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読書大好きな芸人が「泣くからもう読めない」と絶賛する純文学作品

読書大好きな芸人が「泣くからもう読めない」と絶賛する純文学作品

 『統合失調症がやってきた』(イースト・プレス/刊)のオーディオブック化を記念して行われたお笑いコンビ・松本ハウスさんへのインタビュー。
 前編では、出版後に寄せられた反響や統合失調症という病気についてお話をうかがいました。続く後編では本書を執筆した経緯や、読書家だというお二人の気になっている本などを聞いています。
(新刊JP編集部/金井元貴)

■「オメエ、いい筆圧してるじゃねえか!」から始まった壮絶執筆秘話(冗談)

――この『統合失調症がやってきた』を書かれた経緯を教えてください。

松本:(イースト・プレスの編集者である)藁谷さんとですね…。

加賀谷:街で肩と肩がぶつかって、「オメエ、いい筆圧してるじゃねえか!」

松本:こうやって妄想が膨らんでいくわけですね。

加賀谷:違いますよ、キックさん! これは一人で遊んでいるだけです(笑)!

松本:実はそれ以前もいくつか本やDVDのお話をもらっていたんですね。(松本ハウスの)復活に際しての本とか、病気についての本の話です。ただ、当時はコンビとして足元が定まっていない状況だったので、そんな中で本を出すのはできない、何も語れないということでずっとお断りしていました。
その後、ライブの本数が増えてきて、自分たちの形もできてきた。そのときちょうど良いタイミングで、藁谷さんからオファーをいただいたので「ぜひお願いします」と。

――この本は加賀谷さんの独白をメインに、松本さんの独白が差し込まれるという体裁になっていますが、これは加賀谷さんがお話されたのを松本さんが文章にしたのですよね。

松本:そうですね、物語にしていきました。

――とても丁寧に書かれていて、とても分かりやすく、読みやすかったです。かなり突っ込まれてお話されたのではないですか?

松本:何回も話を聞きましたね。それでも辻褄が合わないところがあって、また同じ話を聞くんです。これはきつい作業だったと思いますよ。

加賀谷:嫌でしたよ。僕の記憶の中であいまいになっているところは、要するに触れたくないところなんです。思い出したくないんですよ。でも、それをほじくりだそうとするので、嫌な人だなあって。

――かなり壮絶ですね。

加賀谷:自分で消化できていると思っていても、できていないんですよね。えずいてしまうんです。でもせっかくやるのなら、ちゃんとやろうと。

松本:統合失調症について事象を説明している本は多いのですが、当事者の心情が書かれている本はすごく少ないんですね。だから、当事者の気持ちの部分を正しく書きたいと思っていました。

■読書家の松本ハウスが気になっている本は?

――『統合失調症がやってきた』の中で、たびたび読書にまつわるエピソードが出てきますが、本はよく読まれるのですか?

松本:昔はよく読みましたね。

加賀谷:そうですね、昔はよく読みました。

――では、今は読書を抑えている感じですか?

松本:結婚をして子どもができて、去年2人目ができたのですが、なかなかゆっくり本を読んでいる時間が取れないんですよね。

加賀谷:僕もニンテンドー3DSとPSVitaを買ったら時間がなくなってしまって…。

松本:遊んでるんじゃないか(笑)! 今なら加賀谷君のほうが本は読んでいますよ。

加賀谷:でも、新刊はあまり読まないですね。こだわりの本を並べている古本屋さんに行って、興味のあるノンフィクションの本を選ぶことが多いです。世界の貧困について書かれた本とか。
集中し続けることが苦手なので、ずっと読み続けていられないんです。だから、読みやすく、興味のあるテーマの本を読んでいます。

――加賀谷さんは中学生の頃に統合失調症を発症されて、その後2年間グループホームで過ごされていますが、その頃たくさんの本を読んでいらっしゃったそうですね。

加賀谷:そうですね。その頃もノンフィクションでした。でも、昔の方が今よりも幅広く読んでいましたね。フェティッシュ系というか、耽美系というんでしょうか。サブカルチャーというか、SMボンテージとか、秋田昌美さんとか、澁澤龍彦さんあたりにハマったこともあります。
また、あるときベストセラーランキングに入るような本ってどんなだろうと思って、友だちに電話で「何が面白い?」と聞いてハマったのが、大沢在昌さんの『新宿鮫』シリーズです。最初に読んだのが『無間人形』だったのですが、もうガツーン!ときまして。そこから警察小説や犯罪小説を読み込みました。

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