澁澤龍彦展が開催中! リニューアルされて映像充実の『泉鏡花記念館』に行ってきた [オタ女]
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『夜行巡査』『外科室』『高野聖』などの名作を生み出した幻想文学の大家、泉鏡花(1873-1939)。彼の生家のあった金沢市下新町に1999年にオープンした泉鏡花記念館が、2015年3月7日にリニューアルオープン。従来から充実していた収蔵品に加えて、ミニシアターが新設。関係者のインタビューやイラストレーター中川学氏によるアニメーション『絵本 化鳥』を視聴することができます。
また、リニューアル開館記念として鏡花作品と縁が深い澁澤龍彦(1928-1987)の特別展を2015年6月7日まで開催されています。ここではその魅力の一端をお伝えします。
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http://otajo.jp/47584 [リンク]
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浅野川の川岸が近く、風情のある雑貨屋などが点在する茶屋街の通り沿いにある記念館。涼やかな佇まいの門が出迎えてくれます。
絢爛な色使いが魅力の『絵本化鳥』
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ミニシアターでは、俳優の永島敏行出演の『鏡花』をはじめ、1995年の『天守物語』で監督・主演を務めた坂東玉三郎や、評論家の種村季弘、川村二郎両氏のインタビューを閲覧できます。
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『絵本 化鳥』。金沢市が鏡花生誕100年を記念して制定した泉鏡花文学賞が40回を迎えた記念プロジェクトとして企画・制作されたもので、鏡花の独特の文章を再構成しつつ、中川氏の現代風な鮮やかな色彩感覚で蘇らせた絵本が、今回アニメーション化されています。そのビビットな風景や登場人物と、日常に現れる”妖かし”の存在……。13分10秒の間は常に目を奪われっぱなしにされました。
ファン垂涎の貴重な収蔵品の数々
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尾崎紅葉(1868-1903)に触れて衝撃を受け、文学を志して上京。尾崎家で書生として住み込むことになります。鏡花の処女作『冠弥左衛門』は、師事した紅葉の『二人比丘尼 色懺悔』と並んで展示されています。
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『春昼』(1906年)の校正原稿。朱筆の入り方は、思いのほか大胆。
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凝った装丁が多いのも魅力。ドイツのハウプトマンを共訳した『沈鐘』、1906年の作品『愛火』初版本や口絵原画などが揃っています。
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もともと鏡花の生家の地に建てられたということもあり、愛用していた着物なども展示。執筆をする姿が偲ばれます。
『龍の国から吹く風ー澁澤龍彦展』
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1968年の鏡花の誕生日、11月4日に行われた三島由紀夫と澁澤龍彦の対談。これにより以降の鏡花の再評価がうながされたと言われ、澁澤のアンソロジー『暗黒のメルヘン』や評論集『思考の紋章学』など、日本回帰に向かう中でも鏡花作品に触れています。その後、1981年の『唐草物語』で泉鏡花賞を受賞。互いを語る上で外せない間柄だといえるでしょう。
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特別展では、先日惜しくも亡くなった金子國義氏の絵画や、四谷シモンの人形など、澁澤とゆかりのある作品も展示。澁澤の生誕から晩年までのゆかりの品を網羅していて、ファンとしてはたまらない時間を過ごすことができます。
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「三島由紀夫さんとは生前、鏡花文学について語り合ったことがある。そのことは鏡花があまり読まれていなかったが、現在は大変な人気を呼んでいる。そんな縁もあり、ノーベル賞なら断るが、鏡花賞は喜んでいただいた」と語ったという澁澤。『唐草物語』は、彼が生前受賞した唯一の作品でもあります。
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澁澤が愛読していた鏡花全集。函背に鉛筆で「草迷宮」との直筆が入っていて、他の巻と比較して明らかに読み込まれているのだとか。
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鏡花の作品や生涯に触れたことがある人ならば、間違いなく一度は訪れておきたい金沢の記念館。特に現在はゆかりの深い澁澤の展示と合わせて見ることができるので、まさに行くなら今。
また、特別展の関連イベントとして、澁澤訳のシャルル・ペロー童話のうち3篇の朗読会を実施しています。
2015年5月31日には、林恒宏氏による『サンドリヨンあるいは小さなガラスの上靴』の回。定員20名で、2015年5月12日より電話予約開始とのことのこと。このようなイベントに合わせて金沢の街を楽しむというのもステキなのではないでしょうか。
泉鏡花記念館 公式サイト
http://www.kanazawa-museum.jp/kyoka/ [リンク]
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乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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