「まんべくん」のツイッターアカウント停止に、識者から疑問の声

北海道長万部町の公式ホームページ。トップページには謝罪文

 北海道長万部町の公式キャラクター「まんべくん」が、2011年8月14日にツイッター上で「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」などと発言し、同町に抗議が殺到した問題で、町長の白井捷一氏は16日に公式ホームページで謝罪。また、その謝罪文の中で、ツイッターアカウントを運営していたエム社への「まんべくん」の使用許諾権を禁止し、同アカウントを停止することを発表した。

 「まんべくん」の発言に対しては、ネット上では「冗談で済まない」「不謹慎すぎる」「業務で委託された影響力を、個人的主張に使えば解任されて当たり前」「炎上マーケティングだ」といった反応が見受けられた。

 一方、これまでも自由奔放な発言で話題を呼んでいた「まんべくん」のツイッターアカウントが停止させられたことについて、普段ツイッターを使い慣れている識者やジャーナリストからは、疑問を呈する声も上がった。

 以前「まんべくん」に関しての記事を書いていた岡田有花氏は、「まんべくん」ツイッターアカウント停止について、

「わたしにとってのTwitterがおわった、のかもしれない」

と発言。その後、

「まんべの炎上発言はいまに始まった話ではないけど、今回は急に一般紙が取り上げた印象が(後略)」

とツイートし、メディアの大々的な報道に違和感を示している。

「まんべくん」最後のツイート

 またツイッターに詳しいメディアジャーナリストの津田大介氏も、

「まんべくんは私物化がイレギュラーな面白さとして受け入れられていたわけだから、急に『公式キャラなのにこんな発言は云々』みたいな話はちょっと違うんじゃないの。良い悪いじゃなくね。表裏一体のところでギリギリ成立してたものが足踏み外したって話だと思う。俺は元々まんべくんには乗れなかった」

とした上で、

「侵略戦争だったかどうかは好きな人で議論してりゃいいと思うけど、そういう議論をオープンかつ自由にできることがいかに幸せなのか認識すべきなのに、こういうことがあると言論ではなく数の力で人の口をつぐませようとする人たちがいまだにたくさんいて何なら最近増えてるように見えるのが悲しいです」

と、自身のツイッターで持論を述べた。

 町の対応を批判するのは、フリーランスライターのふるまいよしこ氏だ。

「どうして『起こってしまったことを前向きに処理し、それを乗り越えてもっと良くしていく』ことができないのだろう…」

と疑問をつぶやき、

「町側が公式キャラとしてなにを発信していくのか考えたという流れを見せるべきだった、というのが、基本的な『まんべくんツイアカ事件』に対する感想と立場です。これはこの事件だけに限ったことではなくて、これまでいろいろあったアカ削除事件も含めて」

と、苦言を呈している。

 一方、インターネットユーザー協会代表理事の小寺信良氏は

「まんべくん問題に端を発して、ネット上では戦争解釈論が飛び交っている。終戦記念日のあとにこういう機会が持てたことは、社会的にはプラスだったのではないだろうか(後略)」

と一味違った視点を提示した。

(佐竹祐哉)

◇関連サイト
・岡田有花氏 – ツイッター
http://twitter.com/yukatan
・津田大介氏 – ツイッター
http://twitter.com/tsuda
・ふるまいよしこ氏 – ツイッター
http://twitter.com/furumai_yoshiko
・小寺信良氏 – ツイッター
http://twitter.com/Nob_kodera
・長万部町町役場 – 公式サイト
http://www.town.oshamambe.lg.jp/index.php/

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