コクリコの旗やコロッケ、包帯も・・・アメーバピグ「コクリコ坂から」エリアの意外な仕掛け
スタジオジブリの最新映画「コクリコ坂から」の主人公たちが2頭身のキャラクターとなって、ネット上の仮想空間を動き回るアメーバピグの「コクリコ荘」エリア。2011年9月16日から25日まで期間限定で公開されているが、連日満員で約50万人のユーザーが来場したという。人気の背景には、映画のストーリーにちなんだ「旗」の仕掛けなど、ジブリならではのアイテムやデザインに対する強いこだわりがあった。
■目の肥えたジブリファンを意識した「細部へのこだわり」
アメーバピグは、自身のアバター(分身)である「ピグ」を通じて、他のユーザーと会話やゲームを楽しむことができる仮想空間サービス。9月25日まで展開されている「コクリコ坂から」エリアには、主人公の女子高生・海(うみ)たちの暮らす「コクリコ荘」が設置され、登場人物の海や俊、水沼らがピグになって登場する。
同エリアはオープン初日からほぼ満員・予約待ち状態という人気ぶり。アメーバピグを運営するサイバーエージェントのアメーバ広報担当・真下(ましも)紗枝さんは、
「16日から6日間で延べ50万人くらいの方にご来場いただきました。皆さん『メルー!メルー!』と、映画の中での海ちゃんの呼び名を叫んでいて、とても楽しんでいる様子ですね」
と話す。何がユーザーを惹きつけるのか。真下さんがまず挙げたのは、作品の中で重要な役割を果たす「コクリコ荘の旗」の存在だ。
「エリアには、旗を上げ下げできるというギミック(仕掛け)が設置されています。ユーザーの皆さんが旗を下げると、海ちゃんが旗を上げに来ます」
幼いころに父を亡くした海が、コクリコ荘の庭で、父との思い出の品である色とりどりの「旗」をポールに上げるシーンは、映画のポスターにも使われた印象的な場面だ。
「ジブリさんは作品への思い入れがとても強く、アメーバピグのなかでもストーリーを表現したいという提案があったんです。そこで、ユーザーが旗を下げてしまっても、『旗を大切に思っている』海ちゃんが上げに来るという、映画を見た人ならより楽しめるようなギミックになっています」
実はアメーバピグのタイアップ企画で、ユーザーがギミックを動かしたことに反応して何かが起こるという試みは、これが初めてなのだという。目の肥えたジブリファンを意識した「細部へのこだわり」は、「旗のギミック」以外にもある。
「ジブリさんから『建物の横の木は、普通の木じゃなくて松の木にして欲しい』『庭の花は、もっとたくさん咲かせてほしい』といった要望を受け、できるだけ映画に忠実に再現されています。一番大切な顔のデザインは、鈴木敏夫プロデューサーに確認していただいているんですよ」
■映画では明かされなかった俊の「包帯」の真相
アメーバピグの「コクリコ坂から」エリアは9月21日にリニューアルされ、新たなアイテムとして「海の思い出のコロッケ」が入手できるようになった。劇中では、俊が海に買ってあげて、それをきっかけに2人の距離がぐっと縮まったという重要アイテムだ。
アメーバピグでは、海の代わりにユーザーが、俊からコロッケをもらえる設定になっている。その狙いについて、真下さんは、
「ジブリさんから『俊くんが海ちゃんにコロッケを渡すシーンをとり入れたい』と提案され、アメーバピグでも皆さんにコロッケを配ることになりました。ユーザーの皆さんも『自分も海ちゃんのように俊くんからコロッケがもらえる!』と喜んでもらえると思います」
と説明する。さらにコロッケと同じく、俊からもらえる「こだわり」のアイテムとして「包帯」を挙げ、「実は、映画では明かされていないエピソードが隠されているんです」と教えてくれた。
「映画では、『ネコに引っかかれた』とだけ説明される手の包帯なのですが、ジブリさんいわく、本当のところは『海ちゃんと繋いだ手のぬくもりを覚えておくための包帯』という設定なんだそうです」
映画の中では何気なく登場する包帯だが、実は俊の海の思いが象徴されたアイテムだったのだ。
「とても大切なものなので、俊くんからもらえる限定アイテムとして、包帯が選ばれているんです。劇中では、包帯をしていたあの時からずっと、俊くんは海ちゃんのことが好きだったということになりますよね。これはまだどこにも明かされていない裏設定です(笑)」
■ニコニコ動画ではなくアメーバピグなのは、なぜ?
ところで、これまで「コクリコ坂」のネット上でのタイアップ企画といえば、宮崎吾朗監督の対談番組などニコニコ動画での展開が目立っていた印象があるが、今回はなぜかアメーバピグがコラボレーションの場として選ばれた。
ツイッターでは「ジブリのWeb系キャンペーン、面白そう。そういえばドワンゴと何かやると思ってたら、Amebaとやるらしい」とのコメントも見られた。そのあたりはどうなのか。本業と併行して、スタジオジブリの「プロデューサー見習い」を兼務しているドワンゴの川上量生会長にたずねてみると、
「アメーバピグさんの企画と熱意が素晴らしかったので、一緒にやりたいと思いました。ドワンゴさんからも企画いただきましたけど、内容も熱意もイマイチでしたので、ぼくのところで握りつぶしました」
と嬉しそうに答えてくれた。
◇関連サイト
・アメーバピグ – 公式サイト
http://pigg.ameba.jp/
(丹羽一臣)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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