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マンション建設ラッシュでも待機児童ゼロの川崎市。そのワケは?

マンション建設ラッシュでも待機児童ゼロの川崎市。そのワケは?

都市部で深刻な問題となっている保育所の「待機児童問題」。2013年には横浜市、2014年に千葉市が待機児童ゼロだったとして話題を集めていたが、2015年には川崎市が待機児童ゼロを達成したという。川崎独自の課題と解決のための取り組みを取材した。
マンション建設ラッシュで、人口も申請率も増えている川崎市

東京都と横浜市という2つの大都市の間に位置し、利便性の高い街として知られる川崎市。保育所の待機児童問題は長年、市の悩みのタネでもあったが、なかなか解消しない懸案でもあった。さらに近年では、工場や社宅跡地の再開発が進み、武蔵小杉駅、川崎駅周辺などで大型マンションの建設ラッシュが続き、子ども(ここでは未就学児童のこと、以下同)の数が増え、さらに保育所の希望者数も増えているのが課題だったという。

「川崎市の場合、子どもの数も保育園の申請者率も増え続けていて、文字通り右肩上がり。そのため、他都市以上に、受け入れ先となる保育施設の拡充が必要になったんです」と話してくれたのは、川崎市の子育て推進部事業調整待機児童対策担当の織裳(おりも)浩一さん。

もちろん、マンション建設に伴い、保育所を併設した物件なども完成したが、それでも増え続ける入所希望者に追いつかないというのが、かつての状況だったのだ。では、この状況を改善するために、どのような取り組みをしたのか、詳細を見ていこう。多様な受け入れ先、区役所の相談体制の充実など地道な取り組みが結実

【図1】保育所申請率とあわせて保育所・認定こども園の定員数も右肩上がりの川崎市。川崎市の資料をもとに筆者作成

【図1】保育所申請率とあわせて保育所・認定こども園の定員数も右肩上がりの川崎市。川崎市の資料をもとに筆者作成

図1でも分かる通り、毎年1000人超保育所の定員を拡大しているが、それにも増して、人口と利用申請者が増えている。にもかかわらず、待機児童数が減っている。その理由のひとつが川崎市が待機児童ゼロを目指したときに打ち出した川崎独自基準を満たした「川崎認定保育園」の「保育料補助」だ。

「平成25(2013)年度以前は川崎認定保育園を利用した場合、補助金は一律月5000円でしたが、平成26(2014)年は、家庭の所得に応じて最大月2万円まで拡充しました。経済的な負担感を軽減することで、認可保育園より高いというイメージが先行していた川崎認定保育園を選べるように後押ししたんです」(織裳さん)

この補助をはじめたことで認可保育所を希望せずに、川崎認定保育園を積極的に選択する人も出てきたという。また、隣接する横浜市と待機児童対策の連携協定を締結し、市境を超えて横浜保育室や川崎認定保育園の相互の利用を可能にした。

一方で、認可保育所は新規開設・既存施設のリニューアルを行い、受け入れ人員を拡大。認可保育所の定員は過去最大の2万2869人にまで拡大。また、保育の質を保つため、公立保育所に新しい機能を加え、これまで培ってきた経験やノウハウを人材育成につなげる取り組みを強化していくという。

また横浜市や千葉市と同様、相談体制を充実させたほか、保育所に関する説明会をなんと7月ごろ(通常、秋の入所申し込みから開催することが多い)から実施。保護者の保育ニーズにあった保育所とのマッチングを促した。どの取組も、地道かつ地味な施策だが、これが見事に結実し、待機児童を減らすことにつながったといえそうだ。待機児童対策担当は、川崎市内のマンション動向に精通!?

また、冒頭に紹介した通り、まだまだ新築マンションの供給が続いている川崎市では、マンションの完成と入居時期が、待機児童に大きく影響する。そのため、各区の待機児童対策担当者は、市内のマンション動向を逐一、把握しているという。

「タワーマンションであれば、1棟で800〜1000世帯入居することもあり、小さな村ができるのと同じ規模です。そのエリアで急激に保育所ニーズが増えるわけですから、マンションを建設するデベロッパー各社にはヒアリング、情報交換をしています。完成時期はもちろん、対象となるターゲットや子どもの数などを予測していますが、なかなか予定通りとはいかず、難しいですね」と織裳さん。

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