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視聴者「”テレビで家族団らん”という、その感覚がイヤ」 アナログ停波特番(4)

「テレビが好きなのでポジティブな話をしたい」という評論家・宇野常寛氏

 アナログテレビ放送の終了で「テレビというメディアはどこへ向かうのか」を検証する番組「アナログ停波特番『テレビはどこへ行く』」が2011年7月25日に放送された。番組では、視聴者からの質問に答えるかたちで「これからのテレビ」について議論された。出演者から、茶の間にしか地デジ対応テレビが置かれていない今がテレビ業界にとって「チャンス」だという声があがる一方、視聴者からは「テレビで家族団欒というその感覚がすごい嫌だ」という意見も寄せられた。

ゴールデンに出ようとは「1ミリも思わず深夜番組を作った」 アナログ停波特番(3)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw91612

 以下、番組を全文書き起こすかたちで紹介する。

■「ツイッターがあれば北川悦吏子さんが復活する」

津田大介氏(以下、津田): (ニコニコ動画の)コメントとかツイッターなんかを見ていると、やっぱりちょっと今日の話の中でいうと「新・週刊フジテレビ批評」とかで、「昔のテレビは良かったという話に終始していて、それが今のテレビのメディアの限界を示しているのではないか」と結構厳しい意見がきているなと思うのですが。なんとなくやっぱり僕も体感としてテレビを昔のほうが観ていたし、たぶん思春期に観ていたという「思い出補正」もあると思いつつも、やっぱり客観的にみていろいろ規制が多くなったのかも知れない。もしくはいろいろ制作費もなくなってしまったのかもしれない。

 いろんな面白い人がどんどん他の業界に流出したのかも知れない。いろんな理由でやっぱりテレビというのが、たぶん今は本当にどメジャーなメディアになれていないというのもあるのですが、昔と今のテレビ界とは大きく違うとこはどこなんですか、宇野さんから聞いてみようかな。

宇野常寛氏(以下、宇野): 僕はですね、僕自身はテレビが好きなので、何かちょっとポジティブな話をしたいと思うのです。僕はインターネットとテレビは、こういう番組があるとどうしても対立してしまうんですけど、むしろ積極的に結託できると思うんですよ。つまり”実況”ですよね、2ちゃんねるとかツイッターで実況をすることでクソつまらないドラマも突っ込みながら観れば面白い、とかあるわけですよ。まさに「ニコ動」とはそういう快楽なんですよね。

津田: あれは面白かったですよ、「素直になれなくて」は。

宇野: 「素直れ」、最高でしょ。

津田: あれはツイッターをやりながら観るとあんなに面白いドラマはなかったですから。

宇野: ツイッターがあれば(脚本家の)北川(悦吏子)さんが復活するんです。これ21世紀で起きた最大の奇跡のひとつです、これは。

津田: そこまでは言わないけど。

宇野: それぐらい人間のコミュニケーションとはすごく楽しい。「ガンダム」のアニメよりも(世界観を成す)宇宙世紀の架空年表について友達と話したりするほうが楽しいというファンはいっぱいいるわけですよ。だから今インターネットはスカイプを繋ぎっぱなしでもできるし、コミュニケーションのコストはゼロに近づいている。単に放送を観るだけではなくて、その放送について皆で突っ込んだりとか皆で意見を交換したりとか、コメントをつけることによって何かその楽しさを1.5倍とか2倍にしていく。テレビって、僕はそういうのに一番向いていると思うんですよ。

津田: パブリックビューイングをさせるメディアではたぶん・・・。

宇野: 映画とか本では絶対にできないんですよね。今やっぱり本もそうだし、津田さんの詳しいところだと音楽CDもそうなんだけど、やはり携帯電話の料金にお金を取られて、スカイプとインターネットに時間をとられて皆ソフトが売れなくなっているわけじゃないですか。だから、コンテンツの敵とはコンテンツではなくて僕はコミュニケーションだと思うんです。それを考えたとき、テレビというのは実は一番コミュニケーションと結託しやすい。

津田: まあ、起点になっていますよね。

宇野: コミュニケーションを使ってむしろ面白くすることが一番しやすいのが、僕はテレビではないかと思うのですよ。

■「テレビはお茶の間のものではなくなった」

津田: 吉田さん、先ほど「ニコ動にテレビは学ぶべき」というご意見がありましたけど、テレビが今の地デジになっていったなかでインタラクティビティとか、テレビもこういうニコ動みたいにコメントが流れるようにするべきなのか、それともこれはネット放送として面白いものとして、テレビは今のテレビの中で何かインタラクティビティを別の形で入れていったほうがいいのか、その辺りをどう考えますか?

吉田: 今僕は、宇野さんの意見に100%賛成です。さっき「浅い」といってごめんなさいね。僕は共有口があって、皆でテレビをおもちゃにしないといけないと思っているんです。「8時だョ!全員集合」の時代には、あれを何で観ていたかというと、月曜日に学校へ行って話が合わないから。「月曜日に学校へ行って話す」という共同体とコミュニケーションがあったわけですが、今は携帯かあるいはツイッターか何でもいい、スカイプでもいい。それですぐにコミュニケーションはとれちゃう。でもその場はどこにするのかというのは、ちょっと今あみ出せていないということかな。

津田: まあ、お茶の間ではなくなった。そして学校の教室でもなくなったときにということなのかな。

吉田正樹氏(以下、吉田): でも今日、地デジ化というのはとてもチャンスで、全部屋のテレビはまだ買い換えられていない。大きなテレビはまだお茶の間に1個買ってそれで集まって皆観ているんだそうですよ。日韓で共催の時のサッカー(W杯)と、この間の南アフリカの時って、視聴率は前のほうがいい。こっちのほうが盛り上がっているのに数字は下がるというのはどういうことかというと、ひとつはパブリックビューイングがすごく下がるのに観たのではないか。それから今までは3台のテレビで分けて観たのに、皆集まってデカイ綺麗なデジタルで観たのではないかとか、いろいろな仮説が言われているのですけども。テレビを皆で観るという機運はちょっと高まっていると思うんです。そうするとテレビはとてもいい方向に。

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