ホリエモンも参戦「履歴書手書き論争」に見る採用の実態
「履歴書が手書きの奴は採用候補に入れたくない」が物議
ある個人の匿名ブロガーの投稿がにわかに話題となっています。「履歴書が手書きの奴は採用候補に入れたくない」と題されたこの投稿では、「PCでの書類作成が苦手ではないかと感じる」「手書きで書くことで誠意を伝えようとか考えていそう」という二つの理由で、履歴書を手書きで送ってくる人とは同じ職場で働きたくないと持論が展開されています。特に二つ目の理由については、「手間暇を無駄にかけることが誠意だと思われるのは困る。そういった行為は最終的にサービス残業などのブラックな精神につながるので『本当無理』」と主張しています。
この投稿を受けて「だったら、履歴書が手書き不可であることを事前に説明するべき」「そんな下らないことを採用基準にするような会社はこちらからお断り」といった批判的なコメントが多く寄せられる中、元ライブドアの堀江貴文氏は「(履歴書の)手書きはやめて欲しいね。履歴書が手書きの奴は採用候補に入れたくない」とブログの内容に賛同するツイートを投稿しました。
採用担当者に取材した結果、ほぼすべて「手書きが良い」と回答
それでは、実際の採用において、手書きの履歴書は有利になるのでしょうか、それとも不利になるのでしょうか?
Yahoo!の意識調査によると、自分が採用担当者であれば「手書きの履歴書」を出して来た人材を選ぶという人が73%と大多数を占めました。また、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏によると、実際の採用担当者に取材した結果、ほぼすべて「手書きが良い」との回答で揃ったということです。
理由としては「人となりがわかるし熱意もわかる」「字はうまくなくても丁寧かどうかは見ている。殴り書きだと、どうしても、入社への思い入れがその程度かと考え込んでしまう」などが挙げられたとのこと。
さらに、大学キャリアセンターにおいても、「オンラインのみで受けつける企業以外は、特に指定がない場合、手書きで丁寧に書くように指導している」とのことです。
「手書き」か「PC作成」かを論ずること自体ナンセンス
ただ、実際の採用活動において、中小企業も含めて面接の評価は通常2人以上で担当します。例えば、1人の採用担当者の評価が高評価であるにも関わらず、もう1人の担当者の評価が低評価であった場合、必ず評価者によるすり合わせが行われ、履歴書が手書きであるという点以外に大きな減点理由がない場合、そこで落とされるということはまずなく、次の選考に進みます。よって、履歴書が手書きだから、あるいはPC作成だから落ちる、などといったことは考えられないようです。
結局のところ、履歴書が「手書き」か「PC作成」のどちらが良いかを論ずること自体ナンセンスで、「履歴書の内容」がすべて、ということのようですが、やはり実際の就活生の立場からすると、今回のように手書きだと採用したくないという意見が出る以上「どっちかはっきりしてほしい」と思うのは当然です。
企業においても、自社がどういう人材を求めているかを明確にし、「弊社は合理性を重視しているので、履歴書はPC作成のこと」「弊社はヒューマンな部分を重要視しているので、履歴書は原則手書きのこと」といった具合に事前に告知してあげるべきではないでしょうか。
(吉田 崇/社会保険労務士)
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