熱中症になりにくい体質をつくるには

熱中症になりにくい体質をつくるには

汗をかきにくい人は熱中症になりやすい

「汗をかく」ということは夏を乗り切る上で必要不可欠な体の仕組みです。「汗は体から水分を奪う」「汗をかきすぎて熱中症になる」というイメージが強いですが、実は汗をかきにくいために熱中症になることもあるのです。

汗の主な働きの一つに「体温調節」があります。もし、汗をかくことができず体の中に熱が溜まってしまったら…。それは恐ろしいことです。体の中の熱をしっかりと外に排出して、体温を一定に保つことが大切です。日頃から汗をかきにくい人は、運動や血流を良くするなどして新陳代謝を高めておきましょう。

体の中の潤いが不足している人も熱中症になりやすい

次に熱中症になりやすいのは、東洋医学的な考え方では「陰虚体質」などと言われる体の中の潤いが不足している人です。「寝汗をかく」「眠りが浅い」「耳鳴りがする」「のぼせ・手足がほてる」「肌がカサカサする」「口や喉が乾く」「舌が渇く」「尿の量が少なく黄色い」「便がカサカサして乾燥気味」。これらの症状だけを見ると「加齢が原因では?」と感じるかもしれません。確かにそのとおりで、極めて簡単に省略して説明すると、東洋医学では加齢とともに体の潤いが不足して陰虚という体質になりやすいと言われています。ゆえに、年配の人の熱中症が多いともいえるかもしれません。

ここで注意してほしいのが、「潤いのために闇雲に水分をガブガブと飲めば良いというものではない」ということ。必要以上の水分摂取は胃腸の調子を低下させ、消化不良を起こします。また、体調を崩したり、体内に大量の水分が貯まることで体を冷やす原因になったりします。

熱中症対策、4つのポイント

以上を踏まえて、熱中症になりにくい体質をつくる4つのポイントを紹介します。

①朝は早く起きて夜は早く寝る
体の潤いを養うには時間がかかります。規則正しい生活をして、時間的にゆとりあるライフスタイルを目指しましょう。

②辛いものを食べ過ぎない
「夏は辛いものを食べて暑さを外に発散する」という養生もありますが、前述の潤い不足気味の人は、ただでさえ少ない体の潤いを外に発散させてしまう恐れがあります。ほどほどにしましょう。

③酸味のあるものを食べる
よく「酢でしめる」といいますが、お酢などの酸っぱいものは引き締める作用(収れん作用)があります。食欲の増進にもつながりますので、積極的に活用しましょう。

④ミネラル分を摂取する
夏は汗をかいて体の中のミネラルが体外に出ていきがちです。スポーツ飲料などを糖分に注意しながら上手に摂取しましょう。普段の食卓では、海の物(海水はミネラルの宝庫です)、魚、海藻類などをしっかりと食べると良いでしょう。

また、暑くて疲れるからと栄養ドリンク剤などをたくさん飲むと、その時は少しばかり元気が出るかもしれませんが、逆にカフェインなどで体に無理をさせてしまいます。飲み過ぎには注意しましょう。

漢方では、補気作用のある人参や、体の陰を補うといわれている麦門冬、体を引き締める収れん作用のある五味子などの生薬を使った漢方薬がオススメです。しかし何より、日頃から基礎体力を低下させないことが一番でしょう。「転ばぬ先の杖」で熱中症対策をしていきましょう。

(早川 弘太/健康コンサルタント)

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