読解力向上で脱活字離れ!新聞を教材とする「NIE」の意義

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読解力向上で脱活字離れ!新聞を教材とする「NIE」の意義

既に全国500を超える学校が取り入れている「NIE」

先日、学校教育に新聞を活用する「NIE」のセミナー(神戸新聞社後援)が行われ、兵庫県内の小中高校の教員ら二十数人が参加したようです。学校教育に新聞を取り入れようとする活動「NIE(Newspaper in Education)」は、元々、1930年代にアメリカで始まりました。日本でも、1990年代に47都道府県すべての地域で実践に成功し、近年では全国500を超える学校が取り入れています。

新聞には、多くのタイムリーな内容が端的に要約されており、広く社会の情報を知ることができます。そのことから、学校教育に新聞を導入することで、子どもたちにさまざまなことに興味を持たせることができると考えられています。

学校教育だけでは社会が求める能力は培えない

小中学生にとって新聞の言葉は表現も難しく、意味も理解しづらいといった問題がありますが、例えば、分からない言葉を調べることで、自分で調べる力が養われます。また、わかりにくい表現を自分でまとめ、絵やグラフを使って自分オリジナルの新聞を作ることで、文字を書く力、考える力、まとめる力といった学習の基本となる力も身につきます。現在、国語や算数などの教科がありますが、そのような学校教育で学ぶことだけでは、社会が求める能力は培えません。

教師が黒板に書いたものをノートに写すだけの受身の授業ではなく、新聞を使って自分から発信する学習法も必要です。さらに、まとめた内容をグループで話し合い、発表し合うことで、近年、問題視されている「説明する力」「コミュニケーション力の低下」にも対応でき、社会人に向けての事前準備ができれば理想的ではないでしょうか。

活字離れの解決の第一歩に

NIEの実践は子どもに対し、新聞は大人が読むものという固定観念を取り除き、身近にあるものだといったことを植えつけます。社会のデジタル化が進んでいることで、我々社会人も新聞離れ、活字離れが進んでいますが、NIEがさらに広まっていけば、活字離れの解決の第一歩となるかもしれません。

確かに、スマホのニュースサイトや検索は非常に便利ですが、それは、システムが自分の検索履歴から、興味のある内容を優先して表示しているためです。このように慣れたものから作られる世界だけでは、一つの固定観念にとらわれてしまいます。NIEは自分で調べ、まとめる力をつけつつ、子どもたちが新しい発見に出合える大きな糸口になっていくでしょう。

(三田村 泰希/学習塾塾長)

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