1年間居住なし、電気や水道の使用がないなどで空き家と判断
【今週の住活トピック】
「空家対策特別措置法」施策の基本指針公表/国土交通省・総務省
http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000097.html
「空家等対策の推進に関する特別措置法」が2015年2月26日に施行された(一部は5月26日に施行)。これに併せて、国土交通省と総務省は「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」を告示した。空き家の実態をどう把握するかなど、空き家対策を推進させるための基本的な指針が提示されている。詳しく見ていこう。年間を通して居住実態がないなど判断基準や所有者を特定する具体的手段の事例を提示
法律の内容に沿って基本的な指針を打ち出したものなので、大枠は空家対策特別措置法と変わらない。法律の成立に至るまでは、筆者の記事「果たして空き家は減るか? 空き家対策特別措置法が成立」(http://suumo.jp/journal/2014/12/03/74216/)にまとめている。
ここでは、一歩踏み込んで提示した指針について、いくつか見ていこう。
国と都道府県、市町村の役割を再度整理(国が基本指針を策定し、都道府県が支援するが、住民に最も身近な市町村が空き家対策を実施する等)し、市町村が組織体制の整備や相談体制の整備を行い、空き家の実態把握に努めることが重要だとしている。
居住していないことが常態化しているのが空き家ということになるが、より具体的な例を提示。居住していないことの基準としては、建築物の状況や管理の程度、人の出入りの有無、電気・ガス・水道の使用状況、所有者の登記や住民票の内容、所有者の主張などから客観的に空き家かどうか判断すること、そして常態化の基準としては、年間を通して使用されていないことなどから判断することを挙げている。
所有者が誰かを特定する方法としては、不動産登記や住民票、戸籍謄本などの利用に加え、これまで認められていなかった固定資産課税台帳も必要な限度において利用できるものとしている。
また空き家の活用のためには、所有者の意向を聞き取りながら、適切な管理方法や専門業者情報などを紹介することも必要とする一方、例えば空き家データベースの情報を宅地建物取引業者などを通じて公開し、購入や賃貸を検討する人に広く提供すること、市区町村が空き家を修繕して地域の交流スペースなどに利用することなども例示している。地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼす「特定空家等」は、固定資産税の軽減措置が対象外に
「空家対策特別措置法」では、適切な管理が行われていない結果、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼす「特定空家等」として、次のような状態を挙げている。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「特定空家等」と判断されれば、私的財産である個人宅などへの立入調査や必要に応じて行政代執行の対象となることから、その判断基準が重要となる。国がガイドラインを示すことになっているが、ガイドラインは今後明らかになる予定。
ただし、「特定空家等」と判断された場合、「固定資産税等の住宅用地特例※」の対象から除外することが平成27年度税制改正の大綱に明記されている。今国会で税制関連法案が成立することが前提となるが、空き家問題が深刻化するなか成立すると見られている。
※住宅などの敷地として利用されている土地は、固定資産税が課税標準額の1/6~1/3、都市計画税が1/3~2/3に軽減される措置。地価が高い地域では、建物を除却して更地にすると特例が使えなくなるため、管理状態の悪い空き家が放置されることにつながると指摘されていた。
基本指針が提示され、固定資産課税台帳の利用が可能になったことで、3月から市町村の空き家の実態調査が進むと考えられる。調査をした結果、管理の悪い、問題のある「特定空家等」の実態が把握されれば、5月26日に施行される措置で、行政代執行への道筋がつけられる。
とはいえ、空き家対策を任される市町村の負担は大きい。空き家等対策計画の作成や組織づくり、関連団体との連携、空き家の実態調査、所有者の特定と聞き取り調査、空き家の判定とデータベース化などなど。これらが短期間で一挙に進展するかどうかは課題だ。一方、すでに空き家対策に独自に乗り出していた自治体には、法整備により今後の対策が打ちやすくなったはずだ。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/03/11/79723/
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