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非親告罪化でいやがらせの告発が多発の懸念も? ”TPP著作権条項に関する緊急声明”政府に提出

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2015年7月末に開催されるTPP(環太平洋経済連携協定)首席交渉官会合や担当閣僚会合が行われるのを受けて、TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)が「TPP著作権条項に関する緊急声明」を政府に提出。2015年7月23日朝にジャーナリストの津田大介氏、弁護士の福井健策氏、漫画家の赤松健氏、ドワンゴ会長室室長の甲斐顕一氏がTPP対策本部の渋谷和久内閣審議官に直接手渡し、意見交換が行われました。

既に2015年3月に提出しているこの声明。「著作権侵害等の非親告罪化」「著作権保護期間の延長」「法定賠償金の導入」といったTPPの知的財産条項に対して慎重な交渉と協議の透明化を求める内容で、「各国の利害対立の大きい知財条項を妥結案から除外して海賊版対策のような異論の少ない分野に絞り、さらに上公安を含む十分な情報公開を修正交渉が可能な段階におこなうことを、強く求める」としています。これに110団体、3637名の賛同が集まっています。

この日の交渉では、度々報じられる非親告罪化や法定賠償金の導入が決まる方向だという報道に対して、福井氏は「(渋谷審議官から)ここまで日本政府として譲ったことはない」と強調されたといい、フェアユース(例外規定)の導入についても赤松氏がただしたところ、「アメリカから導入を要請があったことも、政府・文化庁から要請があったこともない」と述べたといいます。

津田氏は非親告罪化について、「出版差し止めの提訴に著作権侵害を利用する手法が見られるように、気に入らない言論に対して告発するいやがらせが起こるのでは」と憂慮。また、現行の50年から70年への保護期間の延長についても「ジャーナリズムでも、ものを調べる上で不利益がある。メディアの報道環境に大きく影響がある問題」と強調します。

さらに福井氏は、ディズニーや海外映画などにより、著作権使用料の国際収支の赤字が年間約8000億円にものぼることを指摘。この問題に対して政府にただしたところ「内訳を出していないしシミュレーションもしていない」ということだったと報告し、「本来は政府が説明すべき問題」と述べました。

協議の透明化が図られないまま、終盤を迎えているTPP交渉。福井氏は「説明できないという説明になっており、禅問答のようになっている。政府がどういう考えで臨んでいるのか、何が動いたのか、誰もわからない」と憂いつつ、各国の知財関連協議が通常はオープンされてきたことを指摘。「我々も知恵を出したい」といい、今後3回目以降となる再提出といったアクションも検討していると話します。

「コミケだけでなく、創作に対するクリエイターの萎縮が起こるのでは」(赤松氏)「二次創作の文化を阻害することがないように」(甲斐氏)というように、知財条項の影響が広範囲に及ぶことは明らか。さらに多くの人がそのことを認識することが必要なのではないでしょうか。

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
http://thinktppip.jp/

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

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