The Dumplings(ザ・ダンプリングス)インタビュー

access_time create folder生活・趣味

IMG_5195-Edit

(C)Pakamera.pl / Filip Blank

2014年ポーランドの音楽シーンを席巻したエレクトロポップ・ユニット、The Dumplingsが、5月末に初来日し、2日間のライブを行った。若干18歳という若さでポーランドのグラミー賞に当たるフレデリック賞デビュー・オブ・ザ・イヤーを受賞した2人は、一見はあどけなさが残るごく普通のティーンエイジャーだ。しかし一度ステージに上がると、ユスティナの憂いのある歌声とクバが繰り出すポップかつヘビーなシンセサウンドで、メロディアスで個性豊かなエレクトロポップを聴かせてくれた。世の中にはエレクトロポップなサウンドが溢れているが、そこは独自の文化を持つ中欧の国ポーランドから出てきたとあって、欧米のサウンドとは異なる味わいを見せる。既にパリ、ロンドン、メキシコなど活動の幅を広げているThe Dumplingsは、今後世界で注目を集める可能性を秘めているバンドだ。大盛況だった下北沢サウンドクルージングでの2度のライブを終えた翌日にインタビューを敢行。2人に日本の印象や今後の活動などについて聞いてきた。

――下北沢サウンドクルージングでのライブはいかがでしたか?

ユスティナ「1回目のライブはリハが全然できなかったので大変だったわ。機材をつなげたら、もう観客が入ってきて聴いていたから。いつもとは違う場所でこういうのはちょっと難しくて、きつかった。でも2回目は良かったわ。」

クバ「観客のノリはポーランドと全然違っていたよ。みんな踊っていた。」

ユスティナ「ポーランドでは観客は全然踊らないの。」

クバ「もっと音楽を聴いているって感じかな。」

ユスティナ「ポーランド人は酔っ払って夜中1時過ぎないと踊らないのよ。(笑)」

――他のバンドは見ましたか?

ユスティナ「あまり見られなかった。2つか3つくらい。」

クバ「最後に見たオワリズム弁慶がすごかった。強い印象を受けたよ。」

――ライブでは、CDの音よりもアレンジを加えて演奏していましたね。

クバ「もっと力強く、生っぽく聴こえるようにライブ用に少し変えたんだ。」

ユスティナ「ライブに来て、CDと同じものを聴かないようにね。」

IMG_5195-Edit

(C)Pakamera.pl / Filip Blank

――デビューアルバム『No Bad Days』のリリースから1年経って、もう世界を飛び回っていますね。それについてはどう感じていますか?

クバ「嬉しいよ。夢がかなった。こうしたかったんだ。」

ユスティナ「日本に行くんだってことが実感として湧いたのは、実はフランクフルトから東京へ向かう飛行機の中だったの。それくらい日本行きは信じがたい出来事だったわ。そう、世界へ少しずつ出始めている。ポーランドはもう全部ツアーしたしね。」

――こんなに急にスターになって、ちょっとびっくりしませんでしたか?

クバ「いいや。そういう風には考えてないよ。毎日、通りで人々に気付かれるわけじゃないしね。」

ユスティナ「本当に音楽を聴いていて、話ができる人たちが、私たちのこと気づいてくれるの。だから『写真撮って〜』、とかじゃなくて、そういう人たちとはよく話をしたりするわ。」

――まだとても若いけど、音楽を聴いているとそれは感じさせません。この成熟性はどこからきたんですか?

クバ「正直いって、自分たち自身が聴いている音楽の影響だと思うよ。」

ユスティナ「私たち、すごくたくさん音楽を聴くの。」

クバ「僕らの年代の人は、ここまでたくさん、そして多様な音楽を聴かないんじゃないかってくらい。僕らは、自分たちが影響を受けてきたものを音楽に反映しているんだと思う。」

――1stアルバムを作っているとき、何かコンセプトはありましたか?

ユスティナ「特にコンセプトはなかったのよ。どの曲もまったく違う環境で生まれたの。」

――音楽を始めた頃、特にアーティストから影響を受けたということは?

ユスティナ「Aluna Georgeから始まったとは言えるわね。音楽的にも影響を受けたし。だけど、私たちは彼らとはまったく違うわ。私たちが音楽を始めた頃は、こういうバンドはまだ少なかったの。」

IMG_5195-Edit

(C)Pakamera.pl / Filip Blank

――2ndアルバムのことは考え始めていますか?

クバ「もちろん。今曲を集めているところだよ。」

ユスティナ「秋にリリースする予定よ。」

――1stとは異なるアルバムになりそうですか?

クバ「もっとヘビーになるよ。1stの曲はちょっと軽いものが多い。例えば「Słodko-słony czos」も明るい曲だし。今度はもっとヘビーでダークになると思う。」

ユスティナ「昨日のライブで3曲目に演奏したのは新曲よ。2ndアルバムにも入る予定。」

――なぜThe Dumplingsという名前にしたのですか?

クバ「ちょっと皮肉を込めているんだ。ダンプリングスって英語でいうと、ポーランドのピェロギ(ポーランドの郷土料理。水餃子のような食べ物)を連想するけど、ダンプリングスって言った方が、ピェロギより響きがいいし、外国でも通じる。僕たち、外国でも活動していきたいからね。だから、ザ・ダンプリングス。」

――いつも聴いているようなお気に入りのアーティストはいますか?

クバ「僕の場合はJamie TとMetronomy。」

ユスティナ「Metronomyは二人ともよ。あとわたしはTiersen。」

――ポーランドでは今、エレクトロ・ミュージックが流行っていますが、ザ・ダンプリングスはその流れに大きく影響していると思います。

クバ「僕たちから始まったわけではないよ。僕たちが始めた頃、BOKKAも出てきたし、Rebekaはもうずっと前から存在していて、最近インディーから飛び出し始めた感じだし。僕たちが影響したかって?もしかしたら少しね。」

――Rebekaのバルテク・シュチェンスネが1stアルバムのプロデュースに関わっていますね。

クバ「そうなんだ。仲良くなって、手伝ってくれたんだよ。2週間バルテクと仕事する中で、たくさんのことを学んだよ。2ndアルバムは僕がプロデュースするよ。あとまだ言えないけど、ある人にも協力してもらっている。1stよりも関わっている人は多いけど、僕ららしいものになると思うよ。バルテクもたくさん手助けしてくれている。」

IMG_5195-Edit

(C)Pakamera.pl / Filip Blank

――日本についての印象はどうですか?

ユスティナ「クバはもう日本に来たことがあるんだけど、私は初めて。ここの雰囲気や、どこにいても海の香りがすることが大好きよ。人もすごく優しい。面白くて素敵な人たちばかり。とてもカラフルだよね。私たち、カラフルなものが大好きなの。本当に私たちに合っている場所で、居心地がいいわ。」

――先日(来日中)の地震にびっくりしましたか?

クバ「その前の晩もホテルにいた時、小さく揺れたよ。昨日もね。僕らはライブハウスにいた他の人たちほど驚きはしなかったよ。その時、5分くらいの沈黙が訪れて、みんな顔を見回していた。急に張りつめた空気に変わったよ。」

ユスティナ「その前の夜もみんな一緒にホテルで映画を見ていたときに揺れたのよ。」

クバ「地震はびっくりするよね。僕たちは慣れていないから、どうしたらいいか分からなかったよ。」

――日本にくるとき、何か観光の予定は立てていましたか?

ユスティナ「クバがよく知っているわ。クバは私たちの観光ガイドなの。笑」

クバ「主にファッション的な部分かな。東京で流行ったものがヨーロッパに到達するのは多分2年後くらいだから。ここでは、ファッションがすごく最先端。僕らは二人ともファッションが好きだから、そういう部分を楽しみにしていたよ。歴史的なスポットを回る時間が十分にあるか分からなかったしね。写真もたくさん撮るつもり。明日はハンティングに行くよ。時間があったら、京都の嵐山にも行きたい。あそこは美しいからね。それから、僕たちはレコードを集めているから、レコードを買いに行きたい。日本のレコードの品質は最高だからね。たくさん探したいな。」

――今後の予定を教えてください。

クバ「6月はポーランドで週末にライブがあるよ。」

ユスティナ「7月にはOpen’er Festivalに出るし、ハンガリーのシゲット・フェスティバルにも出演するよ。ドイツとフランスもツアーするわ。ライブがたくさんあるけど、まだ学校にも通わなきゃいけないのよね。」

――無人島に3枚CDを持っていくとしたら?

クバ「Arctic Monkeysの『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』、Metronomyの『The Endlish Riviera』、Jamie Tの『Kings and Queens』。」

ユスティナ「Metronomyの『The Endlish Riviera』、Baxter Duryの『It’s A Pleasure』、Kanye Westの『Yeezus』 。」

IMG_5195

The Dumplings / ザ・ダンプリングス
2011年にZabrze(ザブジェ)で出会ったユスティナ・シフェンスとクバ・カラシによって結成されたエレクトロポップ・ユニット。2013年にsoundcloudやYouTubeなどインターネットから人気に火がつき、 Warner Music Polandと契約。2014年にリリースしたデビュー作『NO BAD DAYS』が絶賛され、ポーランドのグラミー賞にあたるフレデリック賞でもデビュー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
重低音とキラキラしたシンセ音が効いたエレクトロ・サウンドに、ユスティナの憂いのある歌声が加わって生み出されるエレクトロポップは、メロディアスでフレッシュな魅力がいっぱい!それでいて、2人ともまだ18歳とは思えないほどの深みを楽しませてくれる。ポーランド国内のツアーはソールドアウト。パリ、メキシコ、ロンドンなどでもライブをし、日本でも5月に初来日公演を成功させた。

Facebook: https://www.facebook.com/TheDumplings
Soundcloud: https://soundcloud.com/thedumplings
Instagram: http://instagram.com/thedumplings

the-dumplings-not-bad-days-2014

1stアルバム『NO BAD DAYS』
発売中
(Warner Music Poland)
ご購入はこちら
iTunes: https://itunes.apple.com/jp/album/no-bad-days/id874196298

文 Paula

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. The Dumplings(ザ・ダンプリングス)インタビュー
access_time create folder生活・趣味
local_offer

NeoL/ネオエル

都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。

ウェブサイト: http://www.neol.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。