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今週の永田町(2015.10.27~11.3)

【1億総活躍国民会議、初会合を開催】

 先週10月29日、安倍総理が新たな看板政策として打ち出した1億総活躍社会を実現するため、関係閣僚・民間議員らが具体策を検討する「1億総活躍国民会議」の初会合が開催された。議長の安倍総理は「(新三本の矢で)明確な的の設定を行った」と強調したうえで、「それぞれ希望がかない、生きがいを持てる社会をつくりたい。省庁の枠組みを超えて、従来の発想にとらわれない新たな案を取りまとめていただきたい」と要請した。

 民間議員からは、検討課題として外国人の介護人材の活用拡大(榊原定征・日本経団連会長)や、若年者の就職支援(増田寛也・日本創成会議座長、元総務大臣)、結婚・出産を機に離職した女性の再就職促進のための環境整備(菊池桃子・戸板女子短大客員教授)のほか、結婚支援、出産・育児に関する相談機関の設置、社会保障費の抑制に向けたスポーツ振興の重要性などが提起された。また、財政健全化の方針を維持しつつ歳出改革や社会保障の重点化・効率化などを進め、少子化対策や介護問題に対応する固定的な財源を確保することが必要(三村明夫・日本商工会議所会頭)との意見も出た。

 

 国民会議では、11月末の緊急対策(第一弾)とりまとめや、中長期的な総合的対策と2020年までの具体的工程表からなる政策パッケージ「日本1億総活躍プラン」を来年春ごろまでに策定する方針を決めた。また、新3本の矢のうち、名目GDP(国内総生産)600兆円の達成をめざす「強い経済」関連は、甘利経済再生担当大臣が所管する日本経済再生本部や経済財政諮問会議などで提言をとりまとめる方向も確認した。国民会議は、緊急対策のとりまとめに向け、3回程度の会合開催や、若者へのヒアリング実施を予定している。

緊急対策には、経済施策や、若者の就労支援策などを盛り込む方針だ。「希望出生率1.8」関連では、保育所に入れない待機児童を解消するための保育所整備などを検討する。「介護離職ゼロ」関連では、特別養護老人ホームなど介護施設や在宅サービスの整備・充実、介護人材の確保、介護者1人につき最大93日までの介護休業中に支払われる「介護休業給付金」(現在、休業前賃金の40%)の引き上げなどを検討されている。このうち、介護休業給付金の引き上げは、2日の厚生労働省・労働政策審議会部会で労使代表が大筋で了承された。介護休業給付金の引き上げは、育児休業(休業前賃金の67%)との差を縮めるねらいから、50%・60%・67%のいずれかにするという。また、介護休業を取得しやすくするため、原則1回の介護休業を分割取得できるようにすることも検討されている。厚生労働省は、改正法案を来年の通常国会に提出することを念頭に、引き上げ幅など詳細を年末までに決定するようだ。

 

ただ、緊急対策とりまとめ期間が1カ月弱と少ない。幅ひろい意見を反映したり、新たに政策づくりをしたりすることが難しく、関係省庁は、既存政策や概算要求ではじかれた政策などを持ち寄るなどして調整作業を進めているようだ。このことから、緊急対策が「従来の政策の寄せ集めになりかねないのではないか」、「(来年7月25日に任期満了を迎える参議院選挙を念頭に)見栄えする対策が優先されるのではないか」との見方も出始めている。規制改革や歳出改革といった痛みを伴う改革も含め、根本的な問題解決に資する政策や実効性のある政策をどこまで打ち出せるかはいまのところ不透明だ。

このほか、政府は、「活力あふれる超高齢化社会の実現に向けた取組に係る研究会」などを新たに設置し、高齢者の知識・経験・技術・技能などを社会に活かすための施策や、高齢者が元気に暮らせる環境の整備などを検討していく予定だ。具体的な検討課題として、定年後の再就職先や社会貢献活動などを紹介する仕組みや、健康を維持する医療・介護サービスの充実などがあがっている。

 

 

【農林水産省、TPP影響分析を発表】

日米など交渉参加12カ国が大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、生産者などの間で不安が広がっていることから、農林水産省は、関税撤廃・引き下げなどによる農林水産物への影響を分析した。そして、29日、米麦や甘味資源作物、一部の野菜・果実など21品目への影響に関する分析結果と、影響を抑える対策の方向性について発表した。農林水産省は、これら21品目を含む約40品目の影響分析を進めている。

 日本政府が外国産米の輸入を一元管理する「国家貿易制度」や関税を維持したコメは、多くの例外措置を確保したとして「新設する輸入枠(米国・オーストラリアに計7.84万トン)以外の輸入増大は見込み難い」と予測している。ただ、今後、新設の輸入枠で国内の米の流通量が増えれば、国産米全体の価格水準が下落することが懸念されるとして、備蓄制度の見直しなど国産主食用米生産への影響食い止めや、さらなる競争力強化が必要とした。同じく国家貿易制度や関税が維持される小麦や大麦も、新設の輸入枠分が現行のカレントアクセスによる輸入の一部が置き換わるのが基本であり、国産小麦に置き換わるものではないとして、「輸入の増大は見込み難い」と分析している。ただ、マークアップ(輸入差益)の削減に伴う輸入麦の価格下落で、国産小麦の販売価格に影響を及ぼす懸念がある点を考慮して、競争力強化や国産の安定供給に向けた環境整備が必要とした。

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