ニコ生視聴者の83.6%「無縁社会は他人事でない」

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 2010年1月にNHKスペシャルとしてテレビ放送され、話題を呼んだ「無縁社会 ~”無縁死” 3万2千人の衝撃~」。タイトルの”無縁社会”とは、家庭の縁、社会の縁、地域の縁など、さまざまな「縁」を失った人々が数多くいる社会をいい、「2010ユーキャン新語・流行語大賞」にランクイン。2011年2月11日には第2弾「無縁社会 ~新たな”つながり”を求めて~」がNHKで放送された。

 その番組の直前にニコニコ生放送では、NHKと共同企画で「ニコ生トークセッション 『NHKスペシャル・無縁社会』 ~取材班が明かす深層~」と題した番組を放送。評論家の荻上チキ氏がNHK取材班に、無縁社会の実情や番組制作の裏側について話を聞いた。取材班からは、板垣淑子ディレクターと板倉弘政記者が出演した。

 「無縁社会」取材のきっかけは何だったのか。板垣記者の場合は、ある件で取材していた失業中の50代男性と突然会えなくなったことだった。あちこち探してまわると、炊き出しのボランティアが「探してもムダだよ。もう『行旅死亡人』になっているよ」と言う。以後、板垣氏はネットで公開されている「官報」を調べるようになった。そこには身元がわからず引き取り手のない遺体、「行旅死亡人」の情報が記載されているのだ。「人間って最後は、官報の記事数行で終わってしまうものなの? と寂しさばかりが募った」と、板垣氏。この「無縁死」との関わりが、無縁社会を考える契機になったと語る。

 「『行旅死亡人』は、我々が普通に暮らしている住宅街やアパート・マンションにもいる」と語る板倉記者によると、たとえ身元が判明しても、親族が遺体引き取りを拒否するケースが多くあるという。行旅死亡人の親族が甥や姪しか残っておらず「20年前に一度、結婚式で会っただけだから…」と断られてしまうのだ。こうした現状について板倉記者は、「3世代同居が当たり前だったものが、やがて核家族化し単身化した」ことが背景にあると見る。

 板倉記者によると、テレビ番組の放送後、取材班には約1万4000件のメールやメッセージが寄せられたが、多くは反響というより「誰に相談すればいいかわからない」「自分は生きていても仕方がない」という相談だったという。

 20代や30代の視聴者が多いニコ生でも、「無縁社会」に対する問題意識は強かった。番組内で「無縁社会について、どう考えていますか?」というアンケートを実施すると、「自分には関係ない」(6.7%)、「どちらか分からない」(9.7%)を大きく引き離し「他人事ではない」という意見が83.6%を占め、問題の大きさが改めて浮き彫りとなった。
 
ニコ生トークセッション 「NHKスペシャル・無縁社会」 ~取材班が明かす深層~
http://live.nicovideo.jp/watch/lv39220565
(番組はタイムシフト機能で2011年2月18日まで視聴できる)

(鏡)

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