供:クラージュプラス)

建て替えか、リフォームか? 決め手は「コスト」より母の「想い」

「古い家って、居心地のいい南側に応接間などが並んでて、家族の居場所は日当たりの悪い北側なんですよね。私としてはやはり南の日当たりのいい場所にリビングや居室を持ってきたかったし、洋風が好みでしたので、建て替えるのもいいかなと」

そういうIさんに対して、父の思い出や、祖父の想いの詰まった住まいに手を加えることを、なかなか決断できない母。何度も話し合い、相談した設計会社・クラージュプラスの担当者・上木さん、青木さんも含め、打ち合わせを重ねた。

「最初は建て替えか、リフォームかということで、どちらのお見積もりも出していました。正直なところ、大規模なリフォームを行う場合、建て替えでもコストはあまり大差ない場合も多く、それならと建て替えを選ぶ方も少なくありません」と上木さん。「しかしこの家は、最初に現地調査で伺ったときから、歪みもなくとてもしっかりした造りで、和室などの意匠(いしょう)も見事でしたので、上手に活かしてリフォームできたらという思いもありました」

打ち合わせを重ねるなかで出てきたのが、和室や広縁の一部をそのまま残し、そのほかをIさんの家族の好みに合わせてリフォームするプラン。「わが家の場合、決め手はコストではありませんでした。一進一退を繰り返して悩みぬいた母が、なんとか一歩を踏み出すための結論。それがリフォームだったんです」

【画像2】I邸の間取り。before(左)→after(右)

古いものを活かしながら、今のライフスタイルに合う住まいを

外観は、暗めの配色だった壁の色を塗り替え、白を基調とした明るいイメージに(メイン画像)。木目調の洋風ドアを開けた先にある玄関ホールは、元の和室の高さに揃えるための段差分を、曲線を描く階段で解消。ここから、家族が過ごすLDK、たくさんの靴や外出用の上着も収納できるウォークスルークローゼット、そして法事に訪れる親戚などゲストのための和室・広縁への動線と、「3本の道」が続く。

【画像3】「3本の道」の起点となる玄関ホール(左) 玄関ホールから広縁・和室への動線(右)(写真提供:クラージュプラス)

和室を除くスペースは、白を基調とした洋風空間にイメージを一新。家族が過ごすLDKは、日当たりの良い南東の角に配置し、一部の壁を壊して広い空間を確保した。「構造的に外せない柱がリビングとダイニングの間に残るため、角材だった柱を丸太柱に替え、天井に見せた梁とともに白にペイントしてもらいました」とIさん。以前は使ってなかった小屋裏の広い空間を活かした、吹抜けのような高さを感じる空間。天井付近には明かり取りの窓を設け、お気に入りのチェッカーガラスをはめ込んだ。南側の大きな掃き出し窓からも暖かい日差しが室内に届き、「この家で毎日を過ごす家族が、本当に暮らしやすい空間になったと思います」

【画像4】リフォーム後のI邸LDK(写真提供:クラージュプラス)

家族の「想い」とともに、暮らしをつなぐ古民家リフォーム

一方、2間あった和室は8畳1間に減らしたものの、ほぼ元の形のまま、畳の表替えや木材表面のクリーニングを施し、祖父や父が暮らした住まいの面影をそのまま残した。月に一度はお寺さんを招いたり、法事となればたくさんの親戚が集まったり。そんなI邸の役割は今も変わらない。

「工事が進むにつれ、母の表情が明るくなっていったように思います」とうれしそうなIさん。嫁いできた家だからこそ、「家を守る」ということに、特別な想いがあったのかもしれない。この家の象徴である和室や広縁を次世代に活かせたことは、Iさんの母にとっては、「家を継ぐ」ために大きな意味があったのだろう。Iさん自身も、「広縁から庭を眺めるとき、祖父や父のことを思い出して、本当に残してよかったなと思います」と晴れやかな笑顔。法事で集まる親戚も、劇的な変化に驚きつつも、きっと喜んでくれるに違いない。

家族が長い時間を過ごした住まいは、雨露をしのぐだけのただの箱ではない。家族の思い出が詰まった「実家」だからこそ、建て替えやリフォームにもいろいろな「想い」が絡むもの。一歩踏み出すためには、その「想い」を家族でじっくりと昇華させる必要があるのかもしれない。

築30~40年の実家をどうするかという問題は、実は日本のいたるところで起こっている。実家をどうするか悩んだとき、住宅展示場に行ったなら、おそらく「建て替えましょう」と言われることのほうが多いのではないだろうか。しかし、実はどんな古い家であっても、住まいを暮らしつぐ「リフォーム」という手段もあるはずだ。家族の想いに向き合い、その想いに応えて、建て替えにもリフォームにも柔軟に対応してくれる会社。もしかしたら、そんな工務店やリフォーム会社に相談するのは良い選択肢なのかもしれない。<物件DATA>

所在地/広島市

築年数/50年超

建物面積/169.88m2

リフォーム費用/3000万円台

設計・施工/クラージュプラス
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/03/107447_main.jpg
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