週末は白昼夢の中に メディアアートの展覧会『恵比寿映像祭 – デイドリーム・ビリーバー』が27日まで開催
今回3回目となる恵比寿映像祭、映像は目覚めたまま見る夢、“ディドリーム・ビリーバー”というタイトルがつけられた展示が今週末27日まで恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館で開催されている。入場は無料。
恵比寿映像祭 デイドリームビリーバー!!
メディアアートというと、それほど大きくないモニターの映像をのぞき込むのではと思う方も多いかもしれないが、展示スペースが非常に大きくとられ、まるで作家の夢の世界に入り込むような気持ちにさせられる。
世界各国から様々なアーティストの作品が集められていた。その中からいくつかの作品を紹介させていただく。
Daniel CROOKS(ダニエル・クルックス)氏の『スタティック No.12(動きのなかに静寂を求む)』。偶然みかけたという太極拳をする初老の男性を撮影し、その映像を加工した作品だ。時空の中に溶け込んでいるようなその映像に思わず見入ってしまう。
Tania RUIZ GUTIERREZ(タニア・ルイス・グティエレス)氏は、数々の公共の場で映像作品を手がけている。バンクーバーオリンピックに合わせて展示された、物体から放射される熱分布をオブジェに映しだす『時の壷』など作品は巨大なものが多い。今回は美術館に合わせた形の展示となっている。実物もいつか見てみたくなる展示だ。
しりあがり寿氏の『ゆるめ~しょん:sleep』。実写の身体をトレースして顔をつけたという映像が映されたモニターに薄いカーテンがかけられ、半分眠りの中のような世界を作っている。
SUPERFLEX(スーパーフレックス)の『マクドナルド浸水』。タイトルの通りマクドナルドの店内どんどん水が流れ込んでくるという20分の映像作品。ぜひ最初から最後まで通して見てほしいとのことだった。
Harun FAROCKI(ハルン・ファロッキ)氏の『シリアス・ゲーム』。アメリカ軍が軍事目的で使用しているシュミレーション・ゲームが同時に戦地から傷ついた心で戻ってきた兵士たちのセラピーにも使われている。その二つの映像を同時に映しだすこの作品も少し時間をかけて見ていたい。
多くの映像・アニメーション作家が敬愛するチェコの巨匠Jan SVANKMAJEL(ヤン・シュヴァンクマイエル)氏は恵比寿映像祭で最新作を上映。このチケットは残念ながら完売しているが、会場では映像の一部をコラージュした作品の展示が行われている。写真は作品の説明をするヤン・シュヴァンクマイエル氏。
切り絵コラージュによるコマ撮りアニメーションを手がけているLawrence JORDAN(ローレンス・ジョーダン)氏は木箱の中にその世界を作りだした。
55分の長編アニメーション『緑子/MIDORI-KO』を10年の歳月を費やして完成させたという黒坂圭太氏の展示。原画の展示などと共に映像の一部が流れている。ちょっと不気味さが伴うがその不思議な世界に引き込まれる。写真は新作の大判ドローイング。『緑子/MIDORI-KO』恵比寿映像祭での上映は終了しているが、は今年の夏に渋谷アップリンクなどで上映が決まっている。
異彩を放っていたのは松本力氏の展示。アリのような形の宇宙船がたどり着いた世界。真昼の夢のように浮かぶシーンを断片的にクレヨンやパステルなどで描き続けている。
巨匠もダンボールの宇宙をのぞき込んでいた。
美術館の収蔵作品から、今回ただ一つ展示されたのはHarold Eugene EDGERTON(ハロルド・ユージーン・エジャートン)の『ミルク・クラウン』。それほど大きくはない作品であるが、静かにその存在の輝きを放っていた。
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名称:第3回恵比寿映像祭 デイドリームビリーバー!!―――映像の力
会期:2011年2月18日(金)~2月27日(日)[10日間]
会場:東京都写真美術館(全フロア)、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場ほか
住所:東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内
TEL :03-3280-0099
料金:入場無料 ※定員制の上映プログラム、イベント等は有料
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同時に開催されているイベントや上映会、恵比寿近辺の文化施設などでもテーマを共有した展示も要チェック。週末は夢の世界に出かけてみてはいかがだろう。
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