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【ライヴ・レポート】壊れかけのテープレコーダーズ、うみのてとの2マンにみたロックの底力

【ライヴ・レポート】壊れかけのテープレコーダーズ、うみのてとの2マンにみたロックの底力

壊れかけのテープレコーダーズが10月14日、対バンにうみのてを迎え、東京・新宿Motionで2マン・ライヴ〈broken sea in the decade〉を開催した。

新宿Motionの10周年記念企画として行われたこの企画。東京インディーズの比較的近いシーンで活動してきた2組は、これまで何度も共演してきたが、意外にも2マンはこれがはじめてだという。そんな念願ともいえるこの日のライヴでは、お互いを高め合い、まさにロックの底力を見せつけるような素晴らしいパフォーマンスを披露した。

先攻のうみのては12月24日の渋谷WWWワンマンをもって活動を完結することが決まっている。そのため、これが最初で最後の壊れかけのテープレコーダーズとの2マン。それと同時に、残り少ない長尺のライヴということもあり、数々の名曲や代表曲を惜しみなく披露するセットリストとなった。

いきなり強いメッセージ性を感じさせるミディアム・テンポの大作「言葉狩りの詩」からスタートすると、「NEW WAR (IN THE NEW WORLD)」「もはや平和ではない」と攻撃的な曲を連発。「恋に至る病」からは一転して、情緒的な世界観をつくりあげた。終盤に入ると、ステージに壊れかけのテープレコーダーズ、小森清貴(Vo、Gt)を呼び込む。そして初期から演奏されている名曲「SAYONARA BABY BLUE」でコラボレーション。小森は笹口騒音(Vo、Gt)と向き合いながらギターを弾くと、コーラスまで披露して曲を彩った。

小森が満足そうな笑顔でステージを去ると、再びうみのての5人の演奏に戻る。「東京駅」の間奏部分では、笹口が壊れかけのテープレコーダーズ「箱舟は来なかった」の一節を披露するサプライズも。笹口の声にあわせ、円庭鈴子(Key,Cho)は遊佐春菜((Vo、Organ))のパートを歌っていた。圧巻だったのはラストの「This is the End」。終わりに向かって静かに感情がたかぶっていく感覚。それはまるで、バンドが完結へ向かうストーリーを1曲のなかに凝縮しているかのようだった。

転換を経て、壊れかけのテープレコーダーズのステージがはじまる。「idiot o’clock」から幕を開けると、畳み掛けるように次々と曲を演奏していく。「15歳のポケット」では、小森が最前列でライヴを観ていたロック少年の目の前で渾身のギター・ソロを披露。夢中で拳を突きあげる少年の目と同じくらい、このときの小森の瞳が輝いていたのが印象的だった。

中盤、小森は「うみのて、良かったな」としみじみ語ると、うみのてのメンバーや新宿Motionに感謝の言葉を述べた。彼らの曲のなかでもかなりアップ・テンポなナンバー「聖者の行進」を勢いよく演奏。shino(Ba)と44O(Dr)が繰りだす怒濤のリズムに乗せて、小森の壮絶なシャウトが響いた。「何年ぶりかわからないくらい久しぶり」という初期曲「遊びは終わらない」では、会場をサイケデリックな世界に染めあげた。

高揚感をあおるミディアム・テンポの未発表曲「rising sun」を挟み、ラストは「うみのてに伝えたい気持ちもある」という初披露の新曲「サイレント」へ。琴線に触れる美しいメロディと、夜明けを感じさせるような壮大な演奏。「映画のように」という歌詞が聴こえたが、まさにこのライヴのエンドロールにふさわしい傑作だった。

アンコールでは壊れかけのテープレコーダーズのステージに、カート・コバーンに扮して(?)金髪のカツラをかぶった笹口が登場。コントのような微笑ましいやりとりを挟みつつ、ニール・ヤングのカバー「Hey Hey My My」を一緒に演奏した。途中、小森と笹口がひとつのマイクに向かい合って歌うという、なんとも胸が熱くなるうれしい光景もあった。曲のアウトロでは轟音のなか、小森が「笹口騒音!!」、笹口は「壊れかけのテープレコーダーズ!!」とお互いを讃えるように絶叫していた。

そして小森が「アー・ユー・レディー・トゥー・オープン・ザ・チョウツガイ!!!」と叫ぶと、最後に壊れかけのテープレコーダーズが「蝶番をこじあけろ」を披露。「これがロックだ」と言わんばかりの渾身の演奏で、熱狂の2マンを締めくくった。

うみのてが作りあげた高揚を壊れかけのテープレコーダーズが増幅させた上で、最後にはすべてを更地に戻すかのような圧倒的なライヴ。心を空っぽにして、ただただ音に身をあずけていたくなるほどに心酔させられる2組の演奏は、ロックのかっこよさや可能性を思い起こさせてくれるものだった。彼らのように中堅のバンドは、もはや同じメンバーで長く続いていること自体が貴重で尊い。うみのてはもうすぐ終わりを迎えるが、壊れかけのテープレコーダーズには、これからも変わらず最高のロックを奏で続けていてほしいと、切に願う。

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