【岩手県旧水沢市(奥州市)】散居集落に武家住宅資料館、水沢の歴史に触れよう
日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧水沢市(奥州市)を写真とともに紹介する。
Vol.346/岩手県旧水沢市(奥州市)
旧前沢町から、旧水沢市へ向かう。まずは市街地からやや離れた、見分森公園へ。ここでは胆沢平野の散居集落を見渡すことができる。展望台へ上がると、深い緑色の田んぼと、点在する住宅を見ることができた。それぞれの住宅のそばには背の高い木がたっていることが多く、防風林の役割かなあと。やや濃い緑色であり、景色に濃淡を付けていた。
その後、市街地の水沢公園に位置する駒形神社へ。立派な木々に囲まれた空間で清々しい。訪れた季節は七月中旬で、のぼりには「夏詣」とかかれてあった。なるほど、造語かもしれないけれど、いい言葉だなあと。神社には二刀流のお守りも売っていた。
その後、「奥州武家住宅資料館」へ入ってみる。ここでは館長が直接、水沢の歴史について教えてくださった。まず、城下町の水沢は、伊達藩の分家でしっかりと守られたということ。今でも区画は江戸時代から変わらない部分も多くあると。また、水沢には偉人が3人いるということも。ひとりは蘭学者の高野長英、ひとりは医師であり政治家の後藤新平、そして、もうひとりは第30代内閣総理大臣の斎藤實(まこと)。同じまちから、偉人が3人もいるというのは、なかなかないことだと思う。
何より、武家住宅資料館では、展示資料のみならず、実際の建物がすばらしく、訪れた際も囲炉裏から煙を出して燻していた。窓から差し込む光もうつくしく、昨今のような便利な住宅ではないかもしれないけれど、とてもぬくもりのある建物だなあと感じたのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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