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事業仕分けってなんだったんだろう…「公務員宿舎建設」凍結と再開を振り返る

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朝霞市公務員宿舎予定地

「公務員の生活が第一?」野田総理が財務大臣時代に認めた「公務員宿舎建設」の凍結解除

もちろん、国家公務員の皆さんの生活も大事です。しかし事業仕分けで「凍結」となった「公務員宿舎」建設の再開はやはり慎重に取り組むべきじゃないでしょうか。市役所の真横という好立地に敷金0円礼金0円更新料0円、3LDKで家賃月4万円が予定されているという埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎。そんな好条件であれば入居したいという人はたくさんいるはずです。その土地を民間に売って、民間のマンションを建ててそこに一般的な条件で入居してもらえばいいんじゃないかな、と素朴に思ってしまうのですが、それでは何がダメなんでしょうか。なぜ国家公務員だとめちゃめちゃ安い家賃のマンションが用意されていて、それ以外の人達は同じ地域に住みながら高い家賃を払わなければならないのでしょうか。この問題を考えていくための資料として事業仕分けでの議論とその後この問題を検討したとされるPREと呼ばれるものについて簡単に紹介します。

実際、事業仕分けではどういう結論だったのか

議事録より、公務員宿舎に関する仕訳の結論部分のみ書きだしてみます。

○井澤進行役
それでは、票決結果及びコメントにつきまして、枝野議員から発表させていただきます。

○枝野衆議院議員
14名全員が見直しを行うでございまして、そのうち、
(ア)公務員宿舎の在り方について速やかに関係省庁間において検討を行い、その検討を踏まえ実施することとし、それまでの間、宿舎の建替えについては継続案件や東京周辺を除く緊急建て替えを除いて凍結する、という方が10名。
(イ)の朝霞等の継続案件について含めて凍結できるものは凍結するという方が11名。
その他2名でございますが、そのうち1名は継続案件も含めて凍結ということでございますので、ほぼ全員が一致をして継続案件で止められる、少なくともまだ土台程度しかできない朝霞などのものも含めて凍結をして、政務三役の全体的な議論を待つと。そしてその中においては本当に宿舎の必要な対象案件の件数というのはどうなのかということをしっかりと踏まえた上で結論を出していただくということで、結論は継続案件のまだ大きく進んでいないものを含めて、全面的に凍結するという結論にさせていただきます。
以上です。

要するに「凍結された」ということは間違いない、ということが再確認できます。しかし、「凍結ということは中止」ではないということです。いつか解除されるものであり、実際朝霞市長や地元の国会議員は「公務員宿舎は建てるんですか、建てないんですか」と財務省に働きかけたそうです。

すべての議事録は、こちらのGoogle Docsを御覧ください。

(議事録)事業仕分け「公務員宿舎建設等に必要な経費」2009年11月27日
http://bit.ly/qm2vm4 [リンク]


ここに貼りつけた動画は、結論部分のみ抜き出したものです。

事業仕分けの公務員宿舎に関連するムービー全篇はこちらをご覧ください。
http://vimeo.com/28488689

いつの間に事業仕分けの凍結が解除されたのか

事業仕分けによって「凍結し、政務三役の全体的な議論を待つ」と評価された公務員宿舎建設ですが、それを受けた議論の結果とされるものが以下の資料だそうです。

「国有財産行政におけるPRE戦略について」を取りまとめました : 財務省(2010年12月8日)
http://www.mof.go.jp/national_property/councils/pre/221208.htm [リンク]

実によくわからないのですが、簡単に言えば、

財務省が「国有財産全体の最適化戦略」である「PRE戦略」の考え方を踏まえた再検討をおこない、その結果、凍結解除することとし、当時財務大臣であり、現在総理大臣である野田佳彦氏が了承したことにより、工事が再開された。

という話のようです。

必要宿舎戸数の再検証

「PRE」って要は「公有地」のこと

ちなみに「PRE戦略」の「PRE」は「Public Real Estate」の頭文字であり、これは日本語にすれば「公有地」ってことになるかと思います。「公有地戦略」ですね。「PRE戦略」と言われるとなんか凄いことを考えているプロジェクトなのかなと感じますが、単に「公有地の活用について考えようゼ」ということです。そしてこの議論は要するに、「公有地の活用について僕たちでよく考えたら、やっぱり公務員宿舎を建てたほうがよいという結論になりました」ということであろうと思います。つまり、もともと公務員宿舎を建てようとしていた人達が再検討したらやっぱり建てたほうがいいと思いました、ということです。あたりまえですね。

実際のところ野田総理がそのとき内容を理解した上で了承をしていたのかという点については野田総理自身のご発言があるまではよくわからないままです。もしここで野田氏の了承がなく着工していたとしたら、これは大問題です。

公務員宿舎の在り方

不思議なことにこの資料の中では「凍結」という言葉は使われていません。じゃぁどう書いてあるかというと、事業仕分けでは「公務員宿舎の在り方について検討」と評価されたと書かれています。鳴り物入りだった事業仕分けですが、そもそもの事業仕分けの評価の内容をどうとらえるか、という一歩目のところですでにズレがあるようにも感じます。

そもそも、これら議論の結果を受けて、だれが最終的なGOサインを出すべきかということすら実はよくわかりません。本来ならば、事業仕分けをおこなった「行政刷新会議(現在、蓮舫氏がトップ)」がこれらの最終結果をチェックするのが自然な形です。それがなく、官僚任せにしているとしたら、事業仕分けはまったくのザルだということになります。

野田総理、蓮舫行政刷新担当大臣、安住財務大臣らのこの「公務員宿舎問題」に対する発言、注目です。

[資料提供:東京プレスクラブ]

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深水英一郎(ふかみん)

記者:

見たいものを見に行こう――で有名な、やわらかニュースサイト『ガジェット通信』発行人。トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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