彼らに飛べないものは無い!? 『ナイトロ・サーカス ライブ』がついに日本上陸
(Mark Watson / Nitro Circus)
古き良きファンタジーの世界では、登場人物を目的地まで運んでくれる夢のアイテムとして“空飛ぶ絨毯”や“筋斗雲”が登場し、私たちをワクワクさせてくれたものです。
そして21世紀のいま、空飛ぶ物体は現実世界に現れて、再び私たちに興奮をもたらしています。バイク、自転車、キックボード、ショッピングカート、ソファ、etc…、などなど、空中と常識の斜め上を縦横無尽に飛び回るエクストリームなモトクロスバイク集団『ナイトロ・サーカス ライブ』が、遂に日本に上陸しました。
(Jason Halayko)
FMX(フリークラスモトクロス)の伝説的存在“トラヴィス・パストラーナ”をはじめ、現役世界チャンピオンたちを含む超豪華メンバーが、宙を高く飛んでは常識外れなトリックを魅せる大迫力のスタントショーは、2010年からワールドツアーをスタートさせ、現在までに17カ国63都市で150万人以上を動員しています。今回の日本公演では、国内外で活躍している日本人ライダーたちも参戦していたのは、とても嬉しいポイントでした。
何と言っても目を見張るのは、高さ15メートル斜度55度のジャンプ台から繰り出される“神業”の数々。バイクや自転車が飛ぶのはもはや当たり前で、バスタブや馬のソリなど、色々な意味でぶっ飛んでいく光景はまさしく圧巻です。
筆者のツボに刺さったのは、着地失敗したときの異様な盛り上がり。宙高く舞い上がったバイクが、着地した瞬間に姿勢を崩しライダーを吹き飛ばす姿は、着地と言うよりは“墜落”といった方が相応しいでしょう。墜落の度に観客が息をのむのですが、ステージの超人たちは失敗さえも超ハイテンションで笑い飛ばしてしまうのです。こうした“何が起こるか分からないスリル”こそ、『ナイトロ・サーカス ライブ』の醍醐味であるように感じました。
超人的なライダーが揃うなか、車イスを駆る“アーロン・フォザリンガム”というライダーが居ます。彼は先天的に脊髄の障害を持って生まれてきたそうです。そんなハンデをものともせず、アーロンは人間離れした技に挑み続けているのです。
(Mark Watson / Nitro Circus)
筆者は、自転車で高低差のある坂道を下ることですら躊躇してしまうのですが、車イスで15メートル55度の坂道を下る(落ちる?)ことなど、想像しただけでヒュンヒュンしてしまいます。そんな過酷なシチュエーションにアーロンは臨み、1度目の失敗の後、観客が固唾をのんで見守るなか、アーロンは見事に“ダブルバックフリップ”を決め着地成功。会場はイベント中最大の大歓声に包まれました。
東京ドームで開催されたこともあり、売り子のお姉さんたちがお酒を販売している点も、感情を最高潮まで高めてくれる要因になっていました。強いて言うならば、大勢居た売り子のお姉さんが通路を頻繁に通るため、肝心なタイミングで視界を遮られることがあった点がとても残念でした。
そういった不都合を差し置いても、『ナイトロ・サーカス ライブ』は、笑いや興奮の先にある深い感動を実感できる、最先端のエンタテインメントと言えるでしょう。“空飛ぶ絨毯”は“空飛ぶバスタブ”へと姿を変え、いまも世界中のどこかで大人になった私たちに感動を届けてくれています。
ナイトロ・サーカス ライブ
http://blog.fujitv.co.jp/nitrocircus/index.html
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