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Album Review:OPN『Garden of Delete』 実験的でありつつポップスのレンジもカバーする鬼才がいよいよ明日12/3より来日公演!

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 『削除の園』とはこれまた不穏なタイトルだが、英Warpからリリースした前作『R Plus Seven』(2013年)が高評価を獲得した、ブルックリンのエクスペリメンタル・ミュージシャン、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)が、新作を携えてこの12月3日に東京、12月4日には大阪で来日公演を行う。前衛アートや映画/アニメ界にも影響を及ぼしてきた鬼才の、注目のステージだ。

 刺激的なミュージック・コンクレートを現代的な手法で構築してゆくようなOPNの表現スタイルの中には、アンビエント/ドローンの音響美やエレクトロニカ/ブレイクビーツによって脅迫的なまでに構築されたサウンド、ハッとさせられるような美しいメロディを忍ばせるソングライターとしての資質まで、多種多様な要素が詰め込まれている。何しろそのリスニング体験としての衝撃が第一なので実際にその音楽に触れてもらうより他に伝える手はないのだが、新作『Garden of Delete』においても、一編のアルバムとして飽きさせることなく駆け抜ける構成力は舌を巻くほどである。

 例えば、本作収録の「Sticky Drama」では、冒頭で溢れ出す瑞々しい、どこかオリエンタルな情緒を漂わせる戦慄に耳を奪われるだろう。これが、エレクトロ・ハウスさながらのシンセ・リフとオートチューン・ヴォーカルを経由して、強烈なクライマックスへと展開してゆく。ひたすら実験的なサウンドが詰め込まれているのに、ポップ・ソングとして成立してしまうバランス感覚が圧巻だ。

 また、幻想的なシンセのループがキャッチーな魅力を振りまく「Child of Rage」もまた、OPNことダニエル・ロパティンのソングライターとしての才覚を伺わせるナンバーである。ジャーマン・エレクトロからニュー・ウェーヴ、IDMまで知識として詰め込まれた要素は多岐に渡るのに、重苦しさや説教臭さは皆無。OPNの音楽はそれこそ子供が露わにする感情のようにピュアで、まっすぐに触れるものの胸を打つ。

 ソフィア・コッポラ作品をはじめ近年は映画のスコアも手がけ、ドラマティックで効果的な音の配置はますます研ぎ澄まされている。一方でナイン・インチ・ネイルズのツアーをサポートするなど活躍の場は広がる一方だが、それもOPNの音楽がカヴァーするレンジの広さを証明する現象と言えるだろう。やはり今回の来日公演は、日本のファンにも大きな衝撃をもたらしてくれそうだ。(Text:小池宏和)

◎リリース情報
『Garden of Delete』
2015/11/10 RELEASE
BRC-486 2,200円(tax out.)

◎公演情報
東京 2015年12月3日(木) 恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 18:30 / START 19:30
前売:5,500円(1ドリンク別)
大阪 2015年12月4日(金) FANJ TWICE
OPEN 18:00 / START 19:00
前売:5,500円(1ドリンク別)
※チケット詳細は近日発表
INFO: http://bit.ly/1hJ4Wqs

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