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相手の立場を理解する! 話し方研究所が考えるミドルマネジメントの話す技術・聞く技術

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積極的に動こうとしない部下や、何を求めているのかわかりづらい上司……。ミドルマネジメントのポジションにいると、日々の業務の中でコミュニケーションに悩まされることも多々ありますよね。

そこで今回は話し方研究所の福田健会長に、ミドルマネジメントが部下や上司に対してどのようなコミュニケーションを取るべきか、シチュエーション別に聞いてみました。


福田 健 (ふくだ・たけし)

株式会社話し方研究所会長。話し方研究所設立者であり、温かみのある人間性と具体的でわかりやすい話し方で、大勢の人々を魅了。現代のコミュニケーションに関しての研究・啓蒙活動を通じて、現在講師会インストラクターも100名を数える。執筆著書も年間4冊以上のペースで27年以上継続して出版している。業界で最も難しいといわれている「伝承」を確実に実行し、現在講師会相談役となる。

部下に主体的な行動を促したい場合は、「相手に問いかけてみる」

部下とのコミュニケーションの大前提は、「日常的に会話がしやすい関係を構築しておくこと」。若手の方たちは少し遠慮がちなところがあります。たとえばこちらから促さなければ報告を上げてこないとか、相談をなかなかしてこないといったケースはよく見受けられるのではないでしょうか。

そうした遠慮がちな社員が多い場合は、日常的にこちらから声をかけていく必要があります。たとえば朝出社をしたら「おはよう、今日は冷えるね」と声をかける。些細なことですが、おはようのあいさつとプラス一言を、会話になるように加えて声をかける。それを地道に続けることで距離を縮めていって、たとえば部下が5人いるのでしたら、一人ひとりの特徴や、どういうときに調子がいいのか、担当業務をどのようにこなしているのかを把握していくことが大事だと思います。

日常的に会話がなされていて、部下の個性もわかってくると、部下への要望の出しかた、モチベーションの上げ方がわかってきます。そのうえで、主体的な行動を促すためのポイントは、「相手に問いかけてみること」。

たとえばある部下に対して、組織や得意先の課題を解決してもらいたい場合、「いまこんな問題が起こっているけれど、どう思う?」と、相手の意思を聞くようにします。しかも、ただ黙って聞くのではなく、「たとえばこんな点でどうだ? 前に気になると言っていたと思うけど」と、切り口だけでいいので、助け舟を出していく。こうしてさりげなく部下が話しやすい空気や、気にしていそうなことを引き出していくことで、そこから主体性が生まれてくるのです。

たまに会話が途切れて間ができることもあるかもしれませんが、間を楽しむのも、上に立つひとのコミュニケーションの余裕だと思います。部下にやる気を起こさせる、自分で提案してほしいと思うのなら、日ごろのコミュニケーションの取り方をこちらが3~4割、相手が6~7割になるように聞き役に廻る。上司はとかく喋りすぎるので聞く力を鍛えていくのです。現代のリーダーには聞く力が求められているのです。

部下を叱る目的は、責めることではなく、改善させること

主体的に部下が動いた結果、ミスをすることもあると思います。そのとき、相手はミスした責任をすでに感じているはずなので、いまさら上司から「またやったのか」とか、「こんなミスをされたら上に報告できない」といったプレッシャーになる発言をするのでは、部下は、ただ落ち込むだけです。

ミスも内容によるとは思いますが、上司として叱る際のポイントは、「どうしてこういった結果になったのか考えてみようか」といった、原因がどこにあったのかを考えさせる叱り方をすべきです。

なぜこうなったのか、どうしたら改善できるかを短く、話をほかのことに広げないように叱ることが大切です。「おれに聞けばよかったんだ」とか「なぜ相談しなかった」とか、「おれが若手のころはこんなことすぐできたけどな」とか、そういう余計な説教をしてしまう上司は多いですが、注意という行為は、相手に同じミスを繰り返させないためにするものであって、失敗したことを責める行為ではありません。原因を確認して、再発を防ぐ方法を考える、そこに焦点を絞るべきです。

あと、叱る際に一般的に使えるフレーズというのは少ないとは思うのですが、「ダメじゃないか」といったフレーズは使わないようにしています。ただ否定するのではなく、包括的に、何が起こったか聞くことが大切。私はそうした意味で「どうした?」と聞くことが多いです。本当はこちらで原因がわかっていても、きちんと相手から話してもらう状況をつくるためです。

私はドラッカーが好きなので彼のマネジメントの本をよく読むのですが、「大事なことは、できないことではなく、できることだ」というのが彼の持論です。部下ができること、得意なことをいつも頭において、そのうえで見守る。「こういうことをやらせたら彼はできるな」とか、長所を頭に置いておかないと、悪い部分ばかり見えてしまうことになりかねません。

上司に報告を上げるときは、結論を最初に伝えるとともに、次の対策を示す

次は上司に報告を上げる際のポイントです。よく言われることですが、「悪い報告ほど早く」は前提ですよね。上司は現場の状況がわからないので組織が大きくなればなるほど、今どうなっているのか、どこが問題なのかはわかりづらくなってきます。

ですから必要なことはできるだけ早く伝えていく。自分だけ把握して「任せてください、大丈夫ですから」と言うと、上司は「おれを敬遠しているな」と思いはしても「じゃあ任せた」とすんなりは言わないはずです。組織の情報は上から下におろすのも大変ですが、下から上に持ち上げるのはもっと大変だとよく言います。「上司が現場で起きた事件を知らなかった」というのも問題になりますので、情報共有は早めにしたほうがいいですね。

そのうえで、上司に報告をあげる際のポイントは、必ず結論から伝えて、対策をどうすべきかまで伝えることです。悪い報告を結論から言うと「何をやってるんだ」と怒られる可能性もありますが、それは事実なので仕方がないこと。重要なのはそのあとに次の手を打たなければいけないことを上司に意識させることにあります。報告の時点で改善案まで提示できればいいですが、それが難しければ、せめて改善案をいつまでに挙げる、といった話までしておきたいところです。

上司が求めていることを引き出すには、相手のことを理解する

上司が求めていることを引き出すコツは、仮説を立てたり言い換えをして、確認をとること。また、その上司との日ごろの付き合いから、話し方の癖。たとえば、全て説明する人なのか、一部だけしか話さない人なのかを把握すること。

上司にもいろんなタイプの方がいますので、1から10まで全て説明してくれる人もいれば、「あとは察しろ」という人もいるでしょう。このとき、全て話してくれる上司は対応も楽ですが、それでは「聞く力」は一向に身に付きません。「聞く力」は、わかりづらい話などを聞いたほうが身に付くのです。

たとえば大学生が講義を受けて、「あの教授の話はわからないからつまらない」と言うのでは、「わからないから面白い」という発想ができなくなってしまう。今は、わからない講義は受けたくない、という風潮が強い。そこで、講師もつい、どんどん話をわかりやすく噛み砕いていきます。その結果、学生の講義を聞く力は衰えていってしまいます。

ミドルマネジメントになったら、上司の話は基本、わかりづらいと考えた方がいいと思います。だから質問をするとか、再確認するとか、よく観察して上司の癖を見抜き、その人に合った対応を取ったほうが上司の話を聞く力は伸びていくのです。「部長はおっしゃらなかったですが、こういったこともありますよね」と、提案していくことで上司の求めていることがわかることもあります。

コミュニケーションの出発点は、「相手の立場を理解すること」

企業が採用活動を行う際、新人に求めるスキルに「コミュニケーション能力」を挙げるケースがあります。しかし、「コミュニケーション能力」が何を指しているか具体的に答えられる人は少ないでしょう。話がうまい、プレゼンができると言っても、相手によってその伝わり方は異なりますので、聞き手の立場を考えて対応の仕方を工夫する必要があるのです。コミュニケーションは相手と共にする「やりとり」です。

つまり、聞き手の立場を理解することが、コミュニケーションの出発点。その人が喋りたがりなのか、寡黙なのかによっても異なりますし、ひとつの質問で何を聞きたがっているのかも人によって違うと思います。相手、すなわち聞き手の立場になって反応を見てちょっと間を取ってみるとか、話し方を変えるとか、それらはすべて相手のことを理解しようとすることから生まれているのです。

上司によって、部下によって、そしてそれぞれの人によって、報告も質問も叱り方も変える必要がある。言葉にすると簡単な結論ですが、それを実際に行動しようとすると難しいんです。どうしても自分のことが先立って、自分流儀を押しつけてしまいますからね。

 相手のことを理解するためのポイントは2つです。一つは、面と向かった瞬間に、相手に目を向けて観察すること。疲れてるのか、楽しそうなのか、相手の状況を見て判断したうえで、会話のテンションを揃えてあげる。

もう一つは、話し相手となる人のことをきちんと下調べしておくこと。たとえば社外の人に会う場合、相手がどんな人で、前に会ったときにどんな話をしたのか思い出し確認しておけば、会話はスムーズに運びます。自分が話したいことが先立ってしまうのが普通なのですが、相手が何を話したがっているのか、どんな人なのかを事前に知っておくことで、会話のリズムは作りやすくなるはずです。

コミュニケーションを意識するとつい、どうやったらうまく喋れるか、どうしたら気の利いたことが言えるかを考えますが、ここは気前よく発想を逆転させて相手をどれだけ理解するか、そのうえでどのように話すべきかを考え、実践することが大切です。

上司や部下とのコミュニケーションに悩むようでしたら、相手をよく観察して、理解することから始めてみてはいかがでしょうか。

監修:リクナビネクストジャーナル編集部

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