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『ヴィンセントが教えてくれたこと』 ジェイデン・リーベラー インタビュー

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昨秋、全米でスマッシュヒットを記録した『ヴィンセントが教えてくれたこと』がついに日本公開を迎える。本作はビル・マーレイ演じる主人公ヴィンセントが少年オリバーと最高のパートナーシップを築いていくヒューマン・コメディ。この映画でひときわ注目を集めているのが、マーレイと堂々と渡り合ったジェイデン・リーベラーの存在だ。

その小さなジェントルマンは、出逢った瞬間に向こうから「ハロー」と語りかけ、ちょっとはにかみながら握手に応じてくれた。まだ身体は小さいけれど、ギュッと握りしめたその手のひらはとても温かくて、彼のハートのありようを物語っているかのようだった。会うと誰もが笑顔になり、温かな気持ちにさせてくれる。そんな逸材、リーベラーに映画のこと、将来のこと、そしてビル・マーレイのことなど様々なお話をうかがいました。

 

———お会いできて光栄です。長旅と取材続きで疲れてませんか? 

ジェイデン「はい、大丈夫です」

———日本は初めてと聞きましたが、どこか行ってみたいスポットはありますか?

ジェイデン「特にはないんですが……いろんなところを歩いてみたいです」

———歩く?

ジェイデン「はい、東京のビルディングがとても美しくって。自分の足で歩いてどんな街なのか見て回りたいと思ってます」

演じることって本当に面白い

 

———今回の『ヴィンセントが教えてくれたこと』への出演はオーディションで決まったそうですが、どんなふうに進められたんですか? 

ジェイデン「とても長いプロセスでした。4つの審査があって、最終的にはニューヨークへ飛んで、テッド・メルフィ監督に会いました。大変だったけど、楽しかったです」

———最終決定は電話で?

 ジェイデン「はい。ロスに戻ってから電話をもらって、そこで『君に決まったよ』と言われました。あの時はとても興奮しました」

———あなたが本作でオリバー役を演じてもう2年が経つわけですが、ご自分が演じたオリバーへの思いは変化していますか?

ジェイデン「そうですね、撮影はもうかなり前になるけれど、ぼくのオリバーへの気持ちは変わっていなくて、彼はぼくの中で相変わらずとてもいい子のままです。周りの人たちの心の素晴らしさをしっかりと見つめている子だなと思います」

———ヴィンセントとオリバーはおじいちゃんと孫くらいに年齢が離れているのにとてもいいコンビですよね。ふたりの絆をどのように感じますか?

ジェイデン「最初、ヴィンセントは自分の家に子供が入り込むのをとても嫌がっているし、オリバーも鍵を失わなければ自宅で気ままに過ごせたはずです。そんなふたりが出会って、お互いの人生を変えていきます。オリバーはヴィンセントの中の“いいところ”を見つけてそれを輝かせる事ができて、ヴィンセントはオリバーにケンカの仕方を教え、自分のために立ち上がる勇気を与えてくれた。そうやってかけがえのないパートナーになれたのだと思います」

———オリバーというキャラクターは、今のあなたにとってどんな存在ですか?

ジェイデン「もちろん彼とぼくはまったく別の人間ですが、彼を演じたことで、ぼくは彼の考えていることが分かるようになりました。演じるって本当に面白いことだなと思います。だって自分とはまるっきり別の人間になれるのだから。あれからすいぶん経って、今の関係は……うーん、正直よく分からないです。ただ言えるのは、『ぼくは一度、彼になったことがある』ということです」

———完成した映画を観た時の率直な感想は?

ジェイデン「とても誇らしかったですし、心から楽しめました。ぼくは自分の姿をテレビやスクリーンで観ることがあまり好きではないのですが、この映画は楽しかったし、キャストも監督もみんな素晴らしいと感じました」

挨拶するとスーっとどこかへ行っちゃった

 

———その素晴らしいキャストのひとり、ビル・マーレイさんはいかがでしたか?映画界では「変わり者」というイメージも強い人ですが。

ジェイデン「いちばん最初、彼に紹介された時はすごく緊張しました。『こんにちは』と声をかけると、そのまま何も言わずスーっと歩き出してどこかへ行っちゃった……。彼はヴィンセントみたいに気難しいところもあるのですが、でも本当はとっても優しい人で、正直で、予測不能(笑)。次になにをするのか分からない。そんな楽しい人です」

———ジェイデンくんは彼のことを現場で何と呼んでました?

ジェイデン「えーっと……ビル、ビルって呼んでました。彼と一緒にいるととても緊張してしまうんです。だって、あのビル・マーレイなんですから! 意識すればするほど緊張は大きくなるばかり……。なので、できるだけリラックスしてフレンドリーに接することができるように、ビルって呼ぶことにしました」

———クライマックスの重要なスピーチシーンの前に、ビル・マーレイが瞑想方法を教えてくれたと聴きましたが、本当ですか? 

ジェイデン「本当です。このシーンはたくさんの人の前だったし、セリフの量も多かったので、ぼくはとても緊張してしまって。そしたらビルが『ちょっとおいで』と僕を隅っこに連れていき、リラックスする方法を教えてくれたんです。両腕を水平に重ねて、おでこを椅子にもたせかけて目を閉じる。そんなシンプルなものだったんですが、あのビル・マーレイが教えてくれてる! と思うだけで緊張がひどくなってしまい……」

———ははは(笑)。効果なしでしたか?

ジェイデン「ええ(笑)。でも、すごくクールな経験だったなと感じています」

俳優になるなんて思ってもみなかった

 

———日本の観客はこの映画で初めてジェイデンくんのことを知るわけですが、そもそも俳優を目指したきっかけは何だったのですか? 

ジェイデン「はじめは俳優になるなんて考えたこともありませんでした。映画そのものは大好きでよくお父さんと一緒に観に行ってたんですが。全てのきっかけはロスに引っ越した時です。みんなから『絶対やったほうがいい。向いてるから』ってしきりに言われて、それなら試しにやってみようかなと軽い気持ちでこの世界に飛び込んでみたら、意外と楽しかったんです。CMに何本か出ると、今度は映画も決まって……そんな感じです」

———いまは12歳ですよね?学校はどうしていますか?好きな科目などがあれば教えてください。

ジェイデン「オンライン・スクールを活用しています。その方が世界のどこにいても受けられるので便利なんです。それでも俳優と勉強を両立するのは大変なことだなと感じています。好きな科目は数学で、あんまり好きじゃないのは化学、かな?よく変わるんですが」

———将来的に俳優を目指す意志は固まりました?

ジェイデン「はい、この仕事を続けていきたいなと思っています。このお仕事でいちばん楽しいのは、こうして東京をはじめ様々なクールな地を訪れることができることです」

———この映画を観た誰もが「他の子役と全く違う輝きを持っている!」とあなたのことを絶賛しています。何か心がけていることや演技の秘訣などかあるのですか?

ジェイデン「心がけているのは、自然にしようということです。演技をしようとするのではなく、ただ自分でいるという努力をしています。その人になろうと演技をするのではなく、その人自身になる。これはテッド・メルフィ監督がぼくに教えてくれたやり方です。監督からはとても大きなことを教わったと感じています」

ディカプリオはものすごい俳優だと思う

 

———今後の俳優人生で、こんなことに挑戦したい、この人と共演したいという夢はありますか。

ジェイデン「これまでやってきた役はどれも刺激的で、SF映画とかもすごく面白い経験でした。これからは……そうですね、スーパーヒーローとかも演じてみたいですね。共演したい俳優はたくさんいますが、いつかレオナルド・ディカプリオやウィル・スミスとご一緒できればいいなと思ってます」

———将来的に目標すところもレオ様のような俳優ですか?

ジェイデン「やっぱりディカプリオみたいになりたいです。彼はものすごい俳優であり、いつもきちんと映画を選んでいると思うんです。なんでもいいというわけではなく、自分が演じるべき、やりがいのある役を選んで、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる。いつか彼に続けるような俳優になりたいです」

———今後も話題作が目白押しです。いまこの瞬間、自分の人生が大きく変わっていくのを感じますか?

ジェイデン「すごく感じています。だって、たくさんの映画を観ながら過ごしていた日常から、いきなり素晴らしい俳優さんたちと一緒にいろんな場所に行って演技をするというすごい人生が始まったわけですから。これからどんなことが起こるのかすごく楽しみだし、こんな経験ができて嬉しいし、そしてすべてのことに感謝しています」

 

撮影 吉場正和/photo  Masakazu Yoshiba

文 牛津厚信/text  Atsunobu Ushizu

『ヴィンセントが教えてくれたこと』

アルコールとギャンブルに溺れるちょい悪オヤジのヴィンセントは、ひょんなことからお隣に引っ越して来た、いじめられっ子オリバーの面倒を見ることになる。小学生相手に容赦なく毒舌を連発し、行きつけのバーや競馬場にも連れ歩いて、ヴィンセントはオリバーに注文の仕方、オッズの計算方法、いじめっ子の鼻のへし折り方など、一見ろくでもないことを教え込んでいく。最初は最悪だと思っていたオリバーは、ある日ヴィンセントが介護施設に立ち寄り、認知症の妻に愛おしげに接する様子を目の当たりにする。気難しい老人と気弱な少年の間にはいつしか奇妙な友情が芽生え、2人のささやかな冒険の日々が始まった―――。

◆監督・脚本・製作:セオドア・メルフィ

◆出演:ビル・マーレイ メリッサ・マッカーシー ナオミ・ワッツ クリス・オダウド テレンス・ハワード ジェイデン・リーベラー

2014/アメリカ/英語/102分/ビスタ/5.1ch/原題:ST.VINCENT/日本語字幕:石田泰子

配給:キノフィルムズ

(C)2014 St. V Films 2013 LLC.  All Rights Reserved.

http://www.vincent.jp

9月4日(金)TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ新宿他全国公開

 

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