夫婦ゲンカが増えたので“コーチング”を受けてきた

kobeniの日記

今回はkobeniさんのブログ『kobeniの日記』からご寄稿いただきました。

夫婦ゲンカが増えたので“コーチング”を受けてきた
皆さんこんにちは、kobeniです。ゴールデンウィークはいかがでしたか。どうしてうちの夫は長時間のドライブになると80年代語りをはじめるのか。謎は深まる休み明けですが、きょうの記事は“夫婦”がテーマですよ。
私の永遠のプリンスである小沢健二くんのお父さん、小澤俊夫さんのエッセイに「中国では、夫婦喧嘩は外でする」と書いてありました

ある日、うちのある新開路の道に、突然黒山の人だかりができた。まん中でおばさんが泣き叫んでいる。(略)うちの亭主は、私にこれこれのことをした。私がいくら抗弁しても聞き入れてくれない、とわめいているのである。
夫婦げんかは、夫婦の間でやるだけでなく、最後にはこうして、街頭で大衆に訴えるのだそうである。とりまく野次馬のなかからは、ああしろ、こうしろとか、それはお前が悪いんだなど、勝手ないちゃもんがつけられていた。こういう夫婦げんかは、日本では見たことがない。

『子どもと昔話』 vol.41 糸つむぎより

夫婦間のいざこざは、日本では「非常に“私的な”ことなので他者は立ち入らない」という文化があると思います。自分の親に相談すると心配をかけてしまううえ、ややもすれば両家巻き込んで大事になるし、彼氏のことなら相談できた友達でも、夫婦のこととなると、どうだろう? しかも子どもがいたりすると、外出もそう容易ではないため、友達に聞いてもらおうにもフットワークが重くなる。ママ友とは、そこまで腹割って話せる関係でもない……。

しかしねぇ、子どもが産まれると夫婦の関係っていろいろと変化すると思うのです。いや、変化を余儀なくされるというか。心無しか私たち、子どもが産まれてから、ケンカが増えている気がする……『Twitter』では仲のよい夫婦を演じているが、あれはしょせんソーシャルな中だけの仮の姿……不安がない、と言えばウソになる!

先の中国の例は極端としても、この国の夫婦・家族関係というのは常に“閉じ過ぎ”の危険性をはらんでおるよ。とかそんなことをモヤモヤ考えていたら、以前『育休ママのワークショップ』とか、単なる飲み会とかでお世話になった平田香苗さん(@karika7)
から「夫婦でコーチングを受けてみませんか?」というお誘いを頂いたのでした。

コーチングって受けたことはないけど、お仕事でコーチをされている平田さんから伝え聞いていたので、興味はありました。しかも“夫婦で”というお誘い! ヤタ! これで私たちの原発離婚も防げるかも!?(注:夫婦コーチングを受けたのは1月です、あしからず)
うちの夫(@zanbottosan)は、何を誘っても基本「えー」という感じの引きこもりなのですが、今回は私のただならぬ雰囲気(行くよ……行かないと、『まどか☆マギカ』の話聞いてあげないよ……)に気圧されたのか、ニコニコとついてきたのでした。そして、平田さんにはちょっとご無理を聞いて頂き、息子も同伴してきました。

● 夫or妻ではなく、ふたりの間の“関係”が主役

そもそも“コーチング”とは何ぞや?
コーチングを受ける人の具体的な目標や「こうありたい」という願いに対し、コーチがナビゲートすることで、その人が元来持っている力を引き出して、その実現をサポートする。という感じでしょうか。主にビジネスの中で、研修等として取り上げられることが多いようです。
そして、“夫婦コーチング”は“システムコーチング(複数の人数を対象とするコーチング)”の一種です。これは平田さんいわく、人々の間に「よい関係を創り上げていくプロセス」なのだそうです。
冒頭に「主役はkobeniさんでもzanbottosanさんでも、もちろんコーチの私でもありません。ふたりの間の“関係”なんです」と言われたときは、正直あまりピンと来ませんでしたが、コーチングが進むに従って、その意味が次第にわかってきました。
具体的な方法は? というと、基本的には“コーチが質問する”“我々がひたすら答える”というもの。いくら主役が“関係”だと言っても、さすがにちょっとくらい指導とか助言とか、してくれるのよね?“コーチ”なのだし……と思っていた私なのですが、驚くほどコーチは“引き出し役”に徹して、基本的には“我々夫婦だけがベラベラとしゃべっている”という形なのでした。

● 「夫よ、そんな風に思っていたの……!?」

コーチは、ふたりの“関係”を注視しているので、そこにうまく迫れるような質問をしてくれます。たとえば……

コーチ「いま、最近は××ではないとおっしゃいましたが、それは具体的にはどういう意味ですか?」

私「子どもが産まれてからケンカが増えているような気がして、それが根本的になにか大きな問題だったらヤだなあと思います」

コーチ「いまのkobeniさんの意見について、夫さんはどう思われますか?」

夫「いやー僕はそんなことは全然不安ではなくて、それより最近ボクは、かなりどうでもいいことで妻に怒ってしまっていると思いますー」

私「えっ?(夫を二度見)」

というような感じです。小一時間ばかりのセッション(と呼ぶらしい)の間に、私はいったい何度、夫を二度見したことか! おそらく夫もそうだったことだろう! お互いに、「そんな風に思ってたんかいな」という発見があり、いかに普段から本音の部分を「言わなくてもわかるだろ」的コミュニケーションでごまかしていたか……ということが、よーく分かりました。

● 最後にひとつ“具体的なアクション”を決める

一時間のセッションというのは、短い方なのだそうですが、それでも、結婚当初の関係と、子どもが産まれてからの関係、お互いの仕事観や家族観の変化を、二人がどう捉えているか…など、平田コーチはいろいろと引き出してくれました(私たちがこういった内容になっただけで、結果はご夫婦によってもいろいろだと思います)。
そして最後に、これからの夫婦“関係”を、良いものにしていくための“具体的なアクション”をひとつ決めて、はじめての夫婦コーチング体験は終わったのでした。
この“アクション”、私たちのはちょっと恥ずかしいから書かないけどね、これもご夫婦によって、いろいろな結論になるみたいですよ。「共通の趣味を持つ」とか、「月に1回は二人っきりで出かける」とか。

ちなみに私、最初に“夫婦コーチング”と聞いた時に思い浮かべたのが、アメリカのドラマ等で、夫婦がカウンセラーらしき人にセラピーを受けてるやつだったので(奥さんが怒りだして帰っちゃったりする、アレね)「カウンセリングとの違いは?」と聞いてみたところ、
「カウンセリングは、物の見方を変えるとか、癒すことがいったんの目標。コーチングでは、行動に移すことを考えてもらいます
とのことでした。なるほど実践的!

● “辞令”もないのに移り変わる夫婦の“役割”

ビジネスの場で行われるコーチングには、たとえば、「自分は何がしたくてこの仕事を選んだんだっけ」というような、“最初は持っているけど次第に忘れてしまう動機や、理想”をもう一度思い出す。というワークや、新しく編成された組織で、“「意図的にお互いの協動関係を構築する”というワークなどがあるのだそうです。

どんなビジネスにも、“利益を上げる”という、共通した目的があります。けれど夫婦の場合はどうだろう? 夫婦でいること、それ自体が目的、というような要素があると思う。それに、「なぜ夫婦でいるのですか?」と聞かれた時の答えは、ビジネスと違って、多様で良いはずです。「落ち着く」でも「刺激になる」でも「楽しい」でも「便利」でも、なんでもいい。夫婦二人がその“関係”について、共通した定義を持っていれば。

けれど、社会的役割としての“夫婦”もまた、私たちは無視することができません。たとえば子供が産まれると、“夫”と“妻”という役割から“父”と“母”という役割に変わる、というようなこと。
会社だったら辞令が出て、仕事の説明があって……となるわけですが、夫婦の場合そうはいかない。だれも「あなたは“母”に異動になったので、育児7仕事3の割合で達成するように。かわいい妻としての笑顔は通常業務として朝イチで頼む」とか言ってくれないわけです。
誤解を恐れずに夫婦関係をビジネスに例えますが、夫婦間には“目標設定”とか“振り返り”とか、“査定”がないですよね。なんとなく「わかってるでしょ、愛だよ、愛」みたいな感じで、何年も何年も経っていく。その間に劇的な役割の変化があっても、「言わなくてもわかるだろ」的空気で乗り切ってしまう。夫はいつも私の気持をわかってくれない、妻は口を開けばいつも不満ばかり、あれから40年、あの日のあのプロポーズ。 あの日に帰って断りたい! (※綾小路きみまろ)

……何が言いたいかというと、
「夫婦も、棚卸しとか、振り返りとか、やると良いよ」ってことです。それも、他者(プロ)に入ってもらって。なんでかって? 二人でやると夫 婦 ゲ ン カ に な る か ら に決まってるでしょ! ぷんぷくりん!
気持ちのよいメンバーシップを長く保つほうがよい、そこにいるのは生身の人間だから。という点は、組織も夫婦も変わらないですからね。そして、“理由あって一緒にいる”という点も。

● コーチングは、こんなご夫婦に向いている

私の個人的な意見ですが、
・ 結婚したばかりのカップル
・ 親になったばかりのカップル
・ 家族の間になんらかの変化を迎えるカップル
など、新しいシーズンを迎えつつあるカップルにオススメです。お互いがイメージする“夫”“妻”や、“父”“母”などは、必ずしも社会常識的なそれと合致するとは限りません。相手の思う「それ」とも、です。変化が起きるタイミングで、しっかり言語化して理解しあうことができると、ベースに深い信頼関係が築けて、不要なケンカや衝突が減ると思われます。

なんだか最近、パートナーとゆっくり話す時間がない……すれ違いや誤解が多いかも……そんな方も、ぜひ。

● コーチングは、こんなご夫婦には向いてない

「コーチング? そんなもの必要ないわ、だって私たちは週1で夕食後に定例ミーティングを行い、常にホワイトボードで家庭内のタスクを可視化して、“Googleカレンダー”を共有して役割分担しているもの」というような、ソーシャル時代の鏡みたいなご夫婦には、コーチングは必要ないかもしれませんね。ただしその際にしゃべっているのが妻9:夫1というような状態であれば、受けた方がいいと思いますけどね、逆に!

というのは、あながち冗談ではなくて……。
複数でコーチングを受ける場合、メンバーの中で「どの人の声も尊重されるべき」という鉄則があるそうです。メンバー内で最も弱い立場にある人の声を拾うことが、その組織を大きく変えるきっかけになることもあるそう。
だから例えば、「夫・妻の声などそもそも聞く必要はない」あるいは「夫・妻の声は既にじゅうぶんに聞いているので、必要はない」と、どちらかだけが一方的に考えている場合、コーチングは上手く機能しないかもしれない。ということです。

そもそもコーチングを受けたのが1月で、体験記を書こう書こうと思いつつ、今になってしまったので、上手く書けたかビミョウです。。ただ、少なくとも私と夫は、心無しか仲良くなった感じで帰りましたよ! 夫のキゲンがよかったのは、平田さんが美人だったからだと思いますが……平田さん、ありがとうございました^^

※5月11日 追記
カウンセリングとコーチングの違いについては、カウンセリングでも物の見方・癒し・行動などすべてを視野に入れますという指摘を頂いています。私としては、カウンセリングでもコーチングでも、自分に合った方を選べるくらい文化が浸透するといいなと思っています。“夫婦で”“他者を通して”“関係性をさらに良くする”ということが叶うならば。

今回、コーチングをしてくださったのは平田香苗さんです。
『Twitter』:http://twitter.com/#!/karika7
ホームページ:http://www.karikacoaching.com/
夫婦コーチングの詳細&お申し込みは、こちらから!
「夫婦・カップル・家族のコーチングについて」『後回しにしない生き方しない?』
http://ameblo.jp/karika7/entry-10887466448.html

執筆: この記事はkobeniさんのブログ『kobeniの日記』からご寄稿いただきました。

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