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マンションの大規模修繕、施工会社をウェブ公募で費用の削減に

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経年によるマンションの老朽化。それを修復するのが、住民一人ひとりの修繕積立金で行う「大規模修繕工事」です。2015年10月、管理組合が大規模修繕工事を任せる施工会社を主体的に選びやすくなるようにと、リリースされたサイトが『大規模修繕チャンネル』。管理組合が施工会社をWEB上で公募できるサービスです。サービスの目的と使い方について、サイトを運営するさくら事務所に話を聞いてきました。
管理会社任せにすると費用が高くなりがち?

そもそも、これまで大規模修繕工事を行う際には、管理会社に修繕が必要な箇所の調査から工事内容、施工会社の選定や工事までを委託するのが一般的でした。普段から馴染みのある担当者からサポートを受けられるので、計画や準備の負担が少なくてすみます。しかし、「競争がないので費用が割高になるという懸念もあります」と指摘するのは、さくら事務所所属のマンション管理コンサルタント・土屋輝之さん。

「管理組合としては、これまで付き合いがあり安心感がある管理会社に、工事をまるっとお願いできるのは楽ではあります。しかし、他社と金銭面や工事内容の比較ができていないので、費用の不透明さが残ります。かつては、工事の粗利が受注額の30%以上あることが当たり前でした。大規模修繕工事は億単位の費用が掛かるケースもありますので、粗利だけでもかなりの額になってしまい、コストが掛かり過ぎていました」(土屋さん、以下同)

そうした事態を受けて業界全体で改善に取り組む動きがあり、管理組合自身で施工会社を公募で選ぶという方式が登場。これにより管理会社を介さずに管理組合が施工会社を募り、競合させることで費用の透明性が担保されると土屋さんはいいます。

しかし、管理組合が見積もりを出してくれる施工業者を探し出すためには、住民の口コミを頼りにしたり、業界紙で公募を告知したりと、手間が掛かりハードルも高かったそう。そのハードルを下げようとオープンしたのが今回の『大規模修繕チャンネル』なのだ。サイトを使った施工会社の公募は意外に簡単!

では施工会社を公募するにあたって、『大規模修繕チャンネル』をどのように利用すればいいのでしょう。

利用に際しては、まず「総戸数」や「所在地」、「築年数」、「希望する修繕工事の内容(もしくは未定なのか)」など、管理組合の工事計画の進捗情報を入力し、施工会社からの見積もりを募集。その情報がサイト上にアップされ、興味を持った施工会社が応募するしくみです。その後は管理組合が施工会社と直接やりとりを行うという流れになります。ちなみに募集にあたってのサイト掲載は無料です。

『大規模修繕チャンネル』では、複数の施工会社から見積もりを取ることでオープンな競争原理が働き、管理組合も比較検討しやすくなるとか。これにより管理組合の負担は若干増えるものの「少し汗を流すことで修繕積立金を有効活用することができる」と土屋さん。

なお、さくら事務所がコンサルに入って大規模修繕工事を行う場合、複数の施工会社から応募があった際は次のような3段階で選考を行うとのこと。

1次選考:書類選考で3社から5社程度にしぼり、見積もり作成を依頼
2次選考:見積もりや工事計画などを比較して、プレゼン会に参加してもらう会社を2社から3社程度選定
3次選考:プレゼン会では現場代理人の経歴なども紹介してもらい、依頼する会社を決定する

また、施工会社の選定にあたっても、次のようにアドバイスしていただきました。

「大規模修繕工事に限っていえば、塗装や老朽化した設備をリニューアルするだけなので、施工会社の選定にあたって、それほど深い知識は必要ではないんです。それよりも、拮抗(きっこう)した提案内容や価格であれば、工事を仕切る現場監督のコミュニケーション能力などで選んだ方がうまくいくと思います。最近は現場監督やスタッフに女性の方も増えているので、相談しやすいという方も多いです。

修繕工事中は工事日程を共有する張り紙を出したり、外壁塗装を行う場合は、バルコニーの片付けや洗濯物を干さないようになど、張り紙を用いて住民に情報の周知や依頼を行います。その張り紙の見本を出してもらうことで、読みやすく工夫がされているかなど、気配りができる会社かどうか見極められると思います」

修繕工事にまつわるやり取りは、ポイントさえおさえておけばそこまで複雑なものではないのかもしれません。最後に、大規模修繕工事にあたっての心得を教えてくれました。

「国土交通省は、マンションの1回目の大規模修繕の目安を築12年目として推奨していることから、最近は12年ごとにフルスペックの大規模修繕工事をやるマンションも増えてきました。しかし、本当に必要な工事なのか費用は適正なのか、しっかり吟味しないと購入時には月々7000円だった修繕積立金も、最終的には3万円を超えてしまうということもあります。管理会社にすべてを任せきってしまうと、修繕の範疇(はんちゅう)を超えた『豪華な工事』までしてしまい、修繕積立金を浪費することにもなりかねません。価格の透明性は積極的に求めていくべきだと思っています」

ちなみに、さくら事務所が以前コンサルティングを担当した大規模修繕工事では、20%のコストカットが実現したケースもあるとのこと。一般的に、1戸当たりに掛かる大規模修繕工事の費用は60万円から120万円が平均といわれています。決して軽い負担ではないだけに、無駄は極力省くべき。そのためにも、公募によって主体的に施工会社を選び、コストをしっかり見極める。管理組合には、そうした姿勢が必要なのかもしれません。●大規模修繕チャンネル
元記事URL http://suumo.jp/journal/2016/01/07/103532/

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