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モーニング娘。’15 約18年にもわたる娘。の歴史を継承、そして大きく踏み出した日本武道館公演“超えていく物語”

モーニング娘。’15 約18年にもわたる娘。の歴史を継承、そして大きく踏み出した日本武道館公演“超えていく物語”

 昨年11月に道重さゆみが卒業、現在は12期メンバー含む13人体制で邁進中のモーニング娘。’15。5月27日 日本武道館にて【モーニング娘。’15 コンサートツアー春~GRADATION~】最終公演を開催し、1万人のオーディエンスの度肝を抜いた。

モーニング娘。’15 日本武道館ライブ写真一覧

<モーニング娘。とはタスキを繋いでいく一大絵巻である>

 今回のツアー、そして昨夜の日本武道館公演について記す上で、最初に改めて伝えておきたいと思うのは、モーニング娘。とはタスキを繋いでいく一大絵巻であるということ。誰もが知る安倍なつみや後藤真希らが日本中を席巻した黄金期~高橋愛を筆頭にそれまでとは違う格好良いモーニング娘。を追い求めたプラチナ期~そのプラチナ期最後のメンバーとして愛の軍団=新世代のモーニング娘。を育て上げた道重さゆみリーダー時代と、約18年にもわたって、人気絶頂の時代も、不遇の時代も、反撃の時代も、歴代メンバーがその青春の全てを費やして繋いできたタスキの歴史。

 それは昨年までの道重による、二度目の全盛期を引き寄せる革命劇、そして強烈な卒業公演(http://bit.ly/1tvFXVs)によってひとつの集大成を迎え、15以降は道重リーダー時代を如何にして超えていくか。それを命題としていく印象もあったが、今回のツアー、そして昨夜の日本武道館公演を通して体現されたものは、もっと大きな目標や意思、更には覚悟を感じさせるものだった。

<モーニング娘。の過去をオーバーラップさせるような場面>

 つばきファクトリー、こぶしファクトリー、カントリー・ガールズのオープニングアクトを経て、モーニング娘。’15として最初の日本武道館のステージに現れた13人は、神々しさすら感じさせる映像、照明、サウンド、セットと、いわゆるアイドルのそれとは異なるアーティスティックな演出が施された空間の中で、まずは「青春小僧が泣いている」「One・Two・Three(updated)」「ブレインストーミング(updated)」を立て続けに披露。凛とした表情、歌えば歌うほど、踊れば踊るほど溢れてきてしまう気持ちと、完成度の高いフォーメーションダンスを創造する為の一体感の追求、その狭間で荒ぶる自分を必死にコントロールしながらパフォーマンスする姿は、1万人の観客をのっけから大いに鼓舞した。

 そこへドキュメンタリー映像も散りばめた紹介映像(オープニング映像)が流れ出し、次の瞬間に鍵盤をタッチする指の映像と、それとシンクロするように奏でられる佐藤優樹の美しいエアピアノから「夕暮れは雨上がり」が披露される。佐藤優樹いわく「道重さんとの時間はもう過ぎちゃったけど、新しい時間は自分たちで作っていくしかないんだよ。無駄には出来ないんだよ。」というメッセージを感じたというナンバーだが、その曲と「時空を超え 宇宙を超え」を繋げてみせるセットリストの妙。一瞬、現リーダー譜久村聖を道重さゆみと見間違える錯覚を起こすほど、文字通り時空を超え、モーニング娘。の過去をオーバーラップさせるような場面がこの公演にはたくさん用意されていた。

<ピリオドを打ったと思われていた物語が、また新たに紡がれていく実感>

 歴代メンバーが歌詞を変えながらメンバー紹介ソングとして活用してきた「女子かしまし物語~モーニング娘。’15ver~」はもちろん、12期メンバー(尾形春水、野中美希、牧野真莉愛、羽賀朱音)4人が5期メンバー(高橋愛、新垣里沙、紺野あさ美、小川麻琴)の持ち歌であった「好きな先輩」を継承したり、プラチナ期を象徴するナンバー「なんちゃって恋愛」「女と男のララバイゲーム」等を立て続けに披露したり、更に「Memory 青春の光」「サマーナイトタウン」といった初期の名曲までも歌い出したり、しかもそれらを“後輩も歌ってみました”程度のテンションでは決してなく、オリジナルを凌駕しようとするとんでもない熱量でもって、おそらく当時のメンバーが観たら感涙するであろう真剣さでもって歌い踊る。それこそが先輩たち、モーニング娘。そのものへの最大限の敬意であることを彼女たちは知っている。

 そうでなければ、プラチナ期を代表するキラーチューン「リゾナント ブルー」のパフォーマンスで、膝を落としながら、頭を振り乱しながら、あれほど全てを爆発させるように歌い叫んだりはしないし、当時を知るオーディエンスも同曲の久々の解放に狂喜乱舞したりしない。誰かの卒業やひとつの時代の終焉と共にピリオドを打ったと思われていた物語が、また新たにモーニング娘。’15によって紡がれていく実感。全身全霊で継承されていく儀式みたいな瞬間がこの日は何度もあった。

<超えていくのか、君たちも>

 そして「リゾナント ブルー」以降は、現在のモーニング娘。を象徴するキラーチューンばかり畳み掛け、しかも「The 摩天楼ショー」「愛の軍団」「君の代わりは居やしない」「Password is 0」「わがまま 気のまま 愛のジョーク」「What is LOVE?」と右肩上がりに激しくなっていく流れとなっており、今宵のセットリストからも、誰もが「あれはもう超えることはできない」と位置付けた道重さゆみ卒業公演を超えようとする意思、伝説をも飲み込んでいこうとする覚悟が感じられ、それを体現するメンバーの気合いは当然ながら凄まじいものがあった。アンコールで「イマココカラ」から始まる物語をイメージさせた上で、まさかの「みかん」、そして現実の出来事とは思えなかった「涙ッチ」の披露にも同じようなことが言える。

 亀井絵里、ジュンジュン、リンリン、高橋愛、新垣里沙、光井愛佳、計6人ものプラチナ期メンバーの卒業を彩り、その突出した歴史の歩み方をしてきた曲ゆえ、現体制のモーニング娘。が披露することはないと思われたナンバー「涙ッチ」を、当時のメンバーが全員卒業している今、モーニング娘。’15が全身全霊で歌う意義。それはこの13人がモーニング娘。の歴史を丸々背負っていく証明であり、同時に進化を体現し続ける覚悟そのものに感じた。超えていくのか、君たちも。

<13人と1万人によって日本武道館に轟いたフレーズ>

 メンバーの個性のGRADATION、そしてモーニング娘。の各時代のGRADATIONに魅せられた同公演。そうだった、何も終わってはいなかった。モーニング娘。を背負うものがいる限り、どの時代も、どのメンバーも、どの楽曲も、この大河のように流れていく歴史から消えることはなく、モーニング娘。を愛するものがいる限り、このグループの進化が止まることはない。以下、この日、最後に13人と1万人によって日本武道館に轟いたフレーズ。

 ガキの頃みたく まっすぐに
 泣いて 笑って たくさん食べて
 人間らしく 誇り高く
 あしたをこっちの ペースに巻き込むのさ

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