おサイフケータイGoogle版『Google Wallet』についてざっくり理解してみよう
Googleは、Android端末向けのモバイル決済アプリ『Google Wallet』を先週発表しました。平たく言えば、“おサイフケータイGoogle版”。現在は、ニューヨークとサンフランシスコで実証実験が進められており、今夏にはアメリカ国内の一般ユーザーも利用できるようになる予定です。
『Google Wallet』は、日本ではシティバンク銀行でよく知られている金融機関のCiti、クレジットカードのMasterCard、電子決済サービスのFirst Data、携帯電話などの通信事業を行うSprintとGoogleが協力して開始したサービスです。日本で利用されている非接触IC『Felica』を携帯電話に搭載した『おサイフケータイ』によく似たしくみで、米国の非接触IC『NFC』を搭載する携帯電話でタップして支払いが可能。『Google Wallet』アプリのダウンロードは無料です。
現在のところ、Citiのクレジットカード『Citi Mastarcard』、Googleの仮想プリペイドカード『Google Prepaid Card』に対応。『Citi Mastarcard』のPayPass機能で直接決済するか、その他利用しているクレジットカードから『Google Prepaid Card』に金額をチャージして決済できます。いずれのカードも審査なしの利用限度額は100ドル、電源が入っていれば圏外からでも使えますが、利用前に暗証番号(PIN)の入力が求められます。
また、『Google Wallet』では、『Google Offers』のクーポンや、『トイザらス』など小売店のポイントカード、ギフトカードなどの利用も可能。Googleは、今後提携先を広げていく考えです。日本への上陸予定は発表されていませんが、国内のPayPass端末(店舗に設置される非接触ICを読み取る機械)の普及も広がりつつありますので、そう遠くない未来にやってくるのではないかと思います。検索からお財布まで、Googleはそのうち私たちの生活インフラとプライベートを覆い尽くしてしまいそうですね。
ところが、『Google Wallet』はリリースと同時に訴えられるという事態にも発展しています。実は、GoogleはPayPalとの提携について2年越しで話し合ってきたのですが、交渉成立の直前になってGoogleが撤退を表明。代わりに、交渉担当者だったPaypal役員(当時)を引き抜き雇用したというのです。このような事態に対し、PayPalとその親会社であるeBayは契約不履行と企業秘密の不正利用について、Googleと当該の元PayPal役員2名を訴えています。
PayPal側の訴えによると、元PayPal役員はすでにPaypalの将来計画を熟知しており、さらには『DropBox』やPayPal以外のメールアカウントにeBayの秘密情報を保存したとも指摘。ちなみに、彼は現在Googleでモバイルペイメントを担当。引き抜きにあたっては、『Facebook』メッセージが使用されたとも言われています。なんだかホント、どこまでもクラウドな話ですね。真偽のほどは裁判の結果を待つのみですが、もしこれが事実であるならば、骨肉の争いを演じてまで勝たなければいけない勝負だったということでしょうか。
Googleとはいったい何者なのか?
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京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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