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【動画あり】九州人が食レポして大丈夫なのか?『九州熱中屋』試食レポート

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以前に博多華丸さん主演のドラマ「明太ぴりり2」のDVD発表会を取材したことがある。(拙稿 http://getnews.jp/archives/1006460 参照)
この発表会が行われた舞台が「九州熱中屋 上野LIVE」という、九州の食材を出す居酒屋だった。

この記事が、博多華丸さんからSNSでお気に入り登録されたからかどうかは知らないが、「九州熱中屋」を運営する株式会社ゴールデンマジックから試食オファーを受けた。取材しても構わないのだが、記者は九州人。どうしても厳しいレビューになってしまうが大丈夫なのか?とりあえず、取材にあたって条件を付けた。

・記者は福岡出身なので出された料理についての批評は九州出身者として行い、容赦はしないこと。
そもそも「九州」と名の付く食べ物を食べさせる東京のお店でろくなものを食べたことがない。これは仕方のない面もあるのは承知の上だ。九州出身者だけを対象にしているのであればいざ知らず、日本の人口の約3割が集まる首都圏でそんなことをしていたのでは、つぶれてしまう。だから関東人向けの味付けにならざるを得ない。中国人が日本の中華料理を食べて「これは中国料理ではない!」と言い切るのと似ている。

・注文メニューはお勧めを出していただいても構わないが、基本的に記者が選択すること。
九州出身者が食べるのだから、創作料理なんかはいらない。そのままを食べたいから記者が選ぶ。

・取材を行うLIVE(店舗)は記者が決めること。
広くてきれいな撮影に向いた店舗があるかもしれないが、そんなお膳立ては無用。居酒屋は常連さんや行きつけがなければ、ふらっと看板を見てのれんをくぐるものだ。それでおいしければまた来るし、そうでなければ行かない。だから、その日の都合で記者が決める。

以上の3点を承諾していただいたので、この記事は事前に校正を受けていない記者の主観そのままの記事である。
まず最初にそれをお断りしておきたい。

やってきたのは「九州熱中屋 神保町LIVE」。ここを選択した理由は、当日取材が3件だったので、移動に都合の良い場所を選んだだけだ。他に理由はない。
この新聞紙のようなものがメニュー。九州各地の著名店から直接地元の食材を運んできて、各店舗で調理するという。

神保町LIVEは上野LIVEと比べると若干狭め。写真は2枚のパノラマ合成だが、カウンター席の右と、撮影している記者側にテーブル席が数席ある。

まず注文したのは五島近海天然するめいか「烏賊(いか)てっさ」。
まず、てっさという名称が気に入らない。てっさは関西でフグの薄造りを指す関西弁だ。決して九州の言葉ではない。
当たれば死んでしまうフグの猛毒を「鉄砲」と比喩し、その刺身なので「てっさ」。またフグのちり鍋のことを鉄砲のちり鍋で「てっちり」という。

名前はどうでもよいのだが、できれば直球勝負でイカの薄造りとしていただきたい。
しかし、味は絶品。さすがに九州から持ってきただけはある。
実はイカを生きたまま輸送するのは困難を極め、その技術が確立したのは近年になってからだ。
好みではあるが、フグの薄造りのように食べてもよいし普通に刺身として、しょう油で食べてもよい。

次に注文したのは、熊本名物「辛しれんこん」。
この、からしれんこんはハーフサイズだが、すべて店舗で作っているというから驚きだ。
作ったものを熊本から輸送してくるのではなく、れんこんを持ってきてここで中身を詰めて揚げているのだ。

それはさぞかし美味いだろう。
あれ?甘い?
鼻にドカンと来る、あの洋ガラシの刺激が来ないのだ。これはちょっとおかしい。
「実は、以前はからしを入れていたのですが、東京の方が辛すぎて食べられなくて、中身を酢みそ入りのマイルドなものに変えました。九州の方はこれを注文してカラシない?ってよく聞かれます」
れんこんのシャキシャキ感がすごくて、これは九州でもなかなか食べられない作りたての食感だ。店舗で作っているのであれば、余計にもったいない。是非ともからし入りを復活させてもらいたいものだ。
酢みそ入りもそれはそれで初めて食べる味で、美味だ。だから廃止する必要はないと思うのだが、できれば併売しないともったいなさすぎる。店舗で作っているだけに残念だ。絶対に美味しいものが作れるはずだ。

次に注文したのが、非常に地味な存在なのだが絶対に注文しようと思っていた「がめに」(がめ煮)。
筑前煮とも言うらしいが、筑前では筑前煮とは言わない。鹿児島で薩摩芋のことをサツマイモと言わないのと同じ理屈だ。鹿児島では中国から来たのでカライモ(唐芋)という。
話を元に戻すが、がめ煮は福岡のママの味だ。正月には欠かすことのできない煮物料理で、鶏肉を使うのが特徴。

家庭の味なので、まさか「うちの母ちゃんのとは違う」とは言えないが、非常に近く、また上品に作られている。
このがめ煮は一人暮らしの福岡出身者なら、容器に詰めて持ち帰れば故郷を思い出し涙するかもしれない。
少なくとも記者は、故郷を思い出し少し感傷的になった。これは事実である。

さて、調理場をのぞいてみよう。
何やら焼いているようなので、料理長に聞いてみた。ムービーでお伝えする。

■九州熱中屋 神保町LIVE ~調理の様子~
https://youtu.be/EZUOxLHEPLo


紹介してくれたのは黒野靖夫料理長。
社内の検定段位保有者で、大会で優勝をしたこともある。

その豚肉が焼きあがって、運ばれてきた。
先ほどから写真に写っている看板娘の岬さん(18)が運んできてくれた。食べ方の解説をムービーでお伝えする。

■九州熱中屋 神保町LIVE ~料理の解説~
https://youtu.be/87m7mt9Fdl0

この岬さん。お兄さんの名前が「翼」で、妹さんである彼女の名前が「岬」。「つばさく~ん!」「みさきく~ん!」と呼び合う南葛イレブンのあの人気アニメを思い起こさせるが、本当にそうらしい。お父さんがサッカー好きでそうなったとか。


その岬くんが、カツオ節を持ってきて削り始めた。

お釜で炊いた白飯に削ったカツオ節を入れて、アゴ出汁しょう油をかけて混ぜる。

「高級ネコまんま」と言えば失礼だが、熊本県産ヒノヒカリで炊いた釜めしだ。これは美味しかった。ふっくらと炊き上がったご飯と、出汁の代名詞の一つであるカツオ節、そこにさらに九州では有名な出汁であるアゴ出汁で割ったしょうゆが加わるのだから、美味しくないわけはない。

そうこうしているうちに、岬くんがサバをつかんで持ってきた。
水槽で泳いでいたサバだ。
最初は触るのも苦労したそうだが、今では何とか素手でつかみ調理場まで持っていけるようになったとか。

サバがさばかれている間に、有段者の料理長が焼いた「博多一口鉄板餃子(ぎょうざ)」が運ばれてきた。
記者の持論は「ギョウザは西に行けば行くほど小さくなる」だ。全国的に有名な宇都宮のギョウザは西日本の人間にとっては馬鹿でかい。
しかし、一口ギョウザとはいえ結構分厚くてボリュームはある。焼きギョウザというよりも、揚げギョウザに近い非常に香ばしい食べ応えのある逸品だ。熱いうちに全部食べるのは困難かもしれない。

そして、先ほどのサバが刺身で出てきた。
サバの刺身は九州でしか食べられなかったが、ようやく東京でも食べられるようになった。

あくまでも記者の見解だが、サバの生食の文化がない地域の方には寄生虫が心配とか、痛みやすいから心配とか、言われることがよくあるが、心配のしすぎだと考える。子供のころからずっとサバの刺身を食べてきて、食中毒や寄生虫にやられた人は記者の知る限り一人もいなかった。
このサバは、美味しく平らげた。

先ほど、熱いままで全部食べるのは難しいと言ったギョウザだが、案の定冷えてしまった。
そしたら岬くんが、下げてしまって、申し訳ないことをしたなと思ったら、豚骨スープに浸して温めなおして持ってきてくれた。
これには驚いた。また暖かいものが別の形で味わえる。つまり二度おいしいギョウザになったわけである。

料理はこれで終了。
全く問題がないわけではないが、それは九州出身者の目線での狭い了見の話で、料理そのものはどれも美味しかった。
値段ははっきり言って普通の居酒屋より高め。しかしこれは産地から直接食材を持ってきて、店舗で調理していることを考えれば仕方のないことだろう。九州まで行く交通費を考えたら安い。

同社の広報担当である亀田泰子さんに話を聞いた。
--どの店舗も多少の違いはありますが、概ね23時台が閉店時間となっています。最近の居酒屋は終夜営業することろも多いですが?

「理由は二つあります。いろいろなお客様がいらっしゃいますが、中にはお付き合いで帰れない場合も多いと思います。それで、終電にはお帰りいただけるように大体その時間に設定しています。もう一つの理由は、従業員の問題です。遅くまで営業すればそれだけ労働環境が悪くなり、従業員の負担が増えます。それだけは避けなくてはなりませんので、そうしています」

それは、料理長や岬くんの姿を見れば、働きやすい環境なんだろうなというのは察しが付く。

--いろいろと文句も言ってしまいましたが、味は申し分なかったです。メニューの事について細かいことなのですが、聞いてもらえそうですか?
「ありがとうございます。九州の方がそうおっしゃるのであれば、検討課題として社内に持ち帰り、前向きに考えさせていただきたいと思っています」

今日は美味しいものをたくさん食べさせていただきまして、ありがとうございました。がめ煮は持ち帰りメニュにした方がいいですよ。
「えー、そこまで言いますか?(笑)」

※写真及び動画はすべて記者撮影
 取材協力 株式会社ゴールデンマジック

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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