松屋銀座で手塚治虫「ユニコ」の複製原画を見てきました

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銀座でユニコ!!!

3月27日(金)、手塚治虫の「ユニコ」オールカラー版がリトルモアより刊行される。価格は上・下巻各1620円(税込)。

店頭ではなく、LittleMoreWEBで上下刊一括で購入するとピンナップポスターがもらえる。松屋銀座のtabモールでは限定バッグつき2700円(税込)のセットも販売されている。また特装版も今後発売される予定で、上・下巻セットの箱入りで6480円(予価/税込)。

すでに銀座松屋2階では3月18日(水)より先行発売中と聞いて、早速向かってみた。どの窓口からどのタイミングでどれを手に入れるかはお好みによることを、予めご承知おきいただきたい。筆者は大人。そして貧乏。あとユニコが好き。おまけはいいから早くそれを安く手に入れたいし、「6000円あれば上下巻が2冊ずつ買えるよね?」という貧困な発想のもと銀座に向かった。

松屋銀座では2015年3月18日(水)〜3月31日(火)の期間中、『GINZA FASHION WEEK』を開催。松屋銀座、銀座三越、プランタン銀座による共同イベントで今回が8回目。松屋銀座では特に『ニホンノココロ ~SAKURA~』をテーマとしており、清川あさみの手がけた「桜の花」モチーフと手塚治虫「ユニコ」のコラボレーション・ビジュアルを展開している。

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銀座線から松屋銀座に直結のA12番方面への柱。すでにユニコが待機してくれているではないか。こちらが全裸待機の心持だったのを逆に全裸で待機してくれているユニコ。なんて心優しい生き物。また通路のショーウインドウも既にユニコ仕様。店内も柱がユニコにラッピングされており愛らしい雰囲気だ。

1階正面口・京橋口ほかでは「ユニコ」の『オリジナルチャリティピンバッジ』が販売されている。全2種300円(税込/なくなり次第終了)。受付の女性が直接販売してくださるのだが、1000円を差し出したところ、おもむろに「チャリティ」と手書きの紙の貼り付けられたビニールケースを取り出しつり銭を探り出してくれた。しかもおつりが足りないので少々お待ちくださいと言われ、束の間待たされた。大変そうだ。何だろう、この文化祭感。そもそも受付でチャリティグッズの販売をすること自体が珍しいのかもしれない。あくまでも推測だが。

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実はこのグッズ、至るところに点在しているようでエスカレーター脇などでも無人販売されている。フロア内は店ごとに店員がいるものの、特に見回る人もいない。中央区銀座で野菜を売るような感覚でそんな無防備な…と思いはしたのだが、だからこそ大丈夫なのかもしれない。
2階プラダ前特設スペースに向かう。メインイベントはそこからだった。実はこの時点ではコラボしたマカロンが売っているという程度の情報しか得ていなかった。しかし中央特設スペースにはなんと複製原画の展示がされていたのだ。

手塚治虫×サンリオ=ユニコ

ここで改めて「ユニコ」について解説しておこう。

手塚治虫による「ユニコ」の連載期間は1976年~1979年。掲載雑誌は漫画雑誌「リリカ」。発行はサンリオ。当時のサンリオはキャラクターグッズのみならず良質な本の出版、映画の製作にも力を入れていた。
「リリカ」はもともと英語版出版が想定されていた。そのため、オールカラーで左開き、文字入れも横文字組で版型も変形という従来の少女漫画とはあらゆる意味で異色の存在だった。手塚を筆頭とする豪華な執筆陣に支えられてスタートを切ったものの、次第にクオリティの維持が難しくなりオールカラーから二色刷りへと移行。そして廃刊に至る。

しかし「ユニコ」人気は衰えず1980年~1984年の間は小学館の「小学一年生」でリメイク連載。また二回に渡り映画化されている。1981年には第一作「ユニコ」が、1983年には第二作「ユニコ 魔法の島へ」が公開。筆者は幼い頃にこの映画をブラウン管のテレビで見た。

「ユニコ」は、幼い少女の心をわしづかみにする要素に溢れていた。原作が手塚であり、製作がサンリオであったことを知ったのは大人になってからだ。しかし、あの不思議な印象、理不尽と愛の世界はまさに少女にとっての世間と自分の存在の隔絶を描いており、そこに束の間もたらされる人々や魔物の慈悲深さは理想そのものだった。
主人公・ユニコのフォルムは実際に手塚作といえばいかにも手塚らしいデザインだが、確かにサンリオキャラクターそのものでもある。水色とピンクというカラーリングは爽やかなのにフェティッシュで印象的だ。1976年当時、アメリカのサンリオスタジオへ遊びに行った手塚がその場で思いつきスケッチしたキャラクターだったという。手塚が神だ。

「ユニコ」のストーリーは「火の鳥」に近い放浪譚の形式をとっている。もとはギリシャの乙女プシュケの飼っていたユニコを、プシュケの美しさと人気を妬んだビーナスが西風の精にさらわせ、時空を超えて捨ててくるよう命じた。これがユニコの悲しい愛の物語の始まりだ。ユニコは行く先々で多くの人の優しさや愛を受けるが、必ずそこには社会の理不尽が生じて西風の精とともにその場を去る嵌めに陥る。そのときには必ずその人たちの思い出も失ってしまうのだ。
幼い頃にはその場面場面を理解していてもストーリーの全体像を理解するには至っていなかった。それでもユニコのラストシーン、西風の精がユニコを連れ去るときの美しさは忘れがたく、あまりの悲しみに胸がいっぱいになったものだ。

松屋銀座ではその「ユニコ」の複製原稿が展示されていた。しかも、もっとも印象的な西風の精がユニコを連れ去る場面の原画も含まれていた。筆者は言いたい。「今松屋銀座に行くと手塚治虫の複製原画が無料で見れます!!」と。

雨天、平日の松屋銀座だ。ぎゅうぎゅうに混雑しているということは起こりえず、ほとんど貸切美術館状態。ゆっくり眺めることができた。あたりは普通にハイブランドの店舗に囲まれているので、長居しづらくはあったが堪能できた。しかもオールカラーなのだ。後でプラダ前の先行売場の店員さんに聞いたところ、着色はスタッフが行っていたが連載開始時は手塚が行っていたという。

ユニコのマカロン!!!

プラダ前の先行売場では混雑も行列もなくあっさりと先行販売の書籍を入手できた。

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好評なようで、客層は40-50代の女性が懐かしがって手にとっていくとのこと。特装版の販売について尋ねると、4月の予定とのこと。ただしあくまでも従業員の方から聞いた話なので、気になる人は公式の情報を待とう。

帰りは地下一階で「ピエール・エルメ・パリ」と「ユニコ」のコラボレーション・マカロンを購入。マカロン3個入りで1620円(税込)だ。高い。しかし、それだけのことはある。もうこれかわいいし、ひたすら美味だ。

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先述の「ユニコ」の『書籍&バッグtabモール限定セット』は公式サイトからデザインが確認できる。バッグと新刊とはまるでコミケの大手サークルの新刊セットのような仕様。ありがたい。3月11日(水)より既に受付を開始している。商品は松屋銀座の3階tabモールサービスカウンターで受け取ることができる。数量限定のセットだそうだ。
更に繰り返すがLittleMoreWEBで上下刊一括で購入するとピンナップポスターがもらえる。店頭かネットか特装狙いか? いずれにしろ、ほしい方はお早めにアクションを。そして是非松屋銀座の二階で原画を凝視しよう。変形サイズの手塚カラー原稿は天下一のウキヨエだ。

手塚治虫公式HP
http://tezukaosamu.net/jp/news/n_1630.html [リンク]

リトルモア
http://www.littlemore.co.jp/ [リンク]

松屋銀座
http://www.matsuya.com/m_ginza/ [リンク]

松屋銀座 tabモール 
http://mall.tab.do/ [リンク]

※この記事はガジェ通ウェブライターの「小雨」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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